ふれてん

ぽんたろう

過去編第6話『忙しない日』(脚本)

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〇明るいリビング
三好優弥「今日はUMAでも探しに行くかな」
天宮詩乃「いいなぁ」
三好優弥「来るか?」
天宮詩乃「今日はやめとく」
天宮詩乃「はい、お弁当」
三好優弥「ありがとう」
三好双葉「いいなぁ、お兄ちゃん」
天宮詩乃「双葉は給食あるじゃん」
三好双葉「お姉ちゃんのご飯の方が美味しいよ」
三好優弥「残念だったな」
三好双葉「いいもん 晩御飯は好きなの作ってもらうから」
天宮詩乃「了解!」

〇公園のベンチ
三好優弥「出て来たもののUMAどこにいるんだか」
蒼村優「ふ、ふりょうがいる」
蒼村優「せーふ」
三好優弥「ちょっと」
蒼村優「は、はい!」
三好優弥「本落としたよ」
蒼村優「あ、ありがとうございます!」
三好優弥「どういたしまして」
蒼村優「もしかして、いいひと?」
三好優弥「なあ、ちょっと聞きたいんだけど」
蒼村優「はい」
三好優弥「この辺でUMAとか出現する場所知らない?」
蒼村優「UMAですか?」
蒼村優「すみません、知らないです」
三好優弥「そうか、すまない」
三好優弥「あんた中学生?」
蒼村優「そうです」
三好優弥「俺が言えた立場じゃないけど」
三好優弥「何で平日の朝から私服で歩いてるんだ?」
蒼村優「えっと病院の帰りです」
蒼村優「体弱いので定期的に検査受けて お薬もらってるんです」
三好優弥「大変だな」
蒼村優「いえ、慣れてますから」
蒼村優「あなたは?」
三好優弥「学校行っても暇だから 暇つぶしてる」
蒼村優「学校の暇つぶし 意味わかりませんね」
蒼村優「じゃあ、私はこれで」
三好優弥「ああ」

〇オフィスビル前の道
チンピラ「ねえ君、今からどっか遊びに行かない?」
蒼村優「あ、あの」
チンピラ「いいじゃん、ごはん奢るからさ」
蒼村優「こ、こまります」
チンピラ「行こうぜ」
チンピラ「そのあと楽しいところ行こうよ」
三好優弥「さっきぶり」
蒼村優「あなたは」
チンピラ「何あんた?」
チンピラ「この子と今話してんだけど 邪魔しないでもらえる」
三好優弥「なあ、さっき聞き忘れたんだけど いい心霊スポット知らない?」
蒼村優「この状況を理解していない 天然さん?」
蒼村優「あ、あなたは逃げてください」
チンピラ「さすがにムカつくわ てめえ、ぶっ殺すぞ」
三好優弥「もういいよな?」
チンピラ「まじかよ、強すぎだろ」
三好優弥「全くうるせえな」
三好優弥「人が話してる時に割り込んでくるなよ」
蒼村優「その言葉そっくり返されちゃいますよ」
三好優弥「はあぁ、動いたら腹減った」
蒼村優「あ、あの ありがとうございました!」
三好優弥「え? 俺なんかした?」
蒼村優「今ナンパさんを倒してくれたじゃないですか」
三好優弥「あれ、ナンパだったのか」
蒼村優「気づいてなかったんですね」
蒼村優「あのー、お礼させてもらえませんか?」
三好優弥「いーよ、別に そんなつもりでやってないしさ」
蒼村優「この近くにお父さんの経営してる レストランがあるんです そこでご馳走させてください」
三好優弥「んー」
蒼村優「どうしました?」
三好優弥「俺食べる量やばいんだよな」
蒼村優「大丈夫ですよ 気にしないでください」
三好優弥「そうか?」
蒼村優「じゃあ行きましょう」

〇テーブル席
蒼村優「父の了解も得たので 好きなものを好きなだけ食べてください」
三好優弥「ありがとな」
三好優弥「とりあえず、ハンバーグ500グラム ステーキ1キロ、ライス5人前」
蒼村優「大食いですね」
蒼村優「私、少食なので大食いの人を見てるだけで 楽しくなるんですよ」
三好優弥「そうか」
三好優弥「そういえば、名前は何て言うんだ?」
蒼村優「そむらゆうです」
三好優弥「俺は優弥って言うんだ 名前似てるな」
蒼村優「そうですね」
三好優弥「あ、苗字は三好な よろしくな」
蒼村優「三好?」
蒼村優「もしかして、双葉と水葉のお兄さん?」
三好優弥「おお、2人を知ってるのか?」
蒼村優「小学生の時から同じ塾に通ってます」
蒼村優「私は恋翔学園の中等部だから 学校は違いますけど 仲良くしてもらってます」
三好優弥「いつも2人と仲良くしてくれて ありがとな」
蒼村優「い、いえ」
蒼村優「2人からお兄さんとお姉さんのお話を よく聞いてましたけど」
蒼村優「お話通り素敵な人でした」
三好優弥「ありがとよ」
蒼村優「三好先輩って呼びますね」
三好優弥「別に先輩後輩じゃないんだから 呼び捨てでいいよ」
蒼村優「年上の人を呼び捨てなんてできません」
三好優弥「別にいいのに 一緒に飯食ったら友達だ」
蒼村優「優しいんですね」
蒼村優「じゃあ、優弥君って呼ばせてください」
三好優弥「りょ」
蒼村優「優弥くん!」
蒼村優「わーい、友達ができた」

