先生、死んでる場合じゃありません!

大河内 りさ

P8・鬼人領です!(脚本)

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〇雲の上
クロエ「あらぁ〜!」

〇飛空戦艦
クロエ「すごいわねぇ、高いのねぇ!」
レイヴィダス「先生、そんなに身を乗り出しては 危のうございます」
クロエ「見てくださいな、レイさん。 雲が下に見えますよ!」
アルフォル「はしゃいじゃって、可愛いねぇ」
クロエ「ごめんなさいね。 飛行機に乗るの、初めてなものですから」
アルフォル「クロエちゃんのいた世界にも、 空飛ぶ乗り物はあったんだ?」
クロエ「ええ。でも、これほどの 技術ではないと思います」
クロエ「てっきり竜か何かに乗って 移動するのだと思っていました」
アルフォル「昔はそうだったみたいだけど、 今じゃ翼竜は絶滅危惧種だからな」
アルフォル「それに、魔界は有翼種も多いだろ?」
アルフォル「自力で飛べるやつはそうした方が 小回りが利いて楽なんだってさ」
クロエ「なるほど」
クロエ「そういえばレイさんも翼がありますね」
クロエ「今は見えなくしていらっしゃるけど、 やはりご自身で飛んだ方が早いのかしら」
アルフォル「あははっ。あいつの翼は 飾りみたいなもんだよ」
クロエ「飾り・・・?」
レイヴィダス「大丈夫、怖くない。 この魔空艇は落ちないから大丈夫・・・」
クロエ「レイさん?」
レイヴィダス「キャーーーーッ!?」
レイヴィダス「せっ、先生・・・」
クロエ「あら、お顔が真っ青。 どうなさったの?」
レイヴィダス「いえ、何でも──」
アルフォル「こいつ、高い所がだめなんだよ」
レイヴィダス「アルフォル!」
クロエ「あらまぁ。高所恐怖症なんですね」
クロエ「機内に入った方がよろしいのでは?」
レイヴィダス「いえっ、大丈夫です。先生はどうぞ景色をお楽しみになってください・・・」
アルフォル「女もだめ、高い所もだめ、 魔力もスライム以下・・・」
アルフォル「いいとこなしだな!」
レイヴィダス「うるさい」
レイヴィダス「魔力に関しては リディアや他の術者に研究させている」
レイヴィダス「・・・っ」
レイヴィダス「気持ち悪ぅ・・・」
アルフォル「おい、吐くなよ?」
クロエ「遠くを見れば吐き気が治まりますよ!」
レイヴィダス「逆効果です・・・っ」
アルフォル「吐くなら船縁の外に顔出して吐けよ?」
レイヴィダス「無理に決まってるだろ!」
レイヴィダス「ううっ・・・」

〇雲の上

〇後宮の庭
アルフォル「ほい、到着〜」
クロエ「まぁ・・・」
アルフォル「鬼人領は魔界の中でも ちょっと変わった景観なんだよね」
アルフォル「どう? クロエちゃん」
クロエ「なんだか馴染みのある雰囲気だわ」
クロエ「素敵なところねぇ」
刀威「遅かったじゃねぇか、アルフォル」
アルフォル「刀威、久し振り」
クロエ「この方が・・・?」
刀威「鬼人領カンナギの領主にて 鬼人族の長、刀威だ」
クロエ「お忙しいところ迎えにお出でいただき ありがとうございます」
クロエ「私、宮廷画家としてレイヴィダス様に お仕えしております、クロエと申します」
刀威「ったく、視察に画家なんか連れてくんなよ」
刀威「しかもホムンクルスじゃねぇか」
アルフォル「そんなこと言っちゃっていいのかな〜?」
アルフォル「クロエちゃんは リディアの最高傑作なんだぜ」
刀威「リディア嬢の!?」
アルフォル「芸術家としての腕はもちろん」
アルフォル「魔力の保有量も今までのホムンクルスとは 比べものにならない」
アルフォル「レイの護衛にもうってつけってわけ」
クロエ(──という設定です)
刀威「おい、お前」
クロエ「はい、何でしょう?」
刀威(このホムンクルス、 やけに落ち着いてるな)
刀威「・・・リディア嬢は息災か?」
クロエ「ええ。お元気で過ごしていらっしゃいます」
刀威「その・・・・・・」
刀威「婚約者が決まったりだとか、 そういった話は・・・」
クロエ「特に聞いておりませんけれど」
刀威「ならいい」
クロエ「・・・もしかして、 刀威さんってリアにほの字なんですか?」
アルフォル「そうそう──」
アルフォル「って、ほの字って何?」
クロエ「若いっていいですねぇ」
アルフォル「だからほの字って何!?」
刀威「おい、肝心のレイヴィダスはどこにいる」
アルフォル「船酔いがひどいっつってたから、 その辺で吐いてんじゃね?」
刀威「あいつはまだ高所がだめなのか」
刀威「というか、他人の領地を汚すな!」
刀威「おい、レイヴィダス! どこにいる!!」
クロエ「あの方が鬼──鬼人族なんですね」
アルフォル「想像してたのと違った?」
クロエ「ええ、少し」
クロエ「もっと筋骨隆々で、 金棒を持った方なのかと・・・」
アルフォル「クロエちゃんのいた世界の 鬼人族ってそんなだったの?」
クロエ「昔話の鬼はそんな感じでしたよ? 一般的には虎のパンツをはいていて──」
アルフォル「虎のパンツ!?」
アルフォル「ぶはっ、うけるー!」
アルフォル「刀威にパンツの柄聞いてみよーぜ!」
クロエ「えっ!?」
アルフォル「おーい、刀威〜! お前、パンツどんな柄の──」
クロエ「ちょっ、アルさん・・・!?」

