エピソード1 これは運命? 偶然の再会(脚本)
〇教室
「お願いっ、咲希、 ついてきて!!」
河井咲希「急に、何?」
沢田ゆき子「これよ!」
河井咲希「なになに・・・?」
河井咲希「桜木カズヤ、 ファンクラブの集い・・・?」
河井咲希「あの、ローカルアイドルの?」
沢田ゆき子「そう!」
桜木カズヤは、この町内で活躍する
ローカルアイドルだ。
地元民にとても愛されていて、
特に中年層のファンが多い。
アイドルはメジャーどころしか知らない
私でも名前くらいは知っている。
河井咲希「ゆき子、ファンだったんだ?」
沢田ゆき子「だって、カッコいいし!」
河井咲希「え、ついてきてって、まさかこの 集いに!?」
沢田ゆき子「おねが〜い、同い年でカズヤのファンって あまりいなくてさ!」
河井咲希「私、そんなにファンって わけでもないんだけど・・・」
沢田ゆき子「お願い〜〜! ひとりだと緊張して 固まっちゃうかもしれないから!」
沢田ゆき子「神様、咲希さま〜〜!! 今度パフェ奢るから!!」
河井咲希「・・・特大ね?」
沢田ゆき子「お、おうっ・・・!」
〇ディベート会場(モニター無し)
ファンクラブの集い当日
河井咲希(わ、思ったよりすごい人・・・!)
河井咲希(やっぱり、カズヤは年配の方に 可愛がられてるんだなぁ・・・)
沢田ゆき子「どーしよーっ、緊張してきた!」
河井咲希「が、がんばれ・・・」
「本日は、僕のためにお集まりいただき ありがとうございます」
桜木カズヤ「桜木カズヤです!」
沢田ゆき子「あ・・・あ・・・あ・・・」
沢田ゆき子「カズヤーーーーーーーーッッ!!!!」
桜木カズヤ「熱い声援、ありがとう!」
沢田ゆき子「はぅあっ!!」
河井咲希「し、しっかりして、ゆき子ー!」
沢田ゆき子「もう・・・死んでもいい・・・」
藤木勝也「ただいまより、握手会を始めます」
藤木勝也「整理券をお持ちの方は、番号順に お並びください」
藤木勝也「お持ちでない方も、あとで お並びいただけます」
河井咲希「握手会なんてあるんだ・・・」
沢田ゆき子「ど、どうしよう・・・」
河井咲希「どうしたの、ゆき子?」
沢田ゆき子「私、今日の髪型変じゃない? メイク崩れてない? 服装キまってる?」
河井咲希「だ、大丈夫大丈夫・・・」
沢田ゆき子「咲希も、握手してもらう?」
河井咲希「あー、なんか 他の人に申し訳ないから・・・」
河井咲希「私は、ここで待ってるよ」
沢田ゆき子「そう? じゃあ、行ってくるね!」
河井咲希「・・・・・・」
河井咲希(暇だな・・・)
藤木勝也「並ばないんですか?」
河井咲希(あっ、さっきの司会の人!)
河井咲希「い、いえ。 私は、友人の付き添いなので・・・」
藤木勝也「カズヤと握手できるのは、 これが最後かもしれませんよ」
河井咲希「えっ? それは、どういう意味で──」
女性「東京に行っても、頑張ってねぇ」
桜木カズヤ「ありがとう! 頑張ります!」
河井咲希「東京!?」
藤木勝也「カズヤは、大手事務所でのCDデビューが 決まって、東京へ行くんです」
河井咲希「へえー、すごい!」
藤木勝也「本当に、すごいやつです。 カズヤは・・・」
河井咲希(・・・ん?)
河井咲希(なんとなく、言葉に違和感が・・・)
河井咲希(付き人さん、じゃないのかな・・・?)
藤木勝也「あ、僕はカズヤの兄で、 マネージャーなんです」
河井咲希「えっ、お兄さん?」
河井咲希(だから、ちょっと距離が近い 言葉に感じたのね)
藤木勝也「藤木勝也《まさや》と言います」
河井咲希「あ、ど、どうも・・・」
河井咲希(どうしよう、こっちも自己紹介した方が いいのかな・・・?)
沢田ゆき子「ううっ・・・東京行っでも がんばっでぐだざい〜〜」
桜木カズヤ「はは、ありがとう」
桜木カズヤ「今よりも、もっとテレビにも 出るようになると思うから」
桜木カズヤ「その時は、よろしくね」
沢田ゆき子「はいっ、ぜっだい見まずぅ〜」
沢田ゆき子「CDも、3枚買いまず〜」
河井咲希(わわっ、ゆき子、 感極まって大変なことになってる!)