〇土手
三好優弥「夜になるの、UMAだか幽霊が出るって 話を聞いたけどいるのか?」

〇川に架かる橋の下
羽彩「話が違うじゃないですか!」
暴漢2「バカだなあ 男の言葉信用しちゃダメだよ」
羽彩「道案内をしてほしいっていうから 信用したのに」
暴漢「君が1人でボーッとこんな時間に 歩いているのが悪いんだよ」
暴漢「今から何されるか分かるよね?」
羽彩「家に帰してください!」
暴漢2「これが何か分かるよな?」
暴漢「大声出さないようにね そうすれば怪我せず帰れるからね」
羽彩「だれか」
暴漢「誰も来ないよ」
暴漢2「え?」
三好優弥「ちくしょう、UMAかと思ったら イキリチー牛かよ」
三好優弥「せっかく捕獲できたと思ったのに」
暴漢2「てめえ!」
暴漢2「せっかくいいところだったのによ!」
暴漢2「殺してやる!」
暴漢2「そのあとで、この女をたっぷり犯してやる」
三好優弥「下がってろ」
三好優弥「とりあえず見ぐるみ取って 橋から吊るしてやろうかな」
三好優弥「でも警察に通報しとくか」
警察「事情は分かりました この連中は 銃刀法違反と婦女暴行未遂で逮捕します」
警察「事情につきましては 後日また詳しくお聞きすると思うので 今日はお引き取りいただいて大丈夫です」
三好優弥「こんなあっさりでいいんですか?」
警察「上の方から言われていますので」
警察「お気を付けてお帰りください」
三好優弥「何だろ? 上って まあいいか」
三好優弥「ありがとうございます」
羽彩「ありがとう」
三好優弥「じゃあ、気を付けて帰れよ」
三好優弥「家族に連絡は?」
羽彩「今遠くに行っててすぐに来てもらえない」
三好優弥「警察に言えば送ってくれるかもよ」
羽彩「ねえ、送ってくれない?」
三好優弥「仕方ねえな」
羽彩「ありがとう」
警察「それにしても あの子達は何者なんだろう」
警察「あの有馬刑事局長から 三好優弥という少年が トラブルに巻き込まれているようなら 協力するようにと言われてたけど」

〇川に架かる橋
羽彩「男の人って信用できない」
羽彩「気持ち悪い どんだけ笑顔見せてても本性を隠してる」
三好優弥「俺もか?」
羽彩「君は違う、ごめん」
羽彩「ねえ、話聞いてくれない?」
三好優弥「いいぞ」
三好優弥「腹減ってるの?」
羽彩「お腹なっちゃった」
三好優弥「よし、いいもんあるから 話聞くついでに公園行こうぜ」
羽彩「うん」

