最果てのアイランド

YO-SUKE

第七話「脱出(後編)」(脚本)

最果てのアイランド

YO-SUKE

今すぐ読む

最果てのアイランド
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇霧の立ち込める森
花笠海斗「調べて来たけどダメだった・・・ 船着き場にはたくさん見張りがいて、 乗り込めそうにない」
花笠舞「なんとかならないの?」
花笠海斗「そうだ・・・! 船が沖に出た後に乗り込めばいいんだ」
花笠亮平「おいおい、そんなことできるわけないだろ 一度出た船にどうやって追いつくんだ?」
花笠海斗「モーターボートを使えばいい。 大型船を追いかけて、島の海域を 抜けたタイミングで乗り移れれば」
花笠亮平「でも俺たちが使えるモーターボートなんて ないだろ?」
花笠海斗「・・・いや、ある」
花笠亮平「なに?」
花笠海斗「しかも、大型船が停泊している港とは 反対側だ。警備が手薄かも・・・!」
花笠亮平「マジかよ・・・」
花笠海斗「森を抜けて島の反対側に行こう。 大型船が出航する30分前が勝負だ。 モーターボートで島を出るんだ!」

〇けもの道
花笠亮平「なあ・・・気になったんだが、 お前がアテにしてるモーターボートって、 キーはついてんだよな?」
花笠海斗「いや、秋良が言うには、 この島のモーターボートの鍵は、 村長が全部管理しているらしい」
花笠亮平「おいおい。それ大丈夫なのか?」
花笠海斗「ちょっと時間かかるかも しれないけど・・・」
花笠海斗「あれくらいのボートなら 僕がいじればなんとかなるかもって」
花笠亮平「そうか・・・まあここまで来たら、 俺はお前を全面的に信用するよ」
花笠海斗「もしダメだったら・・・全員殺されちゃうことになるかもしれないけど、ごめん」
花笠亮平「そんなことさせるか。いざとなったら、 俺が盾になってもお前たちを守る。 俺、意外と強いんだぞ」
花笠海斗「はぁ・・・あまり期待しないでおくよ」
花笠舞「ねえ! 二人とも港が見えて来たよ!」

〇堤防
  倉庫の影から様子を伺う。
花笠海斗「やっぱりこっちにも見張りがいたか」
花笠舞「でも、1、2、3・・・たった3人だよ。 あれくらいなら強行突破しちゃえば?」
花笠海斗「向こうは武器を持った男が三人だぞ。 確実に勝てる保証はない」
花笠亮平「どうすりゃいいんだ・・・」
花笠海斗「! この音って──」
花笠舞「あ、いつものお祈りだ! 今はチャンスなんじゃない?」
花笠亮平「お祈り中に俺たちに気づいて、 襲い掛かってきたらどうするんだ!?」
花笠海斗「いや、その可能性は低いと思う。 この島の信仰心は異常だ」
花笠海斗「賭けてみる可能性はある。 行こう!」
花笠海斗「思った通りだ! 船に乗り込め!」
  海斗はモーターボートに乗り込むと
  すぐに機械を弄り始める。
花笠海斗「ん・・・! やっぱりいける! これならすぐにエンジンをかけられるはず」
花笠舞「お兄ちゃん、早く!」
花笠亮平「こいつら・・・祈りは捧げているが、 俺たちのことを認識している!」
花笠亮平「この音が鳴り終わったら、 すぐに襲ってくるぞ!」
花笠海斗「大丈夫。あと少し・・・もう少しで──」
  プツンという大きな音と共に、
  アラーム音が途切れてしまう。
花笠亮平「なっ・・・! なんで?」
胡桃沢千治「ずいぶん探しましたよ。 こんなところにいましたか」
花笠亮平「そ、村長・・・!」
胡桃沢千治「生贄も捧げられず、島民たちを丸一日、 あなたたちを捜索するために使いました。 この代償は高くつきますよ」
花笠舞「お兄ちゃん! 急いで!」
花笠海斗「精一杯やってるって!」
胡桃沢千治「おしまいです。 あなたたち全員、この場で殺しますから」
花笠亮平「こ、ここは通さないぞ・・・!」
花笠海斗「お父さん!?」
花笠亮平「早くしろ! 海斗、お前ならできる」
花笠海斗「でもお父さんが──」
花笠亮平「俺なら構わない。 お前たちには迷惑をかけたしな」
花笠亮平「それに最期くらい・・・ 父親らしいことさせてくれよ」
花笠海斗「やめてよ・・・ そんな似合わないことしないでよ・・・!」
花笠亮平「さあ、お前たち! 俺を殺してから行け! 死んでもここは通さないぞ!」
胡桃沢千治「・・・愚かですねぇ。 なら死んでもらいましょう」
  胡桃沢がゆっくりと亮平に近づく。
  舞が船から飛び出し
  見張りの男から斧を奪う。
花笠舞「うわぁぁぁぁぁ!!!」
胡桃沢千治「や、やめろぉ・・・!」
胡桃沢千治「ひぃぃぃぃ・・・!!! わ、私の手がぁぁ!」
花笠舞「くそジジイが! さっさと死ね!」
島民2「村長!」
島民1「誰か! 村長を手当てしろ・・・!」
花笠海斗「エンジンがかかった・・・!」
胡桃沢千治「バカな! キーもないのにどうして」
花笠海斗「お父さん! 舞! 早く乗り込んで!」
  亮平と舞が船に乗り込むと、
  島民たちも後を追おうとする。
  だが、舞が斧を構えて立ち塞がる。
花笠舞「それ以上近づいたら、 あんたたちもぶった切るからね・・・!」
  舞の背後に夕日が重なる。

〇幻想2
島民2「くっ・・・まぶしい!」
島民1「おおっ! まるでマイ様の生き写しのようだ」
花笠舞「!」
花笠舞「わ、私がマイだ! 愚か者ども! 頭が高い・・・!」
島民2「!? マイ様が降臨された!」
島民1「マイ様・・・マイ様だ・・・!」
  島民たちが次々と膝をつき始める。

〇堤防

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

コメント

  • NOストレスでとても読みやすく、情景が浮かびやすくて好きです……!👍
    親父、生きた……!(けど、これから先はわからない……!)
    舞ちゃんの言動にとてもスカッとします。現実では(余程のことがない限りは)駄目ですが、創作作品内では『現実とゲームをごっちゃにして暴れるキャラ』凄く良い……✨

成分キーワード

ページTOPへ