パパは宇宙人

結丸

パパは宇宙人(脚本)

パパは宇宙人

結丸

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パパは宇宙人
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〇ダイニング(食事なし)
坂下 響子「ちょっと竜悟! 何なのよ、この作文」
坂下 竜悟「え?」
坂下 響子「「僕のパパは宇宙人です」って・・・ こんなこと書いて提出するつもり?」
坂下 竜悟「だって、ママが言ったんじゃん パパは宇宙人なんだよ、って」
坂下 響子「そ、それは──」
坂下 竜悟「言ったよね? パパは宇宙人だから、一緒に暮らせないって」
坂下 響子「言ったけど・・・ でも、作文に書いちゃダメ」
坂下 竜悟「なんで?」
坂下 響子「なんでって・・・ とにかく、ダメなものはダメなの!」
坂下 竜悟「・・・っ」
坂下 響子「とにかく、作文はまた後にして・・・ クリスマスケーキ取りに行こ? ね?」
坂下 竜悟「・・・」
坂下 響子「あ、ちょっと!」
坂下 響子「まったく・・・ 頑固なところはあの人譲りね・・・」

〇屋敷の大広間
門倉 銀二「・・・っくしょい!!」
竹田 将兵「若頭、風邪ですか?」
門倉 銀二「じゃねぇと思うけど・・・」
竹田 将兵「今日はクリスマスですし、 早めに帰られたほうが──」
門倉 銀二「竹田」
竹田 将兵「? はい」
  ボカッ!
竹田 将兵「っ〜〜〜!? な、何で殴るんですか!」
門倉 銀二「お前なぁ・・・ どこの世界にクリスマスを気にするヤクザが いるんだよ!」
竹田 将兵「いや、若頭じゃなくて・・・ 坊ちゃんのことですよ」
門倉 銀二「あ? 坊ちゃん?」
竹田 将兵「竜悟くんですよ。 今夜、会うんでしょう?」
門倉 銀二「・・・会わねぇよ。 ってか、もうずっと前から会ってねぇし」
竹田 将兵「えっ・・・ な、なんでですか?」
門倉 銀二「バカ野郎、テメェの稼業を忘れたか?」
竹田 将兵「そ、それは・・・ でもクリスマスぐらいは──」
門倉 銀二「・・・住む世界が違うんだよ」
竹田 将兵「若頭・・・」
門倉 銀二「んだよ、辛気くせぇなぁ・・・ お前のそんなツラ見たくねぇんだけど」
竹田 将兵「で、でも・・・ 若頭が気の毒で・・・ズズッ」
門倉 銀二「おいおい、何でお前が泣いてんだよ」
竹田 将兵「す、すんませ・・・ううっ、 ダメだ、止まんないです・・・」
門倉 銀二「なんなんだよ・・・あーもう! 勝手に一人で泣いてろ!」
竹田 将兵「あっ、若頭・・・」

〇アーケード商店街
  ガヤガヤ・・・
坂下 竜悟「(勢いで出てきちゃったけど、 これからどうしようかな・・・)」
門倉 銀二「ったく、竹田のヤツ・・・」
  ドンッ
門倉 銀二「ってぇ・・・ どこに目ぇつけて──」
坂下 竜悟「ご、ごめんなさい!」
門倉 銀二「お前・・・」
門倉 銀二「竜悟・・・か?」
坂下 竜悟「えっ? おじさん、僕のこと知ってるの?」
門倉 銀二「あ、いや、その・・・と、友達! パパの友達だ!」
坂下 竜悟「パパの、友達・・・?」
門倉 銀二「そ、そうそう! 前にお前の写真を見せてもらってさ、 そんで顔覚えてて──」
坂下 竜悟「すごい! じゃあ、おじさんも宇宙人なんだね!」
門倉 銀二「・・・ん? 宇宙人?」

〇シックなカフェ
門倉 銀二「じゃあ、響・・・じゃなくて、 ママがパパのことを宇宙人だって言ったのか」
坂下 竜悟「うん。 なのに、作文には書くなって言うんだ」
坂下 竜悟「嘘ついちゃダメだって、 いつも僕に言ってるのに・・・」
門倉 銀二「・・・真実が良いことだとは限らねぇよ」
坂下 竜悟「えっ?」
門倉 銀二「いや、その・・・宇宙人ってバレたら、 誰かが捕まえにくるかもしれねぇだろ?」
坂下 竜悟「そっか・・・ パパが捕まっちゃうの、可哀想だな・・・」
門倉 銀二「そうそう、だから──」
坂下 竜悟「でも、それじゃ嘘つかなくちゃいけないってことだよね・・・」
門倉 銀二「あのな、竜悟・・・ 嘘も悪いことばっかじゃねぇんだぜ?」
坂下 竜悟「どういうこと?」
門倉 銀二「”誰かを守るため”の嘘もあるってことだ」
坂下 竜悟「誰かを、守るための・・・」
門倉 銀二「だから・・・パパを守るための嘘、 ついてやってくれねぇか?」
坂下 竜悟「・・・うん、分かった」
門倉 銀二「ん、いい子だ。 そんじゃ、近くのコンビニまで送ってやるよ」
坂下 竜悟「あれ? なんで僕んちの近くに コンビニあるの知ってるの?」
門倉 銀二「そ、それは──」
門倉 銀二「おじさんも宇宙人だからな、 そーゆーのも分かっちまうんだ」
坂下 竜悟「そっかぁ! じゃ、行こ!」
門倉 銀二「・・・・・・」