〇公園のベンチ
三好優弥「ほら、食べろ」
羽彩「いいの?」
三好優弥「気にすんな」
羽彩「・・・・・・」
羽彩「美味しい!」
三好優弥「だろ?」
三好優弥「それを作ってるの俺の家族なんだけど すげえ料理上手いんだ」
羽彩「そうなんだ」
羽彩「こんなに美味しいお弁当 初めて食べた」
三好優弥「ようやく笑ったな」
羽彩「うん」
羽彩「料理ってこんなにすごいんだね」
三好優弥「腹だけじゃなく心も満たす」
三好優弥「すげえよな ただのエネルギー補給手段じゃないんだ」
羽彩「私も料理してみようかな」
三好優弥「食べてもらいたい人がいると 上達するらしいぞ」
羽彩「じゃあ、私には無理かな」
羽彩「この前ね、いとこが死んじゃったの」
羽彩「家も隣同士で家族のように育ったわ」
羽彩「でもね、あるときね、気付いたの」
羽彩「私、そのいとこのことが好きだって」
羽彩「初恋だったのに、 いつも近くにいるせいで 気づくのが遅くなっちゃった」
三好優弥「それで自暴自棄になっていたのか」
羽彩「どうして分かるの?」
三好優弥「今のあんたを見れば分かるさ」
三好優弥「そんな制服で夜遅くまで ほっつき歩いてさ」
羽彩「あなたに助けてもらわなければ 私、きっと汚されて死んでたかも」
三好優弥「この街のクズは締めまくってるのにな まだいるだよな」
羽彩「どうしてそんなことしてるの?」
三好優弥「守りたい奴がいてな そいつが少しでも住みやすい 環境にしたいんだ」
羽彩「優しいんだ」
三好優弥「どうだかな」
三好優弥「気付いたら嫌われ者になってた」
三好優弥「『悪魔』って呼ばれてる」
羽彩「酷い」
羽彩「そんなことないのに」
三好優弥「別に気にしちゃいないさ」
羽彩「ところで君は何で あんなところを一人で歩いてたの?」
三好優弥「UMA探してた」
羽彩「UMAって何?」
三好優弥「未確認動物のことだな まあ、化け物かな」
羽彩「そうなんだ、楽しそう 他にも何か話しないの?」
三好優弥「そういえば 恋翔学園には七不思議あるんだぜ」
羽彩「高校に七不思議?」
三好優弥「そう」
羽彩「例えば?」
三好優弥「『死者に会える方法』『伝説の告白場』『彷徨う女』『屋外プールの蛾男』『理事長室の肖像画』『新校舎に現れる異界への地下室』」
羽彩「へえ、面白そう」
三好優弥「実際面白いぞ」
羽彩「ちなみに死者に会える方法って?」
三好優弥「会いたい人のことを考えながら 校舎を歩いていると死者に会える」
羽彩「それいいなぁ」
三好優弥「もしかして会いたいのか?」
羽彩「うん」
三好優弥「そうか」
羽彩「ねえ、他のやつも教えてよ」
三好優弥「いいぞ」
羽彩「教えてくれてありがとう」
羽彩「断然興味が湧いた!」
三好優弥「喜んでもらえて良かった」
羽彩「お弁当美味しかったよ」
三好優弥「少しは元気出たようだな」
羽彩「お腹いっぱいになったし 楽しい話も聞けたしね!」
羽彩「少し気持ちが楽になったよ」
三好優弥「そうか」
羽彩「そういえば 初めて食べたおかずあったけど 何なんだろう」
三好優弥「チキンのマリネかな あいつの得意料理の一つだ」
羽彩「今度料理挑戦してみよう」
羽彩「そのときは食べてくれる?」
三好優弥「もちろん」
三好優弥「じゃあ行くか」
羽彩「うん!」

〇大きいマンション
羽彩「うち、ここだから」
三好優弥「いいところに住んでるな」
羽彩「そうかな」
羽彩「じゃあ、ありがとね」
三好優弥「じゃあな、羽彩」
羽彩「何で知ってるの!?」
三好優弥「生徒証落としてたぞ」
三好優弥「拾って返すの忘れてた」
羽彩「ありがとう」
三好優弥「今度から気をつけるんだぞ」
羽彩「うん」
羽彩「男の人は君以外 信用しないようにする」
三好優弥「そうだな」
三好優弥「じゃあな」
三好優弥「あ、そうだ」
羽彩「何?」
三好優弥「もう羽彩と俺は友達だ 困ったことがあれば言えよ」
羽彩「ありがとう」
三好優弥「じゃあな」
羽彩「ね、ねえ!」
羽彩「あ、いっちゃった」
羽彩「せっかく、名前聞こうとしたのに!」
羽彩「羽彩か、、」

〇明るいリビング
三好優弥「ただいま、今日は疲れたぜ」
天宮詩乃「おかえり」
天宮詩乃「今日は随分と遅かったね」
三好優弥「色々ありすぎた」
天宮詩乃「また喧嘩?」
三好優弥「正解」
天宮詩乃「まったくもう! ほどほどにね」
天宮詩乃「ご飯食べる?」
三好優弥「頼む」
天宮詩乃「今日の夕飯は双葉リクエストの お刺身盛り合わせだよ」
三好優弥「たくさん食うぞ!」
三好優弥「そういえば、友達できたぞ」
天宮詩乃「本当!?」
天宮詩乃「やったじゃん! どんな子?」
三好優弥「まあ、2人とも女の子だったな」
天宮詩乃「・・・・・・」
天宮詩乃「やっぱ、今日のご飯はお茶漬けだけね」
天宮詩乃「あと自分で作って 私寝るから」
三好優弥「どうして、、、?」
天宮詩乃「知らなーい!」
天宮詩乃「ゆーやのばーか」
三好優弥「ひどい」

次のエピソード:過去編第7話『異変』

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