英雄親子は名誉を捨てる

筑豊ナンバー

23話「父親失格の選択」(脚本)

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〇建物の裏手
石白 星華「アレックス!!よかった無事だったんだまた! あれ?・・」
石白 星華「なんでミカちゃんも?」
アレックス・ワトソン「色々あってな一旦退避してきた・・・ここの状況は?」
石白 星華「ひとまずここら一帯の民間人の避難は完了したよ」
石白 星華「いまさっき白夜がそっちに向かって行ったのが見えたんだけど。会わなかった?」
アレックス・ワトソン「白夜は・・・」
石白 星華「まさか!あのバカ!!」
ミカ「白夜は私達のために──」

〇巨大な城門
不知火 白夜「ここまでか・・・」
  思えば後悔ばかりの人生だったな・・・だが・・・
不知火 明花「兄貴!!」
不知火 白夜(せめて別れくらいは伝えたかった)
魔王「・・・・・・」
不知火 白夜「もう少しだけ付きあってもらうぞ!!」

〇建物の裏手
石白 星華「そうか先にいったのか・・・あの馬鹿野郎が・・・」
ミカ「・・・」
  石白の拳から血が滴っている。
  行き場のない怒りを抑え込んでいるのだろう。
石白 星華「ここにいてもなんの意味もない。 アイツの犠牲が無駄になる。行こう」
  石白は戦時中に多くの弟子を失ったと聞いたことがある。
  いつも明るく振る舞ってはいたが戦時中のストレスは今だに彼女を解放してはいない。
  戦争が終わった今もう先立たれる事はないと思っていた弟子をまた失ったのだ。
  顔には出していないがかなり辛いはずだ。
アレックス・ワトソン「・・・サルース」
アバドン・サルース「どうした?」
アレックス・ワトソン「今から俺は──」

〇兵舎
クロ「よぉ〜戻って来たか」
石白 星華「クロ総帥。回復は終わったようですね」
クロ「まぁだからといって勝算無いに等しいがな」
石白 星華「作はあるんですか?」
クロ「・・・ミカの力を使う」
石白 星華「・・・・・・彼女はもう民間人です。 この戦いには」
クロ「俺の攻撃もお前の拘束術も魔王の前にはハエも当然だ。悔しいかもしれないがもう民間人に頼るしか無いんだよ」
石白 星華「ッ・・・・・・」
クロ「アイツもそれを望んでるからお前たちよりも先に魔王の元に向かったんだろ?」

〇中東の街
ミカ「なぜです?!」
アレックス・ワトソン「わからないのか? ここから先は俺たち軍人の仕事だ。 民間人で未成年のガキが出て来たら現場が混乱するだろ?」
ミカ「私には経験があります! 実際に魔王を一度は倒しました!それでもだめなんですか!?」
アレックス・ワトソン「ダメだ」
アレックス・ワトソン「ならさっきの戦闘で白夜が来なかったらお前はどうなってた?」
ミカ「ッ・・・」
アレックス・ワトソン「安全な場所にいろ。後は俺たちが──」
アレックス・ワトソン「・・・・・・なんのつもりだ?」
ミカ「ふざけんな・・・」
アレックス・ワトソン「・・・・・・」
ミカ「魔王はわたしが倒さなきゃいけない!私以外に倒せる人はいない!!」
ミカ「でなきゃまたみんなが殺される。 また皆んなに置いて行かれてしまう!! 私の親友は──」
ミカ「・・・」

〇戦場
氷の魔獣「ガァァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」
  避けるには明らかに手遅れだ。このままでは2人揃って氷漬けにされるだろう。
  メアリーは迷わずミカを突き飛ばして退避させた。
ミカ「メアリー!!」
エミリア・メアリー「大丈夫だよ!ミカならきっと──」
ミカ「メアリーィイイイイイイイイイイ!!!」

〇中東の街
ミカ「あの日少しでも早く動いていれば助けられたかもしれない。あと一歩でも足を出していれば──あと少し手を伸ばしていれば!!」
ミカ「そんな後悔を今でもしつづけてここまで来たんです!!」
ミカ「あんな後悔はもう私は──」
ミカ「止められても私は行きますよ」
アレックス・ワトソン(そうか──もうこの娘も大人に近ずいてるんだな)
  自分の娘が死ぬかもしれない戦場に向かおうとしたら本来なら止めるものだろう。
  だが俺は父親として最低な選択肢をえらんだ。
アレックス・ワトソン「いいだろう。俺な背中は君に任せる。ただし俺から離れすぎるなよ?」
ミカ「ありがとうございます!!」
  後悔する可能性は大いにある。だが、それでも今だけは・・・今ぐらいはこの子のやりたいようにやらせたいと思った。

次のエピソード:24話「それぞれの選択」

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