桜、咲く頃に

草加奈呼

エピソード2 桜、咲く頃に(脚本)

桜、咲く頃に

草加奈呼

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〇女の子の一人部屋
沢田ゆき子「はぁっ!? カズヤのお兄さんに会った!?」
河井咲希「うん、東京でタクシー呼んだら・・・」
沢田ゆき子「そんな偶然って、ある!?」
河井咲希「私も、びっくりしたよ」
沢田ゆき子「まさか、咲希のストーカー・・・?」
河井咲希「ち、違うよー! カズヤと一緒に上京したって言ってたし!」
沢田ゆき子「そっか、良かった」
河井咲希「あっ、それでね」
河井咲希「今度、一緒に食事でもって 話になって・・・」
沢田ゆき子「は!?」
河井咲希「い、いや、多分、同郷同士で 話しましょうみたいな事だと思うよ?」
沢田ゆき子「甘い、咲希はあまーーい!!」
沢田ゆき子「カズヤのお兄さんって事は、 20代後半って事だよ?」
沢田ゆき子「ケッコンを視野に入れても おかしくない年齢・・・」
沢田ゆき子「絶対、そういう事だと思うね!」
河井咲希「や、やっぱりそうなのかな・・・?」
沢田ゆき子「咲希は優しすぎるところあるから!」
沢田ゆき子「もし、嫌だったら、ハッキリ 言ってやんなよ!?」
河井咲希「わ、わかった・・・」
沢田ゆき子「ちょっと待って──」
沢田ゆき子「咲希とお兄さんが結婚したら、」
沢田ゆき子「カズヤ、義弟になるの!?!?」
河井咲希「早い! 気が早い!!」

〇レトロ喫茶
  夏休み明け──
藤木勝也「ああ、地元の話ができるって いいですね!」
藤木勝也「河井さんと話してると楽しいです!」
  絶対、そういう事だと思うね!
河井咲希(ゆき子め〜〜)
河井咲希(あんな事言うから、 意識しちゃうじゃない〜〜!)
藤木勝也「どうかしましたか?」
河井咲希「あ、いえ!」
河井咲希「そういえば、カズヤのファンの友達、」
河井咲希「本当にCD3枚買ったらしいですよ?」
藤木勝也「そうなんですね、 カズヤも喜びます!」
藤木勝也「カズヤは、本当にすごいんです」
藤木勝也「本当に、僕にもカズヤのように 行動力があったら・・・」
河井咲希(・・・あれ?)
河井咲希(もしかして藤木さん、カズヤに 引け目を感じてる・・・?)
河井咲希「藤木さん」
河井咲希「カズヤの話はやめましょう」
河井咲希「私、藤木さんの話が聞きたいです」
藤木勝也「えっ、僕の話・・・!?」
藤木勝也「ええと・・・」
河井咲希(はっ・・・)
河井咲希(な、なんか私、 すごいこと言っちゃった!?)
藤木勝也「あ、あの! 僕、映画が好きなんです」
河井咲希「へーっ、そうなんですね!」
藤木勝也「今度、一緒に行きませんか!?」
河井咲希(それはもう、完全にデートですね!?)
河井咲希(いいのかなぁ・・・?)
河井咲希(でも、たしかに一緒に映画に行くような 友達もいないし・・・)
河井咲希「門限までなら・・・」
藤木勝也「やった! 嬉しいなぁ」

〇映画館の座席
  私たちは、何度か映画を観る仲になり──

〇レトロ喫茶
  自然と、お付き合いするようになった

〇レトロ喫茶
  そして、1年の研修期間が
  終わろうとしていた冬──
河井咲希「勝也さん 私、そろそろ研修が終わるの」
藤木勝也「えっ?」
河井咲希「地元に戻って、働く事になるの・・・」
河井咲希「遠距離に・・・なっちゃうね・・・」
藤木勝也「・・・・・・」
藤木勝也「咲希、実は・・・」
藤木勝也「僕も一緒に、地元に戻ろうと思うんだ」
河井咲希「えっ?」
藤木勝也「元々、僕が上京したのは、 カズヤのためだ」
藤木勝也「カズヤが正式にデビューした今、 僕がここに留まる理由はない」
藤木勝也「それに、咲希と一緒にいたいし・・・」
河井咲希「勝也さん・・・」
藤木勝也「それで、あの、実は──」
藤木勝也「叔父から、見合い話を持って来られてて」
藤木勝也「僕には、咲希がいるからって断ったら」
藤木勝也「ぜひ、会わせてほしいって──」
河井咲希(ええーーーーっ!?)

