第11話『合宿初日』(脚本)
〇駅前広場
三好優弥「ついにこの日が来てしまったな」
宇喜多羽彩「ミス研なのに2泊3日の謎合宿」
宇喜多羽彩「何すんの?」
三好優弥「一泊二日だと忙しないからな」
三好水葉「食料は現地調達」
宇喜多羽彩「今日はどんなところに泊まるの?」
三好優弥「コテージだ」
宇喜多羽彩「すご!」
三好優弥「もちろん無料」
三好水葉「さすが、理事長 こんな時期にタダで泊めてくれるなんて 太っ腹すぎる」
蒼村優「楽しみです」
三好双葉「しかも、バスで移動するんだよね?」
三好優弥「迎えに来てくれる」
「校長先生!」
「おはようございます」
金剛天寿「おはよう」
金剛天寿「バスは俺が運転する」
三好双葉「いいんですか?」
蒼村優「そうですよ」
金剛天寿「向こうの方に野暮用があって そのついでだから気にしないでくれ」
金剛天寿「向こうに着いたら別行動するから 楽しんでくれ」
三好双葉「校長先生 マイクロバスも運転できるんですね」
金剛天寿「大型特殊もあるから安心しなさい」
蒼村優「能力高すぎ」
上杉遼羽「校長先生! 今日はよろしくお願いします!」
金剛天寿「上杉氏、よろしく頼むぞ」
三好優弥「校長、今日はありがとうございます」
金剛天寿「生徒のためになるなら本望だ」
〇観光バスの中
金剛天寿「では行くぞ!」
三好優弥「目的地までよろしくお願いします!」
上杉遼羽「楽しくなって来た」
金剛天寿「移動も旅行の醍醐味だ 楽しんでくれ」
宇喜多羽彩「まさかの大型バス」
上杉遼羽「理事長の私物だから大丈夫」
蒼村優「理事長凄すぎ」
三好双葉「こんなのマイナーサークルが使って 本当にいいのかな」
宇喜多羽彩「まあ、校長先生がいいなら いいんじゃないかな」
三好水葉「楽しみましょう」
宇喜多羽彩「でも、校長先生とも随分と親しげだね」
三好優弥「試験前まで勉強教えてくれたのが 校長だからな」
宇喜多羽彩「え?」
蒼村優「先輩、コミュ力が高いのかないのか 極端すぎますね」
三好優弥「俺が入るには学力が足りなかったからな」
宇喜多羽彩「ますます、優弥の経歴が 意味わからなくなって来た」
〇田舎駅の駐車場
三好優弥「旅の醍醐味といえば サービスエリアだよな」
蒼村優「食べ物買い過ぎじゃないですか? このあと、お昼ですよね」
金剛天寿「若いうちはたくさん食べて遊びなさい」
三好優弥「さすが、校長分かってる」
〇お化け屋敷
蒼村優「コテージってレベルじゃないですけど」
三好優弥「洋館だな」
三好水葉「事件起きそう」
蒼村優「やめてよ!」
宇喜多羽彩「じゃあ、早速昼ごはんの準備しようか」
三好双葉「はーい」
宇喜多羽彩「とりあえず昼ごはんの食材は用意したから 晩御飯分は買い出しに行かないとね」
三好優弥「そうだな」
〇洋館の玄関ホール
三好優弥「雰囲気あるな!」
上杉遼羽「探偵アニメなら死人出るな」
蒼村優「変なフラグ立てないでください!」
上杉遼羽「その方が楽しいじゃん?」
三好優弥「まず最初にリタイアするの誰だろうな」
上杉遼羽「多分俺じゃね?」
蒼村優「自分で言っちゃうんですか?」
上杉遼羽「大抵こういう時って チャラそうな男から死なないか?」
蒼村優「チャらいって自覚あったんですね」
三好優弥「無事に終わればいいな」
蒼村優「だから変なフラグ立てないでくださいよ」
〇貴族の部屋
宇喜多羽彩「部屋すご!」
三好水葉「すご!」
三好双葉「本当にタダで泊めてもらえていいのかな」
宇喜多羽彩「理事長太っ腹すぎる」
三好水葉「この機を逃したら いつ泊まれるか分かりませんね」
三好双葉「でも、2人部屋だね」
宇喜多羽彩「じゃあ、だれと寝るか決めようか」
宇喜多羽彩「こういうときは運勝負だよね」
三好水葉「やりましょう!」
