エピソード29(脚本)
〇奇妙な屋台
ナナミ「こんにちは〜」
謎マッチョ「いらっしゃい!」
ナナミ「あれ〜? 店主さんいないの?めずらしい〜」
マチ「店主さんが休んでるとこ、 見たことないね、いっつもいるし!」
謎マッチョ「少し遠いところに出かけるって 言ってましたよ。 旅行でも行ってるのですかねぇ」
ナナミ「ふぅ〜ん 美味しいモノ、食ベられるかと 思ってきたのに〜」
謎マッチョ「大丈夫! ちゃんと店主から ことづけを預かっておりますから!」
謎マッチョ「ちゃんと準備してありますよ!」
「わーい!わーい!ケーキ!ケーキ!」
謎マッチョ「フフフ」
〇商店街
店主「これちょうだい!」
和菓子屋若旦那「はい、特製カラフルフルーツ大福セット! 5000円です!」
ミーナちゃん「まいどあり〜!」
店主「ありがとうなの〜!」
カケル「ん?あれは・・・ 例の屋台の店主じゃないか」
カケル「和菓子屋で手土産スイーツ・・・」
カケル「不思議な屋台の店主さんて、 いつも休まないし、 いつも笑ってるし、 食べてるところも見たことないな」
カケル「すいませーん」
和菓子屋若旦那「はい、いらっしゃい」
カケル「今の和菓子買ってった人・・・ どんな人だか何か知ってます?」
和菓子屋若旦那「公園の屋台の店主さんでしょ? 僕もいろいろお世話になりましたね」
カケル「謎だよな、あの人」
和菓子屋若旦那「確かに、 いつから、あの屋台があるのか わからないんですよ、 本当に謎ですよね〜」
カケル「ん!興味わいてきた! 俺にも、さっき買ってた和菓子と同じものをください!」
和菓子屋若旦那「ありがとうございます〜 5000円です〜!」
カケル(たけーぇー)
カケル「はいよ、お金はココに置いておくよ。」
和菓子屋若旦那「まいどあり〜」
カケル(しかし・・・ジャーナリスト魂の オレの勘が働くぜ!スクープの匂い! 後をつけてみよう!)
〇駅のホーム
ぴりりりりりりり
カケル「電車に乗るのか? どこまで行くんだろう・・・」
〇走る列車
ガタタン ガタタン ガタタン
カケル「ずいぶん遠くまで来たな・・・」
子ども「うわあぁぁん 座りたいよ〜」
おかあさん「だめよ・・・ こっちの車両は 追加チケットがいるんだから・・・」
子ども「うわあぁぁぁぁん!」
店主「よかったら譲りましょうか? 余分にチケットありますので・・・」
おかあさん「そんな・・・ いいんですか?」
店主「ええ、こちらをどうぞ♡」
おかあさん「すみません、 ありがとうございます・・・」
子ども「ありがとう、おじちゃん!」
店主「おじちゃんは、やめて〜」
カケル「わっ、やべぇ! 店主がコッチにくる・・・!」
カケル「へ、変装・・・ なにか、なかったっけっ」
カケル「へ、変装・・・」
店主「すみませーん、 お隣よろしいですか?」
カケル「ど、どうぞ。 (わーヤバいぃ!バレちまう!)」
カケル(奇跡的にバレてない・・・?)
店主「どちらまで、行かれるのですか?」
カケル((しまった考えてなかった))
カケル「えー、終点まで。 古い友達を訪ねに行くのです。 でも相手は、もう覚えていないかもなぁ」
カケル((よし、なんとか誤魔化した?))
店主「こちらの出身の方でしたか。 人も優しくて温かくて、とても良い所ですよね」
店主「ワタシも過去に数年間、こちらに住んでいたことがあるのです」
カケル「へ、へえ〜」
店主「今回は、 村民の結婚式祭りに、 呼ばれているのです。 もしかしてアナタもですか?」
カケル「え、ええまぁ・・・」
店主「結婚式って、村では盛大なお祭りですものね。 ワタシは土地を転々と過ごしているので、流浪の民なのですよ、ハハハ」
店主「でも最近は、とても良い街に住めるようになって 居心地がいいのです。 居心地が良すぎて、離れられなくて」
店主「いずれは、また旅に出ないと、 いけないのかもしれませんけどね」
カケル(店主・・・)
カケル「オレ・・・いや私も、 住処を転々としてましてね。 落ち着くことができない性分なのかもしれません、お互い似てますね」
店主「そうですね、ハハハハハ」
〇森の中の駅
ガタタン
カケル(ついた・・・?)
