ふれてん

ぽんたろう

過去編2話『力の使い方』(脚本)

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〇湖畔の自然公園
有馬美沙「今日は遠足でーす!」
優弥「UMA捕まえるぜ!」
詩乃「でも、先生来れないんだね」
有馬美沙「おじいちゃん、たまに調子悪いからね」
有馬美沙「そんな顔しないで!」
有馬美沙「家にいれば平気だから!」
水葉「いっぱい遊びたーい」
双葉「私たちも来てよかったの?」
有馬美沙「全然いいよ」
有馬美沙「ホント賑やかね」
有馬美沙「あれから3年ぐらいか あっという間だったね」
有馬美沙「君らも5年生か」
優弥「学校行ってないけどね!」
詩乃「毎日が楽しい」
有馬美沙「2人が幸せならそれが1番だね」
優弥「美沙先生は 何年生なの?」
有馬美沙「ニートよ」
優弥「・・・・・・」
有馬美沙「うそうそ」
有馬美沙「大学卒業して おじいちゃんの会社で働いてる」
優弥「・・・・・・」
有馬美沙「お願いだから そんな顔しないで」
優弥「毎日いるから心配したよ」
有馬美沙「まあ、社内ニートだけどね」
優弥「・・・・・・」
有馬美沙「うそうそ」
有馬美沙「在宅ワークさせてもらって 君たちの相手をしてるから御安心を」
優弥「なーんだ」
詩乃「大人って大変!」

〇道場
斎条「有馬先生」
有馬「毎日多忙なのに わざわざ来てもらって申し訳ない」
有馬「アナログでね 直接会って話したい性分なんですよ」
斎条「いえ、有馬先生には 大変お世話になりましたから これぐらい何でもないですよ」
有馬「老人の遺言を 聞いていただけませんか?」
斎条「まだそんなお歳では」
有馬「齢93になるおいぼれですよ」
有馬「勝負では無敗でも 病には勝てません」
斎条「先生」
有馬「今、私は最後の弟子たちを取っています」
斎条「存じております」
有馬「2人とも小学5年生ですが とても優しくとても繊細な子たちです」
有馬「そして、とても面白い 将来が楽しみです」
有馬「あの子達が成人になるまで 私は生きていないでしょうが」
有馬「会えばきっと斎条くんも気にいるはずです」
斎条「なるほど その子たちを、私の学園に 入学させてほしいということですね」
有馬「その通りです」
斎条「承知しました」
斎条「この斎条、絶対に この約束を果たしましょう」
有馬「ありがとう」

〇おしゃれなキッチン
詩乃「料理はこうするんだよ!」
双葉「そうなんだ! お姉ちゃんすごい!」
三好葉月「詩乃は私より 料理上手くなっちゃったわね」
双葉「お母さんが料理しないからだよ」
三好葉月「そうね」
詩乃「お母さんにも料理教えてあげるね」
三好葉月「お願いするわ」
詩乃「水葉もやる?」
水葉「うちはいいや」
水葉「食べる専門!」
詩乃「わかったよ、だからたくさん食べてね」
水葉「うん!」

〇明るいリビング
水葉「お姉ちゃんの料理美味しい!」
優弥「ホントだな!」
三好優作「これは大したもんだな」
三好優作「お母さんを超えたんじゃないか?」
三好葉月「完敗ね、ホント今度料理教わらないとね」
双葉「家族みんなで食べると美味しいね」
三好葉月「ホント、詩乃のおかげね」
詩乃「私、もっと料理上手くなるからね!」

〇病室
三好優弥「先生!」
有馬「よく来てくれました」
有馬「こんなに大きくなって いつの間にか身長越されましたね」
天宮詩乃「貴重な時間にここにいるのが ご家族より私たちで良かったんですか?」
有馬「家族とは充分話し合いましたよ」
有馬「それにあなた方も家族ですよ」
有馬「ねえ、美沙ちゃん?」
有馬美沙「うん」
有馬「優弥くん、詩乃ちゃん あなた達は最後の弟子です 本当はもう弟子は取らないつもりでした」
有馬「だけど、君たちを初めて見た時 その純粋な顔に心打たれ 正しい道に導きたいと思いました」
有馬「とてもお節介だったかもしれません」
三好優弥「そんなことない! おかげで毎日楽しかったです!」
三好優弥「先生から色々なことを教わりました 先生に出会わなければ きっと腐ってたと思います」
天宮詩乃「私も先生に会わなければ 道を踏み外していたかもしれません」
有馬「そう言ってもらえると本望です」
有馬「詩乃ちゃんは本当に 素晴らしいお嬢さんになりましたね」
天宮詩乃「先生と美沙さんのおかげです」
有馬「優弥くんとご家族のために 料理を続けてくださいね」
有馬「料理は家族をつなぐ基本です」
天宮詩乃「はい」
有馬「正直、腕前は 美沙ちゃんを超えたでしょう」
天宮詩乃「そんなことないです」
有馬「いつまでも、優弥くんを 支えてあげてください」
天宮詩乃「はい!」
有馬「優弥くん、あなたに問います」
有馬「君は何のために力を使いますか?」
有馬「答えは言わなくていいです その答えが見つかるまで ずっと疑問に思い続けなさい」
有馬「わずか5年ほどでしたが 毎日鍛錬に励んだ君の力は相当なものです」
有馬「屈強な大人を数人相手にしても 負けることはないでしょう」
有馬「その使い道を疑問に思いなさい」
有馬「それが活殺術の教えです」
有馬「そして、さらに強くなりなさい」
三好優弥「わかりました」
有馬「私の教えることは これにて終了です」
有馬「私の気まぐれに付き合ってくれて ありがとうございました」
有馬「少し眠くなりました 大丈夫ですよ」
有馬「横になるだけですから」
三好優弥「先生」

〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「ねえ、ゆーや」
三好優弥「なんだ?」
天宮詩乃「私ね、中学生になったし ちゃんと登校してみようと思う」
三好優弥「マジか」
天宮詩乃「うん」
天宮詩乃「入学式から3ヶ月ぐらい経っちゃったけど 勇気出して行ってみる」
天宮詩乃「優弥はどうする?」
三好優弥「詩乃が行くなら俺も行く」
天宮詩乃「そう言うと思った」

〇学校の裏門
三好優弥「めちゃくちゃ気持ち悪いな」
天宮詩乃「全然似合ってない!」
三好優弥「こんなの拷問だろ」
天宮詩乃「ウケる」
三好優作「そろそろ教室に行きなさい」
天宮詩乃「はーい! お父さん、送ってくれてありがとう」

〇教室
天宮詩乃「まさかの同じクラスだったね」
三好優弥「良かった」
三好優弥「同じ小学校のやつはいないな」
天宮詩乃「良かった」

〇教室
女子生徒「天宮さんって、三好くんの家に 住んでるんでしょ?」
天宮詩乃「そうだよ」
女子生徒「付き合ったりしてるの?」
天宮詩乃「し、してないよ!」
女子生徒「そうなんだ」
女子生徒「じゃあ、ただの居候?」
天宮詩乃「う、うん」
女子生徒「ははは、ただ飯食ってるだけじゃん」
三好優弥「あんたさぁ、やめてもらっていい? 中学生にもなって、そんなことやってるなんてださいよ?」
女子生徒「はああ?」
女子生徒「三好くんも、他人いて気持ち悪くないの?」
三好優弥「いや、家族だからな」
天宮詩乃「ゆーや」
三好優弥「あんた、詩乃に嫉妬してんだろ?」
女子生徒「はあああ?」
三好優弥「詩乃が美人だからさ」
女子生徒「そんなわけないじゃない!」
三好優弥「図星か」
女子生徒「覚えてなさいよ! 絶対後悔させてやる!」

〇通学路
天宮詩乃「ゆーや、ごめん」
天宮詩乃「また助けてもらっちゃった」
三好優弥「いいよ、詩乃震えてたからな」
天宮詩乃「いじめられてたときのこと思い出して 何も言い返せなかった」
三好優弥「泣かないでくれ」
天宮詩乃「うん」

〇体育館の裏
三好優弥「今どき校舎裏かよ」
女子生徒「ここじゃないとばれちゃうからね」
不良「おめえ、生意気なんだよ」
女子生徒「私に恥をかかせてさ」
不良2「ちょっと礼儀教えてやるよ」
三好優弥「あんたらがここのボスか」
不良「はあ?」
三好優弥「強そうに見えないんでな」
不良「俺がボスだけどよ! ご不満ですかぁ?」
不良2「ぶっ殺すぞ!」
三好優弥「何してんの?」
不良「避けやがった」
不良2「え、うそ?」
女子生徒「マジで?」
三好優弥「そいつら、当分目を覚さないけど」
三好優弥「あんたもこうなりたい?」
女子生徒「あ、いや、その・・・・・・」
三好優弥「はあぁ、結局ここも腐ってやがったか」
三好優弥「おい、あんた、全員に伝えてくれ」
三好優弥「もしも、今後、詩乃に 少しでもちょっかい、いじめ、からかい ふざけたことをしたらこうなるってな」
女子生徒「は、はい」
三好優弥「ああ、くそだるい」
三好優弥「やっぱ、学校ってろくなもんじゃないな」

〇明るいリビング
天宮詩乃「ゆーや、どうしちゃったの?その髪色」
三好優弥「気分転換だ」
三好水葉「お兄ちゃんがグレた!」
三好優弥「イメチェンだイメチェン」
三好双葉「似合ってるよ!」
三好優弥「おお、ありがとよ」
天宮詩乃「もしかして、わたしのために?」
三好優弥「詩乃は気にすることないぞ」
天宮詩乃「またゆーやの負担になっちゃったね」
三好優弥「気にすんなって、どちらにしろ いつかはあいつらとは喧嘩になってたさ」
三好水葉「お兄ちゃんカッコいい!」

〇教室
女子生徒「おはようございます!」
三好優弥「おはよう」
天宮詩乃「うわぁ、空気に緊張感張り詰めてる」
三好優弥「どいつもこいつも単純だな」
三好優弥「自分よりも強い奴には何もできない」
天宮詩乃「ゆーや・・・・・・」
三好優弥「ホントクソだな」

〇体育館の裏
三好優弥「俺が嫌わられ者になればいいことなんだ」
三好優弥「それが力を使った代償なんだよな」
三好優弥「ごめん、先生」

次のエピソード:過去編第3話『変わり映えのない日常』

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