〇広い厨房
宇喜多羽彩「初日の部屋割りは私とそむらちゃん 二日目は私と水葉ってことで」
三好水葉「夜が楽しみです!」
三好双葉「それにしても これはキッチンというより厨房ですね」
宇喜多羽彩「料理のやりがいがあるね」
〇城の会議室
三好優弥「広すぎだな」
上杉遼羽「屋敷だったな!」
蒼村優「どんな手違いがあれば コテージと屋敷を間違えるんですか?」
上杉遼羽「旅行会社がおそらく気を利かしたな」
三好優弥「これぞ、学園生徒の特権だな」
蒼村優「マジやばいですね」
三好優弥「そういえば、そむらは 料理手伝わないのか?」
蒼村優「私がいると邪魔になりそうで」
三好優弥「せっかくだから教わればいいだろ」
蒼村優「そうですね せっかくの機会だから教えてもらいますね」
上杉遼羽「さすがお嬢様だな 料理したことあまりないのか」
三好優弥「料理の話あまり聞かないな」
上杉遼羽「あ、そうだ」
上杉遼羽「肝試しのメインは 女子組にさせようと思う」
三好優弥「いいんじゃないか? その方が見る側は面白いだろ」
上杉遼羽「それもあるんだが 俺たちの場合ノーリアクション過ぎて 見てる側がつまらないんだよな」
三好優弥「俺たちを驚かせられない 心霊スポット側に問題がある」
上杉遼羽「確かにな」
上杉遼羽「俺たちは撮影係」
三好優弥「りょ」
〇山中の川
三好優弥「散策で来てみたけど 自然が豊かだな」
宇喜多羽彩「癒されるね」
三好優弥「ここならUMA出そうだな」
宇喜多羽彩「UMA? 出るの?」
三好水葉「お兄ちゃんはUMAにも 興味あるんですよ」
宇喜多羽彩「本当にオカルト好きだね」
三好優弥「昔、よく公園で探したしな」
宇喜多羽彩「そのときは1人だったの?」
三好優弥「どうだっけかな」
三好水葉「お兄ちゃん、私と双葉と3人で よく探したじゃない!」
三好優弥「あー、そんな気もするな」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
三好優弥「もっと大勢いた気するな」
宇喜多羽彩「気になるね」
三好水葉「あっちの方に行ってみない!?」
三好優弥「そうだな」
〇荒廃したビル
上杉遼羽「今回は俺と三好は裏方に回るから」
宇喜多羽彩「了解」
三好優弥「とりあえず、出演者は 羽彩、水葉、優に任せた」
宇喜多羽彩「はーい」
蒼村優「私ですか!? 裏方かと思ってました!」
上杉遼羽「双葉はあまり肝試しなれてないから 裏方をやってもらう」
蒼村優「まあ、しょうがないか」
三好双葉「配慮してもらって ありがとうございます」
上杉遼羽「礼は三好に言ってくれ こいつの提案だ」
三好双葉「・・・・・・ありがとう」
三好優弥「おう 照明とか頼んだぞ」
三好優弥「とりあえず怪我がないようにな」
「はーい」
〇荒廃したビル
宇喜多羽彩「今から廃病院を探索したいと思います」
蒼村優「すごい怖いんですけど」
蒼村優「絶対なんか出そうですよ」
三好水葉「ちなみにここの病院ですが 昔医療ミスが報じられました後 経営難になり、院長も謎の病気で死亡」
三好水葉「それから間も無くして廃業し その後は心霊の噂が絶えないスポットに なったそうです」
宇喜多羽彩「そんな聞いた話だと 本当に何か出そうですね」
蒼村優「嫌なこと言わないでくださいよ」
三好水葉「それでは、早速中に入ってみましょう」
蒼村優「何で私まで、、」
〇手術室
宇喜多羽彩「手術室は意外と綺麗なままですね」
三好水葉「ヤバい場所は落書きすらないそうですよ」
蒼村優「まさにここじゃないですか!」
三好水葉「あ、これ!」
宇喜多羽彩「カルテだ」
蒼村優「そんなもの残ってて平気ですか?」
三好水葉「噂によるとカルテを持ち帰ると 病院の番号から電話がかかってきて」