〇ゆるやかな坂道
坂下 竜悟「おじさん、今日はありがとう」
門倉 銀二「おう」
坂下 竜悟「パパにもよろしくね」
門倉 銀二「・・・竜悟」
坂下 竜悟「うん?」
門倉 銀二「あのさ・・・ これ、もらってくんねーか?」
  シャラッ・・・
坂下 竜悟「ネックレス・・・?」
門倉 銀二「まぁ、俺のお守りみてぇなモンだ」
坂下 竜悟「ええっ? そんな、おじさんの大事なものじゃないの?」
門倉 銀二「だから、だ。 大事だから、お前にもらって欲しいんだよ」
坂下 竜悟「おじさん・・・? なんで・・・」
門倉 銀二「ほら、今日クリスマスだろ? だから何かやりてぇなーって・・・変か?」
坂下 竜悟「ううん、変じゃないよ! ありがとう・・・大切にするね」
門倉 銀二「・・・おう」
坂下 竜悟「・・・あ」
門倉 銀二「ん? どした、忘れ物か?」
坂下 竜悟「ううん。 作文、いいこと思いついちゃった」
門倉 銀二「へえ、教えてくれよ」
坂下 竜悟「えっとね・・・」
坂下 竜悟「パパは、サンタさんってことにする!」
門倉 銀二「・・・!」
坂下 竜悟「じゃーねー! またね、おじさん!」
門倉 銀二「あっ・・・」
門倉 銀二「サンタさん、ね・・・ はは、いい嘘じゃねぇか」
門倉 銀二「ったく・・・」

〇クリスマスツリーのある広場
  パパはサンタさん
  3年2組 坂下竜悟
  ぼくのパパは、サンタさんです。
  だから、はなれてくらしています。

〇アーケード商店街
  このあいだ、パパの友だちに会いました。
  おっきくて、かみの毛は金色でした。
  きっと、このおじさんもパパと同じ
  サンタさんなんだと思います。
  そのしょうこに、おじさんは・・・
  パパのかわりに、プレゼントをくれました。

〇ケーキ屋
坂下 響子「竜悟、見て。今年のケーキ」
坂下 竜悟「わぁ・・・!」
  キラッ・・・
坂下 響子「あら? 竜悟、何か着けてる?」
坂下 竜悟「あ、えっと・・・」
坂下 響子「これ・・・」
坂下 竜悟「パパの友達の宇宙じ── サンタさんがくれたんだ」
坂下 響子「サンタさん?」
坂下 竜悟「パパの友達がね、誰かを守るための嘘なら ついていいって教えてくれて・・・」
坂下 響子「・・・そう」
坂下 竜悟「パパが宇宙人ってバレたら捕まっちゃうかもしれないでしょ? だから、作文には”サンタさん”って書くんだ」
坂下 響子「・・・っ」
坂下 竜悟「マ、ママ? どうしたの?」
坂下 響子「ううん、大丈夫・・・ 良かったわね、竜悟」
坂下 竜悟「うんっ!」
  ありがとう、パパの友だちのサンタさん。
  パパにもよろしくって伝えてね。

コメント

  • パパが「銀」で子供が「竜」か…。昔のヤクザドラマに出てくる「銀竜会」を思い出しました。優しくて機転の利く竜悟くんにはこのまままっすぐ育ってほしい。パパと同じ業界(サンタじゃない方)には行かないでほしいなあ。

  • 出てくる人みんな優しくて、心温まるお話でした。
    そうですよね、つくべき嘘もあるんですが、まだ子どもにはわかりにくいとお母さんは思ったのかもと思いました。
    お父さんいい人ですね。

  • 確かに誰かを守る嘘、誰かのための嘘、つくこと私もあります。
    それが良いか悪いからはさておいて…。
    パパはサンタさん、まぁ確かにそうなんだけど…なんか複雑ですね汗

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