最果てのアイランド

YO-SUKE

第二話 「島のルール」(脚本)

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〇古いアパートの居間
花笠海斗「ねえ、おかしいでしょ?」
花笠海斗「プリントを忘れただけで公開折檻される なんて。しかも誰も止めないんだよ」
花笠亮平「そんなことより海斗、この写真見てくれ」
花笠亮平「今日島で撮ったんだが、すごいだろ? かなり歴史的な建造物だぞ」
花笠海斗「お父さん。僕の話聞いてる? クラスメイトが竹刀で叩かれてたんだよ?」
花笠亮平「次の新作はこれで行けるな・・・ よし、冒頭だけ書き出してみるか!」
花笠海斗「もう・・・ 舞、お前はどう思う?」
花笠海斗「あの急に始まるお祈りだって おかしかったよな?」
花笠舞「あー、ちょっと話かけないで! もう少しでボス倒せるんだから」
花笠舞「オラっ! 死ね~!」
花笠海斗「はぁ・・・お父さんと舞に相談した僕が バカだった。ちょっと出かけて来る」
花笠亮平「どこ行くんだ?」
花笠海斗「決まってるだろ。 その折檻された男の子の家だよ」

〇ボロい家の玄関
  ガラガラッ
花笠海斗「花笠海斗って言います。秋良くんの」
堂島博美「あら? もしかして秋良の友達? 珍しいわね」
花笠海斗「秋良くんいますか?」
堂島博美「ちょっと待ってね。私、妊婦だから あの子に買い物を頼んでて――あ!」
堂島秋良「お前か。そろそろ来ると思っていた。 場所を変えるぞ」
花笠海斗「え? いや、あの──」

〇田園風景
花笠海斗「ね、ねえ。どこに行くの?」
堂島秋良「村長のところだよ。 絶対余計なこと喋るなよ」
花笠海斗「え? それどういうこと?」
堂島秋良「とにかく、 お前はニコニコしていればいいから」
花笠海斗「う、うん・・・ それより昨日の傷は大丈夫なの? かなりやられたんじゃ」
堂島秋良「あんなの、この島では日常茶飯事だ」
花笠海斗「あれが日常茶飯事・・・」
堂島秋良「詳しい話はあとだ。着いたぞ」
堂島秋良「ここが、この島の村長の家だ」

〇神社の本殿
  秋良と海斗が村長の胡桃沢千治に
  頭を下げている。
胡桃沢千治「なるほど。島案内か。 いいじゃないか。ちょっと待ってなさい」
堂島秋良「ありがとうございます」
  胡桃沢は奥の倉庫に行くと、
  モーターボートの鍵を持ってくる。
胡桃沢千治「はい。これが鍵だ。 ただし使っていいのは二時間」
胡桃沢千治「かならず陸地から見える場所までしか いかないこと。いいね」
堂島秋良「お借りします」
花笠海斗「ありがとうございます!」
胡桃沢千治「君が花笠海斗くんか。初めまして」
花笠海斗「は、初めまして!」
胡桃沢千治「どう? いい島でしょう? 自然が多くて、みんな優しくて・・・」
胡桃沢千治「前の学校のように、 君をイジメるような人もいない」
花笠海斗「! どうしてそれを・・・」
胡桃沢千治「あー、ごめんごめん。閉鎖的な島だからね」
胡桃沢千治「外の人間への警戒心が強くて、移住者の ことは色々と調べさせてもらっているんだ」
堂島秋良「あ、あの、失礼します。海斗、行こう」
胡桃沢千治「秋良くん。 昨日のことは学校から報告入ってますよ」
堂島秋良「・・・・・・」
胡桃沢千治「マイ様への感謝を忘れずに」
堂島秋良「・・・ありがとうございます」

〇小型船の上
堂島秋良「回りくどいやり方をしてすまなかった」
堂島秋良「お前と誰もいないところで 話がしたかったんだ」
花笠海斗「ここまでやらなくても・・・」
堂島秋良「この島の船の鍵は、 全てあの村長が握っている」
堂島秋良「お前に島案内をするという理由でもないと 船の鍵を借りることはできないんだよ」
花笠海斗「ねえ、教えて。この島はなんなの? 普通じゃないよね?」
堂島秋良「ああ、異常だ。 俺の家族は三年前に移住してきた」
堂島秋良「今じゃ最低限は馴染んだ振りをしているが おかしいのは充分にわかってる」
花笠海斗「やっぱり・・・」
堂島秋良「全て、あの村長が支配しているんだ。 あいつはニコニコした顔をした悪魔だ。 絶対に信用するな」
花笠海斗「前にも言ってたよね? 島民全てを信用するなって」
堂島秋良「この島の人間は、 全員あの村長の操り人形だよ」
花笠海斗「そんな・・・」
堂島秋良「だから俺は島を出る。 なんとしても村長の目をかいくぐってな」
堂島秋良「お前も見ただろ? 今は母ちゃんが妊娠中なんだ」
堂島秋良「だから子どもが生まれて落ち着いたら 島を脱出しようと思う」
花笠海斗「そうだよね・・・ こんなところにいるべきじゃないよね」
堂島秋良「モーターボートでどこまで行けるのか わからないけどな」
堂島秋良「ま、今日も予行練習みたいなもんだ」

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