ダニーとキャロルと今年のサンタのプレゼント(脚本)
〇駅前広場
ダニー「おいキャロル、クリスマスにはサンタに何をお願いするんだ」
キャロル「ネックレス。あんたがプレゼントしてくれないから」
ダニー「ぜいたく言うなよ」
キャロル「じゃあ、ダニーは何をお願いするの」
ダニー「おれか? おれは万年筆だな」
キャロル「こないだあげたじゃないの。不満なの?」
ダニー「べつに不満じゃねえよ。コレクションしてるの」
キャロル「どーでもいいけどどーしてほかの女性ばかりふりかえってるの?」
ダニー「クリスマスシーズンは女がきれいに着飾るからねえ」
キャロル「じゃああたしはきれいじゃないってこと!? 浮気したいわけ!?」
ダニー「まんざらでもない」
キャロル「もおっ!!」
キャロルは怒って、ダニーを置いてけぼりしてどこかへ行ってしまった。ダニーは追いかけない。このままふたりは別れるのか?
ダニー(短気な女だなあ。つきあいきれん)
ダニー(ちぇっ。ひとりで帰るしかないか。でも、同じマンションに住んでるんだよなあ)
〇高級マンションの一室
ダニー(キャロルなんかほっといて、映画でも観るかな)
サンタはいるのか? 大人はみな信じないが、ダニーとキャロルはおとなになってもサンタを信じている、ちょっとアレな人たち。
サンタはホントにいるのだが、サンタがプレゼントを配るとおもちゃ業界が困るので、人々を信じないように操作しているのである。
ダニーとキャロルはけんかしたので、ホントはプレゼントはもらえないが、サンタはなんとかふたりを仲直りさせようとした。
ダニー(万年筆ほしいなあ。でも今年はムリかな)
ダニー(キャロルがくれるわけないしなあ。けんかしたからサンタも怒ってるだろうし)
ダニー(万年筆はあきらめるか)
いやいや、まだチャンスはある。仲直りすればいいのだ。しかし、ふたりとも意固地だから
〇ファンシーな部屋
心ないダニーに怒ってるキャロル。悲しくて、なかなか眠れない。
キャロル(あーあ。けんかしたからサンタさんは怒ってるだろうなあ)
キャロル(今年もネックレスはおあずけか)
そんなことはない。サンタは怒ってはいない。ただ、単純にプレゼントをわたすのは控えたようだ。
キャロル(眠れないなあ。けんかなんかしなきゃよかった)
キャロル(ダニーとは破局になってしまうのかな。もう20年近くもつきあってるのに)
キャロル(眠れないからファンタジー小説でも読もう)
〇学生の一人部屋
ダニー「あれ? こんなところに箱が」
出てきたのはネックレスだった。
〇ファンシーな部屋
キャロル(あれ? こんなところに箱が)
細長い箱。出てきたのは万年筆だった。
〇高級マンションのエントランス
キャロル「あ、ダニー!!」
ダニー「あ、キャロルじゃねえか!!」
ふたりは驚いて、寝間着のまま部屋を飛び出したのだった。エントランスでばったり再会
ふたりは互いに箱を差し出す。キャロルは万年筆を。ダニーはネックレスを。
サンタはプレゼントをまちがえたのか?
そんなことはどーでもいい。とにかくふたりは仲直りしたのだから・・・
サンタの粋な計らいですね♪これまでも仲は良かったんでしょうが、長く一緒にいすぎたせいでケンカもするんですよね。でもこれがキッカケで改めて仲良しになれるといいですね。
考えましたねサンタクロースさん。二人の仲を取り持つなんて、なんて素敵なクリスマスプレゼントですか。しかし、二人の交際期間が20年とはビックリ。
サンタさんさすがです。こうされたら仲直りするしかないですね!サンタさんが本当にいるというネタばらしは地の文で済ませて、二人の会話はお互いの話だけに絞られているのが素敵です。英米ドラマっぽいノリが楽しかったです。