〇皇后の御殿

〇祭祀場
刀威「──ったく」
刀威「レイヴィダスはゲロにまみれてるわ ホムンクルスはパンツの柄聞いてくるわ」
刀威「お前ら何しに来たんだ」
レイヴィダス「まみれてはいない!! 朝食を抜いたから出たのは胃液だけだ!!」
クロエ「パンツの柄を聞いたのは 私ではなくアルさんです!!」
刀威「はいはい」
刀威「──それで」
刀威「どうだった?」
レイヴィダス「空から見た限りでは、 怪しいものは見当たらなかった」
刀威「船酔いしてたやつの証言など信用できるか」
アルフォル「俺も見てたけど、 気になるものはなかったな」
アルフォル「ここに着くまでに 魔獣に襲われることもなかったし」
アルフォル「お前、本当はリディアに 会いたかっただけじゃないの?」
刀威「なっ・・・」
レイヴィダス「そうなのか?」
アルフォル「いつもだったら研究者として視察団に リディアも含まれてるもんな〜?」
レイヴィダス「すまない。 今回は置いてきてしまった」
刀威「違っ──」
クロエ「リアには、刀威さんが様子を気にしておいででしたと話しておきますから」
クロエ「ご安心くださいな」
刀威「余計なことをするな!」
クロエ「はいはい、ちゃんと伝えますからね」
刀威「クソッ、さっきから何だ!?」
刀威「話が通じないのに、田舎の祖母ちゃんと話しているかのような安心感がある・・・!?」
クロエ(あら鋭い。 注意しないと気付かれてしまうかしら)
レイヴィダス「魔獣の異常行動と聞いているが、 具体的には?」
刀威「それが多岐にわたるっつーか・・・」
刀威「普段はこっちの姿を見ただけで逃げていくような小型の魔獣が襲ってきたり」
刀威「今まで人里に現れたことのない 中型のやつが山林から降りてきたり・・・」
刀威「この辺りには生息していないはずの ガーゴイルの目撃情報もあったな」
レイヴィダス「それは妙だな」
刀威「ああ。しかも どいつもこいつも凶暴化してやがる」
レイヴィダス「いつからだ?」
刀威「つい最近── 10日ほど前からだったか・・・」
レイヴィダス「・・・・・・」
クロエ(10日ほど前って、 私が転生したあたりじゃないかしら)
クロエ(もしかして、何か影響が・・・?)

次のエピソード:おまけ・恥ずかしいです!

コメント

  • やはり魔界に影響が。魔王に起きたことが気付かれるのも時間の問題かもしれませんね。

  • ほの字……数十年ぶりのこのワード、逆に新鮮に感じてしまいますww
    刀威さん、貴重なツッコミ要員にして、恋愛要素を持つ初めてのキャラですね!自由奔放なキャラたちの関係に一石が投ぜられるのか楽しみです!

  • 私がこのエピソードの最初のコメントを入れるんですか。恐れ入ります‥😅ところで、今回も魔王様、お気の毒でした💧彼が元の力を取り戻しても高所恐怖症は治らないのですね‥😭

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