性格診断(脚本)
〇オフィスのフロア
・・・
ことね「先輩、先輩」
ありさ「あー? おまえ早くそっちのデバック作業終わらせろよ。 帰れねえじゃねえか」
ことね「性格診断してもいいっすか?」
ありさ「おまえ・・・ 私の話聞いてる?」
ことね「ちょっとぐらいいいじゃないっすかー もう目ショボショボで、 指カチコチで、 腰ダルダルなんすよ」
ことね「息抜きしましょうよー」
ことね「ねー、息抜きー」
ことね「いっきぬき! いっきぬき!」
ことね「い・き・ぬ・き! い・き・ぬ・き!」
ことね「い・き・ぬ・き き・ぬ・き き・ぬ・い・き・ぬ ぬきき・いききぬ ぬきいきぬ きぬいきぬきぬきぬきぬ ぬきいんっっっっk」
ありさ「わかった! わかったから! おまえがバグるな! 鬱陶しい!」
ことね「いえーい」
ことね「じゃあ行きますよ?」
ことね「あなたはキッチンオリジンにいます」
ありさ「あん?」
ことね「自分がキッチンオリジンにいることを、 ちゃんとイメージしてくださいよ。 そうしないと性格診断できないですからね」
ありさ「いや性格診断でしょ? どういうこと?」
ことね「いいから! 集中して!」
ことね「あなたは残業でヘトヘトで、 お腹がペコペコに空いています」
ことね「もうなんにもする気が起きません」
ことね「キッチンオリジンは十人ほど並んでいました。 10分以上は待ちそうです」
ことね「もう疲れてるし、お腹空いてるし、 待ちたくないなあと、 あなたは思っています」
ことね「そんなとき、 あなたが注文しようとしていたタルタルのり弁当が、 出来合いの状態で机に置いてあるのが目に入ってきました」
ことね「あなたは家でレンジで温めればいいと思い、 それを手に取ってレジに向かいますか? YES or NO ?」
ありさ「・・・」
ありさ「・・・」
ありさ「・・・は?」
ことね「あなたは10分待って出来立ての弁当を買うより、 すぐに持って帰れる出来合いの弁当を買いますか? YES or NO ?」
ありさ「い、YES・・・?」
ことね「YESと答えたあなた: あなたは目先の欲に惑わされて、 物事の本質を見失いがちな性格です」
ことね「せっかくのキッチンオリジンで、 冷めた弁当を買うなんて本末転倒。 だったらコンビニでもスーパーでもいいだろ」
ことね「常識的に考えろバカ。 ・・・だそうです」
ありさ「・・・」
ことね「・・・」
ありさ「・・・」
ありさ「・・・スゥー」
ことね「あっいたたたた! 違うんす!私の意見じゃないですから! ここ!このサイトに書いてあるんす! ね!ね!ほら!」
ことね「あっ、ほら、 まだ続きがありますよ! ね!」
ことね「まだ怒るには早いっす! とりあえずヘッドロックはやめてください!」
ありさ「・・・聞くだけ聞いてやる」
ことね「ふぅー、 もう暴力はやめてくださいよ。 あー、痛かった」
ことね「じゃあ、続きを読みますよ」
ことね「あなたは家に帰り、 タルタルのり弁当をレンジで温めました」
ことね「あろうことか、 魚のフライも磯辺揚げも、 サクサクは失われ、ベチャっとしています」
ことね「じんわりと口に広がるギトギトした油を感じながら、 こんなことなら待ってでも出来立ての弁当を買うんだったと、」
ことね「あなたは後悔しますか? YES or NO ?」
ありさ「・・・」
ことね「・・・」
ありさ「・・・YES」
ことね「YESと答えたあなた: あなたは変えられない過去についてグチグチと悩み、 建設的なものの見方ができない性格です」
ことね「そもそもこうなることは想定できたはずなのに、 疲労と空腹を言い訳に思考を放棄して、 より安易な方を選んだ結果がこれだよ!」
ことね「だいたいおまえみたいな怠惰な豚は、 電子レンジを使うこと自体がおこがましい」
ことね「最初から冷えたメシでも食ってろバカ。 ・・・だそうです」
ありさ「・・・」
ことね「・・・」
ありさ「・・・」
ことね「・・・?」
ことね「・・・先輩?」
ことね「先輩?」
ことね「・・・・・・・・・、」
ことね「い、怒りのあまり気を失っている・・・!?」