店主「ワタクシは いま迎えが来ますので、 よろしかったらご一緒に いかがですか?」
カケル「あ、ハイ・・・」
パカラッパカラッ
カケル(う、馬!?)
ウマ「ヒヒーン!」
店主「よしよし。 さ、行きましょうか! お乗りなさい!」
〇山道
パカラッパカラッ
店主「もうすぐつくわよ。 だいぶ暗くなってしまったわね」
パカラッパカラッ
〇先住民の村
ウマ「ヒヒーン!」
クマコさん「あらあら、おウマちゃん おかえり。」
店主「こんばんは〜 こちらお土産よ〜」
クマコさん「あらマァマァ! お久しぶりでございます! よくいらっしゃいました〜」
店主「もう、始まっているようですね、 ちょっと行ってきます!」
タッタッタッ
カケル(あ、行っちゃった・・・)
クマコさん「こんばんは!」
カケル「こ、こんばんは・・・」
クマコさん「お友達とご一緒で? 遠いところまで、よくお越しになりましたね!」
クマコさん「ワタクシはクマコ、 コノ村の長老の娘でございます。 今回の結婚式は、 息子のクマロウと新婦のタマさんのためのものですの」
クマコさん「一緒に祝ってくださいな。 もう広場の方では 祭りが始まっておりまして、 結婚式の祭りは、夜どうし行われますの」
クマコさん「さ、こちらへどうぞ!」
カケル「は、ハイ・・・」
〇先住民の村
ドンドンドン カッカッ
ドンドンドンドン カッカッカッ
祭りの囃子が聞こえてくる
かいじゅうこ「やっほほー」
カケル「は、ハハ・・・怪獣?」
クマコさん「かいじゅうこちゃん。 この方をご案内、お願いね! ワタクシは準備をしてきますから。」
かいじゅうこ「はーい♡ えーと、名前は何さん?」
カケル「カ、カケ・・・ (おっと本名はマズイか?)」
かいじゅうこ「かけ?」
カケル「かけうどん・・・」
カケル(お、思いつかねぇ・・・)
かいじゅうこ「かけうどん、さん? 面白いお名前ね。 かけうどんさん、コッチきてー」
カケル「ハハ・・・」
〇村の広場
「新郎クマロウくん、新婦のタマさん、
おめでとうございます!」
かいじゅうこ「あれが今回の主役達、 新郎のクマロウさん、 新婦のタマさんよ」
新婦タマさん「クマロウさん、 こんなに年を重ねてしまった私でもいいの?」
新婦タマさん「他にも若くて可愛い娘が沢山いるでしょう?それに育ちも違うし・・・ アナタはいずれは村の長になる方ですし 私には・・・」
新郎クマロウくん「何を気にしているのです? 僕は、タマさんだから、いいのですよ。 もっと自信を持って、僕の隣にいてください!」
新郎クマロウくん「タマさんは可愛いですよ!」
新婦タマさん「クマロウさん・・・! 大好き!ワタシ嬉しいわ!」
店主「あらあら、お熱いわね〜」
謎占い師「では、儀式を始めましょう!」
かいじゅうこ「司祭様が儀式を始めるところだね。 二人が司祭様に誓いをたてると、 晴れて夫婦になれるんだよ」
カケル(あれは、謎占い師さんじゃないか。 先に来てたのか! 二人は祭祀を取り仕切る人、 斉主だったのか?)
かいじゅうこ「いいなぁ、 ワタシもいずれは 司祭様に式をあげてもらえるのかなぁ・・・」
カケル「できるんじゃないか?」
かいじゅうこ「村には相手がいないもん・・・ ワタシは村から出られないし・・・」
カケル「そうなのか?」
かいじゅうこ「都会は信用ならないし、 アブナイから外には出るなって。 周りのミンナが言う」
カケル「そうなのか・・・ 確かに、街はアブナイところはあるけど」
カケル「オレは土地を転々としてるから 逆にどこへでも行ってしまうな。 安全なところにいられない、 というのが本音だが」
カケル「安心していられて 落ち着けるところがあるってのは 羨ましいことだぞ」
かいじゅうこ「うらやましいのかな・・・」
カケル「そうさ、家族がいるんだろう?」
かいじゅうこ「いるんだけど、 色々うるさいから面倒なの」
カケル「そっか、大変だな」
カケル「オレは母ひとり子ひとりだったが 病気で亡くなって以来 ひとりものだからさ 心配してくれる人もいないのさ。 寂しいだろう?」
かいじゅうこ「そうなの? 後で外のお話とか もっと聞いてもいい?」
カケル「いいさ。 案内もしてくれるかい?」
かいじゅうこ「いいよ」
〇村の広場
かいじゅうこ、ちゃーん!