〇広い和室
  勝也の叔父の家
勝也の叔父「まさか、勝也がこんな素敵なお嬢さんを 連れてくるとは!」
勝也の叔父「結婚式はいつだ? 仲人なら私がしてやろう」
藤木勝也「ちょっと叔父さん、気が早いよ!」
勝也の叔父「こういうことは、早い方がいいだろう?」
藤木勝也「僕たちのペースで考えるから、 しばらくは見守っていてよ」
勝也の叔父「そうか・・・? でも仲人は私たちでいいよな?」
藤木勝也「その時になったら、また改めて 挨拶に来るよ」

〇公園のベンチ
藤木勝也「ごめんね、叔父が強引で」
河井咲希「ううん、 ちょっとびっくりしたけど・・・」
藤木勝也「でも、1年後くらいには 結婚したいな・・・」
河井咲希「うん」
河井咲希「式場とか・・・ 見に行ってみる?」
藤木勝也「うん、今度一緒に行こう!」

〇古いアパートの部屋
藤木勝也「はい、藤木です」
桜木カズヤ「兄貴、俺だよ俺! カズヤだよ!」

〇休憩スペース
桜木カズヤ「新人賞、ノミネートされた!!」
藤木勝也「やったな、おめでとう!」
桜木カズヤ「一番に、兄貴に知らせたかったんだ!」
藤木勝也「そうか・・・ありがとう」
桜木カズヤ「俺が、ここまで来れたのは、 兄貴が支えてくれたおかげだから・・・」

〇古いアパートの部屋
藤木勝也「僕は何もしてないよ。 それは、カズヤの実力と・・・」
藤木勝也「事務所のみなさんのおかげだよ・・・」
桜木カズヤ「うん、 事務所のみなさんにも感謝してる」
桜木カズヤ「でも、やっぱり一番に、」
桜木カズヤ「兄貴に伝えたかったんだ」
藤木勝也「カズヤ・・・」
桜木カズヤ「あっ、もう行かないと!」
桜木カズヤ「12月、絶対テレビ観てよ!!」
藤木勝也「ああ、絶対観るよ・・・」

〇コンサート会場
  12月
司会者「今年の最優秀新人賞は・・・」
司会者「小前田伝男《おまえだ つたお》ーー!!」
桜木カズヤ(ああ・・・)
桜木カズヤ(ダメだったか・・・)
小前田伝男「ありがとうございます! 夢のようです!」
司会者「それでは、歌っていただきましょう ──情熱のエチュード!」
桜木カズヤ(・・・また、頑張ろう・・・)

〇古いアパートの部屋
藤木勝也「ああっ、カズヤ・・・!」
河井咲希「カズヤさん・・・ 残念だったね・・・」
藤木勝也「くそっ・・・!」
河井咲希「どうしたの、勝也さん。 落ち着いて」
藤木勝也「カズヤの夢は、僕の夢でもあったんだ」
藤木勝也「悔しい・・・。悔しいよ・・・」
河井咲希「勝也さん・・・」
  私は、新人賞を取れなかったという事が
  どういう事なのか
  この時は、まだわかっていませんでした。

〇明るいリビング
  数ヶ月後
河井咲希「はい、河井です」
ゆき子「咲希! ちょっとテレビ観て! テレビ!!」

〇会見場
「引退される理由は!?」
「やはり、小前田さんに敗れた事が 原因でしょうか!?」
  桜木カズヤは、その後CDを数枚出したが
  鳴かず飛ばずで──
  ついに引退を発表した。

〇古いアパートの部屋
藤木勝也「これから、どうするんだ?」
藤木勝也「こっちへ、帰ってくるのか?」
桜木カズヤ「今更帰れないよ。 母さんに啖呵切って上京したのに」
藤木勝也「だけど・・・」
桜木カズヤ「大丈夫だから!」
桜木カズヤ「心配しなくても、兄貴たちの結婚式には 出席するよ!!」
桜木カズヤ「ちょっと、1人で考えさせてくれ!」
  ガチャリ
  ツーツーツー
藤木勝也「カズヤ・・・」

〇公園のベンチ
  数日後
藤木勝也「咲希、ちょっとこれ、 聴いてみてくれない?」
藤木勝也「どう?」
河井咲希「とても、明るい曲ね! 元気がでてきそうな・・・」
藤木勝也「じつはそれ、僕が作曲したんだ!」
河井咲希「えっ!?」
藤木勝也「昔、 なんとなく作った曲なんだけど・・・」
藤木勝也「これ、結婚式の時にカズヤに 歌ってもらうのは、どうだろう?」
河井咲希「それ、いいわね!」
河井咲希「カズヤさんも、元気になってくれると いいんだけど・・・」
藤木勝也「そうだね・・・」

〇古いアパートの部屋
  披露宴前日

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コメント

  • 勝也さんとカズヤさんの絆が美しかったです…!
    人と人との繋がりが、また新たな繋がりへと広がっていく…素敵なお話でした…!

  • 運命的な出会いに、それぞれの幸せな道を見つけるラスト、恋愛映画のような素敵なお話でした^^
    カズヤのサブストーリーも共感! 歳を重ねると、夢を100%叶えるのは難しいことに気づきますが、数%でも高める努力をしたり、誰かに託すというのは良いことだなと、改めて感じさせてもらいました!

  • 何ですか、この話は… 映画ですか… とてもドラマチックな、でも、現実にあったストーリー。2人の出会いからの結婚ははもちろん、兄弟愛にもぐっときました。素敵なお話でした。

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