水中の女

久坂晶啓

息は持つだろうか(脚本)

水中の女

久坂晶啓

今すぐ読む

水中の女
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇水中
  『水中の女』
オカン「亜美、お母さんよ」
亜美「・・・」
オカン「いつまで外に出ないつもりなの」
亜美「ほっといてよ」
オカン「皆心配してるわ たまには学校に行きましょう」
亜美「うるさいなあ 学校は息苦しいのよ」
オカン「つらいことがあっても皆学校に行ってるの 楽しいことだってあるはず」
亜美「いや私エラ呼吸だから地上は息苦しいんだって!」
オカン「はぁ」
オカン「なんでこの子は肺呼吸ができないのかしらね」
亜美「あんたが産んだんでしょ」
オカン「親に向かってあんたとか言うな」
オカン「どうしても学校には行かないつもり?」
亜美「うーん」
亜美「プールの授業なら行ってもいい」
オカン「ピンポイントすぎるて」
亜美「学校が水中にあればいいのに」
オカン「めだかの学校は川の中だけども」
オカン「せめて家には帰ってきたら」
亜美「家も地上じゃん」
オカン「お風呂にお湯ためてあげるから」
亜美「せまいなあ私のスペース」
亜美「なんでうちの庭にはプールがないの」
オカン「日本の一般家庭にプールはないの」
オカン「それにずっと水中にいたんじゃこの先大変よ。就職とか」
亜美「リモートワークすればいいでしょ今時」
オカン(パソコンって水中でも使えるのかな・・・)
亜美「水商売だってあるし」
オカン(たぶん水商売の意味を勘違いしている・・・)
亜美「もしくは水族館の」
オカン「えっ」
亜美「魚の世話する仕事につくわ」
オカン(ああ、人間の側か・・・)
オカン「ちゃんと考えてるってことね、わかった」
亜美「うん、私は大丈夫だから心配しないで」
亜美「でもこうして親子水入らずで話すのもいいわね」
オカン「水にはめっちゃ入ってるけど」
オカン「息苦しいから今日はこのへんで」
亜美「うん」
亜美「・・・オカンの潜水可能時間どんどん伸びてない?」
オカン「愛する娘のためならたとえ火の中水の中よ」
  (おわり)

コメント

  • なんか好きです!!👍
    水にかけたセリフ、掛け合いが良かったです!

  • 深い心の底まで、いや、水の底までお母様が来てくれるのが凄すぎて笑っちゃいました!!あと会話の掛け合いが面白かったですー!!(o^^o)
    もっと長く2人の掛け合いが見ていたくなりました!!
    あとお母様の息が持つのがすごすぎます!!!!!たとえ火の中水の中で笑いました!!

  • 冒頭、水の表現がメタファーかと思っていたのですが、そのまま話が進行して驚きでした!オカンはオカンなりに近寄ろうと歩み(潜水?)を続け、娘は娘なりにしっかり将来を考えている。社会問題として画一的に語られやすいこの分野、今一度見方を改めたくなります

コメントをもっと見る(5件)

ページTOPへ