かいじゅうこ「あ、呼ばれてる! ちょっと待っててね」
カケル「あぁ‥」
ウマノスケ「やぁ、若えの。 ここらでは見ない顔だな」
ゴリオ「あーあ、タマさん結婚しちゃうのかぁ・・・」
ウマノスケ「密かに人気あったんだよ、 本人は知らねぇみたいだけどな」
ゴリオ「おいらもヨメさん欲しいな・・・」
ウマノスケ「他から嫁さん来ないかな・・・」
ゴリオ「この村は、わりと閉鎖的で 外から人を呼ばないから・・・ その方が安全ではあるんだけど」
カケル「そうなのか・・・ 大変だな・・・」
ウマノスケ「お前さんわかってくれるか! 俺たちの悲しい事情をよぅ・・・」
カケル「まぁ・・・ オレも独り者だからな・・・」
ウマノスケ「よし!気に入った! お前も一緒に飲もうぜ!」
カケル「ど、どうも・・・」
ゴリオ「ほら、飯もあるぞぅ!」
カケル「あ、ありがとう、 ハハ・・・」
カケル(く、食えない・・・)
かいじゅうこ「あー、そんなとこにいた! 案内するって約束したから いくよ!」
カケル(た、助かった・・・)
ウマノスケ「相手が、かいじゅうこちゃんじゃ、 しょうがねえなぁ」
ゴリオ「あの子、もともと コノ村の子じゃないんだよ。 村の入口にいたところを助けて 長老が育ててたんだ」
カケル「えっ、それって」
ウマノスケ「本当の親は街にいるんだろうな・・・。 村のものはみんな知ってる」
ゴリオ「だからみんなで大事にしてるんだ、かいじゅうこちゃん」
ウマノスケ「それにこの村の秘密もさ・・・ 信用できるやつにしか話せねえ」
タッタッタッ
かいじゅうこ「ほら、いくよー!」
カケル「あ、あぁ」
〇海沿いの街
かいじゅうこ「ほら、きれいでしょ?」
カケル(酔いが回ってるな・・・オレ)
カケル「あぁ。 いいところだな」
かいじゅうこ「でしょー!」
カケル「なぁ・・・ こんなにキレイなところなのに 街に出たいのか?」
カケル「村のみんなも とても優しいんだろう? 何が不満なんだ?」
カケル「うるさく言われるから、 だけなのか?」
かいじゅうこ「・・・」
カケル「街のキレイさは こんなに自然なキレイじゃなくて 偽物の輝きだったりするんだぜ?」
カケル「村のミンナが心配して 止めるんだろ? 本当に心配してるんだと思うぜ」
かいじゅうこ「でも、ボクは外の世界が見たいんだ!」
かいじゅうこ「いろんなこと、知りたいんだ・・・ 村の中だけではなくて・・・ いろいろやってみたいんだ!」
カケル「まぁ、オレも人のこと言えねぇか。 旅に出るほうが、 性に合ってる性格だしな」
カケル「冒険に出たくなるのも 若者の特権なのかもな。」
かいじゅうこ「・・・外の世界のお話、聞かせて」
カケル「いいぜ、何がいい?」
かいじゅうこ「えーとね・・・」
〇海沿いの街
ピチュピチュピチュ
チュチュ
カケル「ん? あぁ朝だ・・・ 話あったまま寝ちゃったのか・・・」
かいじゅうこ「スヤスヤ」
カケル(昨日は、ずっと話を聞いてくれてたしな)
カケル「よく寝てるな。 よっこいしょ」
カケル「とりあえず村まで連れてくか」
〇先住民の村
ウマー「ヒヒ ヒヒーン」
ウマ「ブルルルル」
カケル「おっと、ただいま。 おウマさんに歓迎されてるな」
カケル「とりあえず部屋で寝かせて・・・と」
カケル「やれやれ。 みんなはどこに行ったんだ?」
スヤスヤ
カケル「なんか動物たちが 沢山寝てるけど・・・」
店主「あら〜アナタ! おつかれさま〜」
カケル「ハハ、どうも・・・」
