最果てのアイランド

YO-SUKE

第五話「マイ信仰の秘密」(脚本)

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〇暗い洞窟
花笠海斗「なあ、おかしいと思わないか? 島の宝物庫という割には警備らしいのが いたのは、入り口だけだろ?」
花笠舞「島の人はみんな洗脳されてるんでしょ? 侵入者がいるなんて思われてないのよ」
花笠海斗「じゃあなんでお父さんは 捕まっちゃったんだろう・・・」
花笠舞「待って! お兄ちゃん、あれ!」
花笠海斗「鉄の扉? こんな洞窟の中に?」
花笠舞「行ってみよう」
花笠海斗「あ、おい! 待てよ、舞!」

〇諜報機関
花笠舞「気色悪っ・・・。島中、至るところが 監視されてるってこと?」
花笠海斗「これがこの島の正体か」
花笠海斗「なんだこれ。女の子の写真ばかり・・・」
花笠舞「みんな同じ白い服を着てるけど」
花笠海斗「! もしかしてこれ、過去に生贄になった 女の子たちか・・・!」
花笠舞「ねえ、女の子の下に書いてある数字、 これ何かな?」
胡桃沢千治「それはその子の値段ですよ」
花笠海斗「なっ・・・!」
胡桃沢千治「ここは人が入ると感知システムが作動する 仕組みになっているんですよ」
胡桃沢千治「君たちも、お父さんに似てマヌケですねえ」
花笠海斗「くっ・・・それで警備が手薄だったのか」
花笠舞「それより値段ってどういうこと?」
胡桃沢千治「売値です。 若い女の子は外国に高く売れるんです」
花笠海斗「ま、舞! これを見ろ!」
花笠舞「私の写真・・・! 売値は五千万・・・? 私は五千万で売られるってこと!?」
花笠海斗「それが生贄の正体──」
胡桃沢千治「ははは。 まさか殺されるとでも思ってましたか?」
胡桃沢千治「まあ売られた後に殺される以上の苦痛が 待っているかもしれませんけどね」
花笠海斗「この島は・・・あんたが支配する 人身売買の島だったのか」
胡桃沢千治「ええ。表向きは、崇高なマイ様に 守られている島ですけどね」
胡桃沢千治「かつてこの島は植民地・・・ すなわち外国の奴隷島だったのです」
胡桃沢千治「ですが、生贄という名の犠牲を捧げる ことで、島は自由と尊厳を勝ち取った」
胡桃沢千治「マイという少女は、 その最初の生贄と言われています」
胡桃沢千治「私の祖先と一部の島民が、それを利用して何百年もこの島の人間たちを洗脳し続けているのですよ」
花笠舞「何それ、最低最悪の島じゃん・・・」
花笠海斗「じゃあやっぱり・・・秋良の家族を 殺したのはお前たちなんだろ!?」
胡桃沢千治「ええ。秋良くんは島の秘密に気づいて ましたし、脱出しようとしていたので」
胡桃沢千治「タイミングよく、 6月に子どもを産んでくれましたしね」
花笠海斗「! もしかして、秋良のお母さんが 早産になったのは──」
胡桃沢千治「私が島の医者に手を回して、出産を早める促進剤を定期的に打たせました」
胡桃沢千治「あとは島民を煽ればあれくらいは勝手に やってくれます。そう洗脳してますから」
花笠海斗「そんなことまで・・・!」
花笠舞「死ね! クソじじい!」
胡桃沢千治「そう何度もやられませんよ。 皆さん、捕まえてください」
花笠舞「離せ・・・! 離せよぉ!」
胡桃沢千治「猛犬のように野蛮な子ですね。皆さん、 値が下がるからあまり傷つけないように」
花笠舞「うわぁぁぁぁぁ!!!」
花笠海斗「やめろ・・・! 舞を離してくれ!」

〇牢獄
「・・・・・・」
花笠亮平「海斗! 舞!」
花笠海斗「お父さん! 良かった・・・ 無事だったんだ!」
花笠亮平「でもお前たち、なんでここに──」
花笠海斗「お父さんを助けるために 決まってるじゃないか!」
花笠海斗「まあ結局、こうして失敗しちゃったけど」
花笠亮平「海斗・・・」
花笠舞「お父さん。誰のせいでこんな目に 遭っているか分かってるよね」
花笠亮平「ああ。すまないと思ってる」
花笠舞「はあ・・・最悪。 マシンガンとかどっかに落ちてないかな」
花笠舞「お父さんもあの村長も、 まとめて頭ぶっ飛ばしたい」
花笠海斗「舞。言いすぎだ」
花笠舞「ふん。知らない」
花笠亮平「海斗・・・本当にすまない」
花笠亮平「こんな島だなんて・・・ 本当に知らなかったんだ」
花笠亮平「俺は、お前が都会よりも、こういう場所のほうが伸び伸びできるんじゃないかなと思って」
花笠亮平「でもこの島を調べているうちに、いつもの 職業病で夢中になっている自分がいた」
花笠亮平「すまない」
花笠海斗「僕だって・・・謝らなくちゃ。一人じゃ 助けようなんて思わなかったと思う」
花笠海斗「でも舞は最初から迷いがなかった。 お父さんを助けるんだって」

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