三好水葉「『カルテを返してください』と 女の人の声で言われるらしいです」
宇喜多羽彩「さすがに、敷地のものを持っていくのは 犯罪なのでそれはしません」
蒼村優「良かった!」
〇廃ビル
宇喜多羽彩「雰囲気が漂ってますねー」
三好水葉「いつ何が出てもおかしくないですね」
蒼村優「な、なんか音しました!」
三好水葉「あっちだ!」
〇荒れた倉庫
蒼村優「何もないですけど」
三好水葉「確かにこっちから物音したよね」
宇喜多羽彩「うん、したはずだけど」
蒼村優「随分と荒れてるから 風でも入ってきたんですかね」
「ああああああああああ!」
三好水葉「子供の声がした!」
蒼村優「ヤバいヤバいです!」
宇喜多羽彩「逃げよう!」
〇荒廃したビル
宇喜多羽彩「1人は半分失神してしまいましたが 無事に肝試しは終了です」
宇喜多羽彩「最後の謎の声は本当に驚いたかな」
三好水葉「本当にあれなんだったんだろ」
三好水葉「いろいろとあって楽しかったですね」
宇喜多羽彩「では、今日はこの辺で 終わりにしましょう」
「最後までご覧いただき ありがとうございました!」
〇城の会議室
上杉遼羽「結構いい撮れ高だったんじゃないかな! しっかり謎の現象撮れてたし」
宇喜多羽彩「だよね! 無理した甲斐があったよ!」
三好水葉「これなら学園祭で 安心して流せますね!」
宇喜多羽彩「まあ、犠牲者2名出たけどね」
「・・・・・・」
宇喜多羽彩「撮影的には美味しいんだけど 想像以上のリアクション過ぎてね」
宇喜多羽彩「でも、本当に取り憑かれたら どうするんだろ」
三好優弥「その辺は大丈夫だ」
三好優弥「京極が払える」
宇喜多羽彩「あの人、そんな凄いの?」
三好優弥「そういう家系だからな」
三好水葉「やっぱり変人だと お兄ちゃんと気が合うんだね」
三好優弥「ちなみに、今まで 何も取り憑かれたことないぞ」
宇喜多羽彩「逆にそれが凄いよね」
三好水葉「不思議だよね」
三好優弥「まあ、そんなもんなんだろ」
〇旅館の和室
上杉遼羽「俺たちの部屋だけ 和室っていうのが笑えるな」
三好優弥「まあ、落ち着くからいいけどな」
上杉遼羽「確かに 旅行っぽくていいな」
三好優弥「そうだな」
上杉遼羽「それにしても、1年前とは随分変わったな」
三好優弥「確かに去年までは 2人で合宿だったもんな」
三好優弥「でも、やっぱ旧校舎が1番だな」
上杉遼羽「どんだけ旧校舎好きなんだよ」
上杉遼羽「本当は何か探してるんだろ?」
三好優弥「ああ、何か思い出せないんだけどな」
〇貴族の部屋
宇喜多羽彩「今日は楽しかったね」
蒼村優「え、あ、はい」
蒼村優「先輩が楽しんでくれたから 良かったです」
宇喜多羽彩「こうして、そむらちゃんと 2人きりで話すのは初めてだね」
蒼村優「言われてみればそうですね」
蒼村優「嬉しい!」
宇喜多羽彩「本当そむらちゃんって良い子だよね」
蒼村優「そんなことないですよ!」
宇喜多羽彩「そんなそむらちゃんに 聞きたいことがあるんだけど」
宇喜多羽彩「そむらちゃんも 中学生の時に優弥に 会ったことあるの?」
蒼村優「えっ? どうしたんですか?急に」
宇喜多羽彩「私ね、優弥と2年前に 会ったことあるの」
蒼村優「そうなんですか!?」
宇喜多羽彩「どうなの?」
蒼村優「あります」
蒼村優「元々水葉と双葉とは塾が一緒でしたけど 優弥先輩に直接会ったのは偶然でした」
宇喜多羽彩「じゃあ、そむらちゃんは 事情を知ってるんだよね」
蒼村優「ええ、知ってます」
宇喜多羽彩「教えてくれないんだよね?」
蒼村優「言えません」
宇喜多羽彩「そっか」
蒼村優「気を悪くしないでください」
宇喜多羽彩「大丈夫だよ」
宇喜多羽彩「ただね、疎外感があって悲しいな」
蒼村優「ごめんなさい」
宇喜多羽彩「そっか」