河井咲希「すみません、友達が握手終わったよう なので、失礼しますね」
藤木勝也「はい」
河井咲希「ゆき子、大丈夫?」
沢田ゆき子「うえーん、 カズヤが東京に行っちゃう〜」
沢田ゆき子「笑って送りたかったのに〜」
沢田ゆき子「うう、ごめん・・・」
沢田ゆき子「メイクも崩れて・・・私、 今ひどい顔してるよね・・・」
河井咲希「大丈夫、ゆき子の顔は」
河井咲希「恋する乙女の顔だよ」
沢田ゆき子「咲希ぃ〜」
河井咲希「惚れるなよ〜?」
〇教室
それから数ヶ月後、
私たちは高校を卒業して、それぞれ
別の企業に就職した。
〇新橋駅前
4月になり、私は仕事の研修でしばらく
東京に住むことになった。
河井咲希「はぁ・・・ 都会は人が多いなぁ・・・」
河井咲希「でも、どこでも気軽に 遊びに行けるのはいいな」
河井咲希「寮だから、門限は早いけど・・・」
〇コンサート会場
ちなみに、桜木カズヤは
無事にCDデビューを果たし──
〇女の子の一人部屋
ゆき子は、宣言通りCDを3枚
買ったらしい。
沢田ゆき子「自分用、保存用、布教用よ!!」
〇二階建てアパート
そして、夏休みを利用して実家に
帰る時の事だった。
河井咲希「ふう、荷物多くなったから、 タクシー呼んで正解だったな」
河井咲希「半分くらい、お土産だけど・・・」
「お待たせしました、河井様ですか?」
河井咲希「はい、そうです!」
藤木勝也「どうぞ、荷物はトランクへ──」
「えっ? あっ!」
藤木勝也「もしかして、桜木カズヤのファンクラブにいた方じゃないですか?」
河井咲希「・・・・・・・・・・・・」
河井咲希「あーっ! マネージャーでお兄さん!」
藤木勝也「藤木です」
河井咲希「ええーっ? な、なんでここに!?」
藤木勝也「実は、 僕もカズヤと一緒に上京したんですが、」
藤木勝也「カズヤがCDデビューして、事務所から 正式なマネージャーさんがついて」
藤木勝也「僕は、お役御免になってしまったんです」
藤木勝也「それで、今はタクシーの運転手を」
河井咲希「そうだったんですね・・・」
藤木勝也「それにしても、 こんな偶然ってあるんですね」
河井咲希「本当ですね」
藤木勝也「あ、駅まででしたよね・・・?」
河井咲希「はい、お願いします」
〇タクシーの後部座席
藤木勝也「そういえば、河井様は、 どうして東京に?」
河井咲希「私は、仕事の研修なんです」
河井咲希「研修が終わったら、また地元に 戻るんですよ」
藤木勝也「そうなんですか・・・」
藤木勝也「・・・・・・」
河井咲希(・・・お腹すいたなー)
〇新橋駅前
河井咲希「ありがとうございました」
河井咲希「久々に地元の話も聞けて 楽しかったです」
藤木勝也「お帰りの際も、ぜひ当タクシーを ご利用ください」
河井咲希「わかりました。帰りもこちらへ 連絡させてもらいますね」
藤木勝也「あ、あの・・・!」
河井咲希「はい?」
藤木勝也「良かったら、今度、 一緒に食事でもどうですか!?」
藤木勝也「じ、地元の話とか、 できる友人もいなくて・・・!」
河井咲希(えっ、それって・・・?)
河井咲希(えぇええええぇぇっ!?)
藤木勝也「すみません、いきなりこんな。 困りますよね」
河井咲希「え、えぇと・・・」
河井咲希「お食事、だけなら・・・」
藤木勝也「じゃあ、また連絡しますね!」
河井咲希(食事だけなら、いいよね・・・?)
河井咲希、18歳。
藤木勝也、26歳。
運命的な、夏の再会だった──
アイドルではなくマネージャーさんの方で話が展開するのは珍しいと思いましたが、実話が元になっていたんですね…。本当に運命ですね…。
草加さん、こんばんは!
え〜!モデルがご両親!素敵すぎる題材ですね〜💓😀
年齢差もりあるなんですかね?偶然の再会、運命ですね🤗
素敵なストーリー…と思ったら、モデル(しかもらご両親!?)があったとは。ということは、この運命的な出会いは、最高の結果になる!?