第8話『さよならもなし』(脚本)
〇古いアパートの部屋
現実逃避の精霊「おかえり」
和泉蓮「ただいま」
和泉蓮「やっぱり、上手くいかない」
和泉蓮「せっかく最終面接までいったのに」
和泉蓮「今日は何してたんだ?」
現実逃避の精霊「マンガ読んだりゲームしたりしてた」
現実逃避の精霊「ご飯作ったから、一緒に食べよう!」
和泉蓮「ああ」
現実逃避の精霊が
夕飯を配膳する間に、和泉は着替えた
現実逃避の精霊「美味しい?」
和泉蓮「美味い」
現実逃避の精霊「最近、小説書いてないね」
和泉蓮「そういえば、そうだな」
「・・・・・・・・・」
現実逃避の精霊「もう書かないの?」
和泉蓮「ああ」
現実逃避の精霊「どうして?」
和泉蓮「もう無理だからな 俺が作家になるなんて」
和泉蓮「今みたいに何も結果残せてない」
現実逃避の精霊「諦めちゃだめだよ」
現実逃避の精霊「まだ全然若いじゃない!」
和泉蓮「分かってんだろ? 俺の作品がどんだけつまらないのか」
現実逃避の精霊「うん。でも、私は好き 君の作品に対する気持ちは伝わってきた」
現実逃避の精霊「楽しそうに設定書いて それを嬉しそうにタイピングしている姿は とっても輝いていたよ」
和泉蓮「いくらつまらない作品を書いても 作家になることは出来ないんだよ」
和泉蓮「そろそろ現実を見つめて 就職に集中しないとな」
和泉蓮「今まで馬鹿なことをして 時間を無駄に浪費していたみたいだな」
和泉蓮「もっと何か役に立つことに 集中しておけばよかった」
現実逃避の精霊「夢を追うって馬鹿なことなの?」
和泉蓮「馬鹿だよ」
現実逃避の精霊「何でそんなことが言えちゃうわけ?」
和泉蓮「就職も投稿も 結果が出ないと無駄なんだよ」
現実逃避の精霊「じゃあ、一緒に同人誌出すって話は?」
和泉蓮「なしだ」
現実逃避の精霊「・・・・・・」
現実逃避の精霊「ばかああああああああ」
和泉蓮「何するんだよ!」
現実逃避の精霊「んなことは 自分の胸に聞いてみんしゃい!」
現実逃避の精霊「ああああああああああああああ」
現実逃避の精霊「もう腹が立つ! 私はもう寝る!」
和泉蓮「はああ、意味が分からない」
その日を最後に
現実逃避の精霊は姿を消した
誰もが経験のある「現実を見る」シーンですよね。ただそれも、「好きなことを追い求めた現実」からの逃避だと後々気付くのでしょうね。
そして、唐突な精霊さんの博多弁ww