店主「いま後片付けをして 帰るところだったのよ。 アナタもご一緒にどう?」
カケル「あぁ、そうですね。 もう帰ろうかと思っていたところです。 片づけ手伝いますよ」
店主「ありがとう」
かいじゅうこ「えっ 帰っちゃうの!? ヤダ!」
かいじゅうこ「もっとお話聞きたいのに・・・」
カケル「起きたのか。 そう、オレはもうすぐ帰るんだ」
かいじゅうこ「一緒に街に行きたい!」
カケル「いや、それはダメだよ。 また子どもじゃないか」
かいじゅうこ「大人は、いつもそうだよ。 子どもには選択権がないんだ! 自分のしたいことを言っても いつもダメっていう!」
カケル「そりゃ言うさ。 危険だとわかってる道を わざわざ歩かせたりは、しないだろ?」
かいじゅうこ「じゃあなんで、大人だったらいいの? ボクは年を取ったけど 何も変わってないよ?」
カケル「オレの言う「子ども」ってのは 自分のしたことに責任がもてるかどうか、ってだけだ」
カケル「第一、俺についてきて、どうやって飯を食うつもりなんだい?オレにずっと飯を食わせてもらうのか?」
かいじゅうこ「う・・・うう・・・」
カケル「外の世界の話なら いくらでも聞かせてやるよ だから帰りな。」
かいじゅうこ「うわーーーーん」
ダダダダダダ
カケル「あーあ、泣かしちまった。 これだからオレはなぁ・・・」
カケル「あーあ」
〇走る列車
ガタタン ガタタン ガタタン
カケル(あれで良かったんだよ・・・そう)
店主「次でワタシたち降りますので・・・」
カケル「あぁ・・・すみません」
店主「すみません、 ありがとうございます」
カケル「こちらこそ」
謎占い師「いまの、例のヒトですよね?」
店主「事情がおアリなのよ。 そっとしておきましょう。。、」
カケル「結局、何もわからなかったし、 スクープも撮れなかったな」
カケル「あっ!カメラがない!」
はい!どうぞ!お忘れ物!
かいじゅうこ「すみませーん、 お隣よろしいですか?」
カケル「だ!誰!?」
かいじゅうこ「覚えてないの?」
かいじゅうこ「ワタシ〜」
カケル「えー!?」
かいじゅうこ「かいじゅうこちゃん、でーす!」
カケル「な、なんで?ダメって言ったじゃん!」
かいじゅうこ「なんかねぇー お兄さんと一緒なら良いって〜 みんなが〜 よろしくね!」
かいじゅうこ「カメラ届けに来たんだから〜」
カケル「あ、ありがとう。 でもオレも転々としてるんだぜ」
カケル「それに本当の姿はこんなだし・・・」
かいじゅうこ「へ、へえ〜」
かいじゅうこ「ワタシもコスプレしてたし おあいこ!」
カケル「え、ええまぁ・・・」
「ハハ・・・ハハハ・・・」
カケル「先のことを心配してもしょうがねえ! 旅に出るか!」
かいじゅうこ「レッツゴー!!!」
〇奇妙な屋台
店主「ただいま〜 これお土産〜」
謎マッチョ「おつかれさま。 お休みはいかがでしたか?」
店主「とても楽しかったわよ。 ね?」
謎占い師「そうですね」
店主「旅は道連れ 世は情け〜ね! サテ店じまい店じまい」
不思議な店主さんの謎に迫れるお話かと思いきや、何とも魅力的なお話で!現実と幻想の境目に存在していそうなステキな村のストーリーですね!
店番がマッチョさんだけなのが気になってたら占い師さん、前乗りしてたんだ。結局、店主さんについては「おじちゃん」と呼ばれたくないことしか新情報がなくて相変わらず謎のままでした。ところで、カケルが買った土産の大福は誰が食べたのかな。行きの電車内に忘れたっぽいですね。
不思議な世界観に一気にハマってしまいました!