私が本当に好きなのは、くまんたぬきくん?それとも…(脚本)
〇明るいリビング
柚「ついに──待ちに待った瞬間が来た・・・」
柚「ごくり」
柚「くまんたぬきくん、販売開始まで1分!!」
柚「この日のために、買うまでの工程のイメトレをしてきた──」
柚「5、4、3・・・1」
颯「ただいま」
柚「・・・」
柚「ちょっと今、忙しいんだけ・・・」
颯「俺、スマホ無くしちゃったみたい」
柚「はぁ?また?」
「プルルルル」
柚「!?」
颯「あ、宅配便来たみたい、俺出るね」
柚((相変わらずせわしない奴だなぁ。スマホもよく無くすし))
柚「って、え・・・」
SOLD OUT
柚「売り切れ──」
柚「・・・」
颯「荷物、ここ置いとくね。悪いけど、スマホ鳴らしてくれるかな?」
柚「う、うわーーー」
颯「どしたの?柚っち」
柚((買えなかったのは、颯が来たから?))
柚((いや、こいつは悪くない。誰も悪くない・・・はずだ))
柚((わたしが仕事を頑張る理由は、くまんたぬきくんのためでしかないのに・・・))
颯「ん?」
柚「もう転売されてる。しかもゼロ一桁多いとか・・・」
柚「くまんたぬきくん、売り切れちゃった」
颯「くまんたぬきくん?ああ、柚っちが好きな子のことかな?」
柚「・・・うん」
柚((颯は覚えてないだろうけど・・・))
柚((7歳の誕生日に、くまんたぬきくんをくれたのは、颯だった))
柚((くれた理由は「私に、似てるから」って))
柚「あれから、くまんたぬきくんが、気になって──」
颯「どしたの?」
柚((なんだろう、この気持ち・・・))
柚「いやなんでもない」
柚((あれ!?くまんたぬきくんに、課金するために働いてると思ってたけど))
柚((私が好きなのって、くまんたぬきくんなのか、颯なのか・・・))
颯「良かった」
柚「何が?」
颯「まだ、くまんたぬきくん好きでいてくれたんだね」
柚「まだって、覚えて・・・たの!?」
颯「忘れるわけないよ。二人の思い出のたぬきさんだもんね。いや、くまさんかな?」
柚「!!」
柚((颯が好きだから、くまんたぬきくん集めてるってバレたんじゃ・・・))
颯「ちょうど届いたところだよ♪」
柚「?」
颯「開けてみて」
柚((さっきの宅急便のダンボール?))
柚「うん」
柚「!!」
柚「これって!!」
柚「くまんたぬきくん!!!」
柚「たくさんある・・・」
颯「やっぱり、似てるよね。柚っちと、くまんたぬきくん」
柚「!!そうかなぁ」
颯「あ、俺の部屋にも置くからね。仕事で柚っちがいない時に、ぎゅーっと抱きしめるんだ」
柚「(それは可愛いけど・・・)私も抱きしめてよ」
颯「え?」
柚「!!なんでもない」
颯「?柚っちこっちおいで」
柚「?」
「ぎゅっ」
日常のちょっと残念に思うエピソードかなーと思って読んでいると、何て甘々なラスト!すごいステキな恋愛モノにドキドキしてしまいました!
二人が両思いっぽくなったとき、胸にズキュンと光が当たったり魔法陣が開いたりハートが溢れてきたり、恋心が炸裂する様子が視覚的エフェクトから伝わってきて見応えありました。それにしても、くまんたぬきくんの見た目がどんな感じなのかが猛烈に気になります。
1番集中したい時に、イレギュラーが入る時ってありますよね!!彼女さんえらい!!私なら最初買えなかった時に八つ当たりしちゃいそうです!!
でも結果的に、ハッピーな終わり方で良いですね♡癒されました!!(o^^o)