さよなら、僕らの花嫁

ななん

第1話 ヒットコール(脚本)

さよなら、僕らの花嫁

ななん

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〇山の展望台(鍵無し)
草壁「はぁ・・・」
草壁(あの頃に戻れたら、絶対に僕は──)
草壁(誰かいるのか?)
草壁「要救護者か?」
(僕に出会うなんて運がいいですね)
(僕の職業は自衛隊員だからね)

〇けもの道
羽山「!!」
草壁「お怪我はありませんか!?」
羽山「ありがとうございます」
羽山「本当に助かりました」
草壁「どういたしまして」
草壁(まぁね・・・)
草壁(こんなときじゃないと 役に立たないしね)
草壁「歩けますか?」
羽山「お気遣いありがとうございます」
草壁(仕事では怒られてばかりだし)
(久々に感謝された気がするな)

〇大衆居酒屋
羽山「──この前の!」
羽山「一緒に飲みませんか?」
羽山「出張で来ていて 知り合いがいないんすよ」
草壁(こういうの久しぶり)
草壁(みんな結婚して 誘いづらくなっちゃったんだよね)
羽山「自衛隊の人だったんすか!」
羽山「どうりでテキパキ手慣れていると思いました」
草壁「あはは・・・ 一応・・・」
草壁「羽山さんはどうしてあそこへ?」
羽山「ご迷惑おかけして 非常にお恥ずかしいのですが・・・」
羽山「実は・・・」
羽山「実はサバゲーをしていました!」
草壁「・・・・・・」
草壁「サバゲー?」
羽山「サバゲー・・・ つまりサバイバルゲームの略っす」
草壁「・・・?」
羽山「ご存知ないっすか?」
羽山「偽物の銃やBB弾を使用して みんなでバトルするんです」
草壁「うわっ!」
羽山「カッコいいっすよね!!」
羽山「カッコいい上に楽しいんですよ!」
羽山「雪合戦の大人向けっていう感じっすかね」
草壁「へぇー!」
羽山「ですが、あのときは 誤ってフィールドの外に出て 道に迷ってしまいました」
羽山「初めて来た山なのに甘く見てました・・・」
草壁「・・・・・・」
羽山「本当に申し訳ないっす・・・」
草壁「羽山さん!?」
羽山「いい歳して遊んでばかり・・・」
羽山「見ず知らずの方にも世話になって・・・」
草壁「大丈夫ですよ 落ち着いてください」
羽山「家族もぷんぷんっす・・・」
草壁(家族・・・)
  家族か・・・
  羽山さん、僕と同年代に見えるし
  家族がいたっておかしくないよね・・・
  僕もう35歳なんだから──
羽山「そろそろお開きにしましょうか」
草壁「はい」
草壁(奥さんや子どもに怒られちゃうもんね)

〇大衆居酒屋
羽山「PiyPiyで」
居酒屋店員「すいません うち現金のみなんです!!」
羽山「・・・・・・」
草壁(さすが東京人・・・)
草壁(出張で来てて 一人で飲み歩きできるんだもんね)
草壁(フットワーク軽・・・)

〇飲み屋街
草壁「何か落としましたよ」
羽山「あぁすいません」
羽山「え・・・えーとこれは・・・」
草壁(これは・・・!!)

〇学校の校舎
(中学の頃好きだった・・・)
(星野天音ちゃん!?)

〇飲み屋街
草壁(隣に写ってたのはこの人・・・だよね?)
草壁(ちょっと若い頃の)
草壁(なんで星野さんと一緒に・・・!?)
草壁(もしかして・・・)
羽山「返してくれ!!」
草壁「は、はい!!」
羽山「卒業してからずいぶん経つっていうのに」
羽山「一度も会っていないっていうのに」
羽山「忘れられないんすよ その人のことが・・・」
草壁「──っ!」
羽山「彼女かと思ったか?」
羽山「だと良かったんすけどね」
羽山「知り合ったときにはすでに 付き合ってる男がいて・・・」
羽山「なのに・・・」
羽山「諦めきれなかったんだ」
羽山「他の男のことを語っているっていうのに」
「可愛くて・・・」
「その顔、俺にも向けて欲しくて・・・」
羽山「・・・笑えるだろ」
羽山「37歳のオッサンなのに いつまでもグダグダ思い出に浸って」
草壁「・・・・・・」

〇学校の校舎

〇飲み屋街
草壁(僕も・・・)
草壁(僕も同じ)
草壁「おかしくなんかありません!!」
羽山「・・・草壁さん?」
草壁「僕、あの山であなたを助けましたよね」
草壁「僕があのときあそこにいたのは」
草壁「好きな人を少しでも感じるためです」

〇山の展望台(鍵無し)
草壁「満天の星空が最も綺麗に見える場所・・・」
羽山「・・・・・・」
羽山「・・・星野天音・・・」

〇飲み屋街
草壁「・・・指令!!」
羽山「はい!!」
草壁「羽山さん!!」
草壁「僕と一緒に星野さんに会いに行きましょう!!」
羽山「でも・・・」
草壁「僕たちもうアラフォーです!!」
草壁「でもまだ人生の折り返し地点にも 来てないんですよ!!」
草壁「ワンチャンあるかも知れませんよ」
草壁「世間からしたら くたびれたオッサンだけど」
草壁「心はあの頃のままでしょう?」

〇文化祭をしている学校
「星野さんを好きだった・・・」
「青春してたあの頃の・・・」

〇飲み屋街
羽山「ははっ!」
羽山「そうっすね」
羽山「確かに俺も」
羽山「ついこないだみたいな気持ちだわ」
羽山「やってやりますか ダメ元で」
羽山「あの子を俺の嫁に!!」

次のエピソード:第2話 緻密な捜査網

コメント

  • ずっと気になっていたこちらの作品を読ませて頂きました~😆
    アラフォー大人の青春ストーリー、イイですね✨最初このイケメン2人に愛が芽生えるのかと勘違いして、勝手にドキドキしながら読み進めちゃいましたよ😂
    2人は告白できたのかな?
    私の妄想はすっかりお母さんになっていた彼女に、いい意味でケジメをつけられた二人……です😌💓

  • 独身アラフォー男子のロマンが詰まったお話しですね!
    共通の、昔好きだった人を探すなんて、ワクワクが止まりません。
    自分の初恋の人は何をしているのかな、なんて読みながら考えちゃいますね。
    果たしてカノジョは変わらないでいてくれるのか、はたまた…?

  • アラフォーの男性二人が忘れられないなんて、天音さんはどんだけ魅力的な女性なんだろう。でも年老いて後悔するよりも思い切って行動したほうがいいこともありますよね。タイトルから結果は残念そうだけど、そこに至るまでの理由が気になりますね。

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