神様からの三行半

金平 旺大

第十話(脚本)

神様からの三行半

金平 旺大

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〇古びた神社
タケハ「じゃあ、行ってくるよ」
コマ「いってらっしゃいませ。 ツクヨミ様の長期休暇はまだ申請中です」
コマ「どうも日頃の職務態度が悪いようで、 苦戦しているようですね」
タケハ「それは仕方ないか。 あの人は父さんと母さんの言うことすら 何一つ聞かなかったからなぁ」
タケハ「帰ってくるまで なんとか一人で耐えてくれよ」
コマ「はい。 もしピンチになったら 助けを求めます」
タケハ「助けを求める、って誰に・・・」
タケハ「?? 向こうから歩いてきてるのは・・・ ・・あれって、淡雪さん?」
淡雪「・・・ど、どうも」
コマ「どうしたんですか? 宝くじを当たるようにお願いしたら、 神社の鳥居に頭が当たったような落ち込んだ顔をして・・」
淡雪「そんな顔してます? ・・・実は・・・」
淡雪「先日、コマさんの力を使って 会社の近くまで瞬間移動したのが 上司にバレちゃって・・・」
タケハ「えっ?」
淡雪「・・それで、 この神社に神様が戻るまで、 もう帰ってこなくていいって言われました」
コマ「それは、 退職の勧告ではないのですか?」
淡雪「・・・・・ いえ、私は認めません。 神様が帰ってくれば会社に戻れるはずです・・・絶対に・・」
淡雪「だから、頑張ります。 タケハさんと一緒に」
タケハ「いやいや、 今から出かけるとこなんですよ」
淡雪「えっ?」
コマ「お札を作りに 修行に行くと言ってたのをお忘れですか?」
淡雪「・・・そうでしたっけ?」
タケハ「先方には今日行くと言っているので、 今すぐ旅立ちますよ・・・」
淡雪「・・・あ、そうですか。 私、一人でも神社にいれますので どうぞ行ってきてください」
コマ「・・なんか思った展開と違いますが、 淡雪さんがいれば大丈夫そうですね。 タケハ様、安心して行ってきてください」
淡雪「なんか許可もおりたようなので、 気兼ねなく行ってきてください」
タケハ「・・・いや、逆に行きづらくなった・・」
タケハ「向こうの神社には 週に一回、休みがあるみたいなので、 その時には帰ってきますね」
タケハ「なので、 ・・その時には、 ・・卵、焼きとか、作ってください」
淡雪「はい、わかりました。 では、我が家のようにここを使わせてもらいます」
タケハ「で、では行ってきます、です」
淡雪「いってらっしゃーい」
淡雪「コマさん、 早速、ここの家の間取りと 近くのスイーツショップを教えてください」
コマ「わかりました。 では、家の案内から行きましょうか」

〇幻想空間
淡雪「どうか、どうか・・」
淡雪「一日でも早く 会社に帰れますように」

〇綺麗な会議室
ツクヨミ「・・・」
ツクヨミ「・・・」
ツクヨミ「・・・ ないないない」
ツクヨミ「淡雪のお願いが聞こえてくるって・・・ ないでしょ」
ツクヨミ「・・・」
ツクヨミ「まず、コマを呼ぼ」
コマ「呼びましたか?」
ツクヨミ「今、淡雪のお願いが聞こえてきたんだけど、何か変・・」
コマ「今、淡雪さんは神社にいますよ」
ツクヨミ「あ、そう・・・」
ツクヨミ「えぇ゛ぇぇええぇぇ」
コマ「私の瞬間移動を淡雪さんが私用に使ったということで、」
コマ「安受神社の問題が解決しない限り、 戻ってこなくていいと言われたようです」
コマ「それで、一日でも早く会社に復帰するために、住み込みで参拝者の願いを叶えようとしています」
ツクヨミ「タケハは?」
コマ「もう、修行に行ってしまいました。 なので、淡雪さん一人で留守番中です」
ツクヨミ「おっ、 それは・・・チャン・・」
コマ「?」
ツクヨミ「いや、行きたいのはやまやまなんだが、 新作ゲームに大きなバグが見つかって、」
ツクヨミ「リリース日が近くて、 一週間後まで会社を抜けられないんだよ」
コマ「なんとかしてください」
コマ「近所のスイーツショップは すべて網羅してしまい、」
コマ「今では、デパートで いろいろなものを買い漁っています」
コマ「・・・地味に暮らしていた分の鬱憤が溜まっていたんでしょうね・・」
コマ「このままだと 私の瞬間移動は荷物を運ぶ、ポーターとしての役割しか果たさなくなります」
コマ「なんとか、早く・・」
ツクヨミ「わかった。 でも、あと一週間は待ってくれ」
ツクヨミ「問題解決したら 少しはまとまった休みが取れると思うからさ」
コマ「頼みました。 何か大変なことが起こりそうな気がするんです・・」
ツクヨミ「わかったって」
ツクヨミ「今は職場の椅子に仕掛けがしてあって、 15分、席を外すとパトランプが鳴るようになってるんだよ」
ツクヨミ「すぐにサボる、俺仕様の仕掛けを 部長が作りやがった・・・」
コマ「あ、私も呼ばれています。 ・・淡雪さんに言われて、 勾玉を渡しているものですから・・・」
コマ「では、一週間後、待っていますよ」
ツクヨミ「・・・行ったか。 なんか慌ただしい展開だったが、 神社に淡雪さん一人というのは ・・・仕事のあとは楽しみしかないな」
ツクヨミ「ぐふっ」
ツクヨミ「・・・でも、 狛犬の嫌な予感ってなんか当たりそうだな・・・」

次のエピソード:第11話

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