最果てのアイランド

YO-SUKE

第四話「宝物庫」(脚本)

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〇古いアパートの居間
花笠舞「ねえ。やっぱりあの家のこと警察に 連絡したほうがいいんじゃない?」
花笠海斗「いや、僕は無駄だと思う」
花笠海斗「秋良は言ってた。 この島の人間はみんな信用するなって。 警察だってグルに決まってる」
花笠海斗「それより、次の大型船が来るときに、 僕たちが島を脱出することを考えよう」
花笠海斗「あの村長が言ってた「生贄」が いつになるかもわからないし、 急いだほうがいい・・・」
花笠海斗「お父さん、どう思う?」
花笠亮平「あれから俺なりに島について 調べてみたが・・・」
花笠亮平「すごいぞ、この島は掘れば掘るほど、 独自の文化や風習が露わになる」
花笠亮平「数百年前、マイという名の少女が島の危機を救ったという伝説があり、この島ではどんな小さい子でもその昔話を知っていた」
花笠舞「それで島のみんなは私のことを──」
花笠亮平「ああ。だが島のことは謎に包まれている」
花笠亮平「神社の奥に洞窟があって、 そこには宝物庫があるらしいんだが・・・」
花笠亮平「そこを調べられたらなぁ」
花笠海斗「そんなの警備が厳しいに 決まってるんじゃないか」
花笠海斗「そんなことより、脱出の準備だよ。 次の大型船が来るのは土曜日の夕方だ。 あと三日しかない」
花笠亮平「うーん。生贄のことは怖いが、 新しい小説のモチーフとしては、 この島は最高だよな・・・」
花笠舞「はあ? あの死体を見といて、 よくそんなこと言えるわね!?」
花笠亮平「い、いやそれはまあそうなんだが・・・」
花笠海斗「お父さん。村長たちの言う生贄がもし 命を捧げるようなものだったら舞は──」
花笠亮平「わ、分かってる! 分かってるって!」
花笠海斗「とにかくあと三日。誰に見られているか わからないし、出来るだけ自然にいよう」
花笠海斗「島を出る準備は少しずつやるんだ」
花笠亮平「そ、そうだな・・・」

〇洞窟の入口(看板無し)
  カメラを首から下げ周囲を警戒する亮平。
花笠亮平「あいつらに悪いが・・・ こんな面白い島にいて、作家が手ぶらで 帰るなんてできるわけないだろ」
  暗い洞窟の先を覗き、生唾を飲み込む。
花笠亮平「だ、大丈夫。 ちょっと写真を撮って帰るだけだ」

〇暗い洞窟
花笠亮平「ふう・・・ずいぶん奥まであるんだな。 どれだけ歩けば──」
  鉄の扉の隙間から光が漏れている。
花笠亮平「なんだ・・・この扉は? まさかこれが宝物庫・・・?」
花笠亮平「ちょっとだけ・・・ ちょっとだけ覗いてみるか」
花笠亮平「! 嘘だろ・・・これって──」

〇木造の一人部屋
  画面に大型船の艦内図が表示されている。
花笠海斗「・・・どこか三人が隠れる場所を 決めておかないと」
花笠海斗「船の中にも島民はいるかもしれないし──」
花笠舞「お兄ちゃん! 大変!」
花笠海斗「な、なんだよ! こんな夜中に。 ノックしろって言ったろ」
花笠舞「家の前に島の人たちが来てる!」
花笠海斗「なんだって!?」
花笠舞「それにお父さんが見当たらないの。 もしかしてお父さんに何かあったのかも」
花笠海斗「くそ・・・なんで! 大型船が来るのは明日なのに・・・!」

〇神社の本殿

〇広い和室
  海斗と舞が島民たちに
  連れられてやってくる。
胡桃沢千治「皆さん。ご苦労様です」
胡桃沢千治「そして海斗くんと舞さん。 こんな夜中に突然呼び出して申し訳ない」
花笠海斗「あの! お父さんが見当たらないんです。 もしかして──」
胡桃沢千治「ええ。お父さんは今、 私たちがお預かりしてますよ」
花笠海斗「な、なんでそんなこと・・・」
胡桃沢千治「君たちのお父さんは島の宝物庫に近づいた 重罪を犯したのです」
花笠海斗「なっ・・・!」
花笠舞「あのバカ親父っ・・・!」
胡桃沢千治「お父さんの処遇には少し 時間がかかるでしょう」
胡桃沢千治「きちんと説明だけはしておこうと 思いましてね」
花笠海斗「処遇? それはいったい・・・」
胡桃沢千治「ふふふ。まあ帰って来た君たちのお父さんが五体満足かどうかは保証できませんが」
花笠海斗「! お、お願いします・・・! お父さんを助けてください」
胡桃沢千治「約束はできません。 全てはマイ様の思召すままですから」
花笠舞「・・・クソじじいが」
花笠海斗「ま、舞?」
花笠舞「お父さんを返しやがれ! さもないと、 私が全員ぶっ殺してやる・・・!」
花笠海斗「おい、舞! やめろっ!」
  舞が胡桃沢に飛びかかる。
  島民たちが舞を胡桃沢から引き剥がす。
胡桃沢千治「あー、君たちあんまり乱暴しちゃいけないよ。舞さんは大事な生贄なんだから」

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