星野と溝口

久瀬

カヤク(脚本)

星野と溝口

久瀬

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〇田舎の学校
  ここは、とある学校。
  そして現在はちょうどお昼時間だ。

〇散らかった職員室
溝口「あー、 腹減った。 さっさと昼飯食うか・・・」
星野「やあ!溝口!」
溝口「うわ・・・。 誰ですかあなた、知らない人です。どっか行ってください、ご飯が不味くなるので」
星野「そんなつれない事言わないでよ☆もしかして、身長と一緒に記憶力すらも溝に落としちゃったの??」
溝口「は?」
星野「大丈夫、大丈夫! 背が低い者にも、芸術の尊さは皆等しく与えられるってね!!」
溝口「はぁ~。 もういい。お前と真面目に話すのアホらしくなってきた。・・・つまり?」
星野「芸術は爆発だ!!!!」
  そう言って、ヤツは手に持った弁当の包みを俺に見せてきた。
  十数年、コイツの幼馴染をしてきた俺には分かる。
  この弁当、絶対に普通じゃない。
  ヤツは美術教師でありながら、爆発は芸術だ!をモットーにしているらしく、うちの学校の美術室はコイツの芸術で爆破した。
  まさに、他の美術教師が聞いたら画材で殴り掛かってきそうな芸術魂だ。
  あと、セーラー服着てるのはコイツの趣味
  ここは男子校である。あしからず。
溝口「星野、これは幼馴染のしてと忠告なんだが。 ──その弁当、今すぐ捨てる気はないか?」
星野「ないよっ☆」
  ・・・まあ、流石の俺も、トチ狂ってる幼馴染がこの程度で引き下がるとは思っていない。  ・・・・・・ッチ!!!
溝口「星野・・・。 俺にはな、芸術とは分からないけど、お前のことは、そこそこ知ってるつもりだ」
星野「えっ、なになに、急に。 俺の芸術に目覚めちゃった!?☆」
  溝に頭を叩きつけるぞ
  俺は近くの窓を覗いて、まるで人語を喋る犬を見つけたかの如く、指さして言った。
溝口「あっ、あそこにC4で作ったドミノが!?」
星野「えっ、どこどこ!?」
  よっしゃ、釣れた!!
  んなもんねぇよ、ヴァーーーカ!!
  俺はアイツが、窓を覗いてキョロキョロしている隙をついて、アイツの弁当を手に取る。
星野「ねぇ、C4で作ったドミノなんてどこに・・・・・・あっ」
溝口「幼馴染、舐めんじゃねー!!」
  俺は思いっきり振りかぶって、ソレを窓の外にぶん投げた。
星野「あああああ〜〜!!」

〇田舎の学校

〇散らかった職員室
  俺とアイツは職員室の窓から、盛大に打ち上げられた花火を見た。・・・・・・は?
星野「わぁ! た~まや〜☆」
溝口「まて。ちょっとまて。 ・・・・・・は? まじで、あれ、なに、あれ・・・は?」
  俺がぶん投げた弁当から花火が出た。
  その事実を常識人たる俺の脳みそは受け入れたくないらしい。
溝口「お前のことだから、ただの弁当を作る訳がないと思ってたけど・・・・・・何入れてたの? 弁当に」
星野「ん? 火薬」
溝口「・・・・・・は? かやく? あの、カップラーメンとかの?」
星野「いや、火薬。花火とかの。 ほら、かやくと火薬って読み同じだし、イケるかなって!!」
  ほがらか〜に、にこやか〜に
  言うアイツに、俺は笑った。
  ──もはや、笑うしかない。
溝口「あっはっはっは〜」
星野「あははははー」
  二人の、なごやか〜な笑い声が響く。
  ・・・・・・っ!!
溝口「ばっっっかじゃねぇええの、おまえぇぇぇ!!!???」
星野「ごめん、ごめん、ごめ〜〜ん!! ちょっと花火出して、サプライズドッキリみたいに盛り上げたかっただけなんだよ☆」
溝口「な〜にが、サプライズドッキリだ! あんの威力でバチスカされたら、書類が焼け野原だわ!書き直しに精神が死ぬ!!」
星野「いや、まさか俺もあそこまで、大輪の花を咲かせるとは・・・・・・火薬の量間違えたかも?」
  試作ぐらいしろっ!!!
  ぶっつけ本番するんじゃない!!!
  俺は、なんだなんだと集まってきた教師陣に、状況を報告し、星野の頭を地面にのめり込むまで下げさせた。
  『いやぁ星野先生の奇行は溝口先生じゃないと止められないですなぁ』と教頭から言われ、はははと苦笑する。
星野「ねぇねぇ、溝口。 ちょっと俺、新しい芸術について考えたんだけど!」
  ・・・・・・もう、コイツの幼馴染やめたい
  ー現在、コイツの奇行を止める幼馴染募集中です。どうですか?刺激的でスリリングな日常をお約束しますよー

コメント

  • 星野氏とてつもなくぶっ飛んでますね!😂
    お弁当から花火打ち上がるとか想像しただけで笑っちゃいます。
    溝口のツッコミが的確すぎです。
    なんだかんだ言いながら相手にしてあげていて優しいと思いました😂

  • 食べ物に入れる「かやく」は「火薬」じゃなくて「加薬」なんですよね。星野先生にはお薬が必要みたいだから、今度は溝口先生が星野先生のためにお薬入りの「加薬ご飯」弁当を作ったらいいかもですね。

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