過去編第5話『旧校舎』(脚本)
〇ボロい校舎
三好優弥「今日は肝試しに挑戦だな」
天宮詩乃「うん!」
天宮詩乃「すごい楽しみ!」
三好優弥「そういえばレター書いたのか?」
天宮詩乃「書いたよ!」
天宮詩乃「内容は内緒!」
天宮詩乃「ゆーやは書いたの?」
三好優弥「書いてない!」
天宮詩乃「だと思って、わたしがゆーやの分も 書いてあげたよ!」
三好優弥「捏造すんな!」
天宮詩乃「楽しみにしといてね」
〇明るい廊下
三好優弥「ここの七不思議は 『彷徨う女』と『死者に会える方法』か」
天宮詩乃「スタンプラリーに参加しないと ただの体感型の怪談扱いなんだね」
三好優弥「スタンプラリーに参加してる方が得だな」
天宮詩乃「えっと『彷徨う女』はその話を探し出して ある部屋で怪談の話をすると 彷徨う女が現れるんだって」
三好優弥「怪談の内容は 昨日会った人に教わっちゃったけど 一応様式美で探してみるか」
三好優弥「『死者に会える方法』」
三好優弥「怪談の内容としては 会いたい死者のことを考えながら 歩くと出会える」
三好優弥「イベントだと 旧校舎内のメッセージを集めて キーワードを完成させると 死者に会うことができる」
三好優弥「なるほどな」
天宮詩乃「ねえ、死者じゃなくて 天使にした方が ロマンチックじゃない?」
三好優弥「怪談にときめきを求めるな」
天宮詩乃「じゃあ、今から私たちの間では 『天使に会える方法』だからね」
三好優弥「改変するな」
天宮詩乃「いいじゃん」
〇学校の下駄箱
天宮詩乃「メッセージ発見!」
天宮詩乃「宝探しみたいで楽しい!」
三好優弥「明らかに怪しい下駄箱の中に 『死』」
天宮詩乃「フェイントで マネキンの頭が入ってたのは驚いたね!」
三好優弥「子ども普通に泣くだろ」
天宮詩乃「でも、お化け屋敷っぽくて好き」
〇理科室
女「・・・・・・」
天宮詩乃「きゃーーー」
三好優弥「わざとらしすぎるだろ」
天宮詩乃「楽しまないとね」
女「死者に会える方法をお探し?」
天宮詩乃「そうでーす」
女「私の質問に答えたら 教えてあげる」
天宮詩乃「おお!」
女「では、問題 口裂け女に出会った時の対処方法の 一つである呪文は?」
天宮詩乃「ポマード!」
女「正解」
三好優弥「本人が対処方法を問題にするのか」
女「じゃあ、キーワードを授けるわ」
女「内臓の『腸』よ」
天宮詩乃「はーい! ありがとう!」
女「どういたしまして」
〇教室
三好優弥「ここは何もなさそうだな」
天宮詩乃「・・・・・・・・・」
三好優弥「何してるんだ?」
天宮詩乃「あ、いやべつに」
天宮詩乃「何か仕掛けないかなって」
三好優弥「普通だから何もなそうだな」
天宮詩乃「そうだね」
天宮詩乃「次行こうか!」
〇薄暗い廊下
三好優弥「良い感じだな」
天宮詩乃「暗っ!」
三好優弥「ちゅ、ちゅぱかぶらじゃねえか!」
三好優弥「マジか、どうしてこんなところに UMAのチュパカブラが!」
天宮詩乃「ここ数ヶ月で1番テンション高いんだけど」
天宮詩乃「まあ、楽しそうならいいか」
三好優弥「ここの主催者は分かってるな」
三好優弥「よしよし」
天宮詩乃「吸血生物に撫でにいく人間なんて ゆーやぐらいだよ」
天宮詩乃「あ、なんかくれた」
天宮詩乃「あ、キーワードだ! 『室』」
三好優弥「あ、いなくなってしまった」
〇保健室
天宮詩乃「重傷だけど、保健室でいいのかな」
三好優弥「確かに」
三好優弥「病院に連れていくべきだな」
??「お気遣いありがとう」
??「覚えるの『覚』です」
三好優弥「あっさりだったな」
天宮詩乃「順調順調!」
三好優弥「全部のキーワードを組み合わせると 死腸覚室」
天宮詩乃「視聴覚室だね!」
〇説明会場
死者「夜がふける頃、1人の女が 暴漢に襲われ夜の校舎に逃げ込んだ」
死者「不運なことに女は 階段で足を滑らせ 頭から落ちて死んでしまった」
死者「それ以来、その女は幽霊となり 校舎を彷徨っている」
死者「この話しを放送室のマイクで 話すと女がやってくる」
三好優弥「なるほど、連続演出だったのか」
天宮詩乃「意外と難易度高い!」
死者「はい、スタンプ」
天宮詩乃「ありがとう!」
〇放送室
天宮詩乃「それ以来、その女は幽霊となり 校舎を彷徨っている」
天宮詩乃「びっくりした!」
三好優弥「詩乃が驚くなんて珍しいな」
天宮詩乃「音もなかったんだから仕方ないじゃん!」
三好優弥「ガラス越しの演出すごいな」
天宮詩乃「あれ?いなくなっちゃった」
彷徨う女?「クリアおめでとう」
彷徨う女?「あれ?」
彷徨う女?「驚かないの?」
三好優弥「あ、いや、さっきの人は?」
彷徨う女?「さっきの人?」
彷徨う女?「ここの係は私だけだけど」
天宮詩乃「またまたー そういう演出なんですよね!」
彷徨う女?「いやああー!!」
三好優弥「まさかの急展開」
彷徨う女?「と、とりあえずあなたたちには スタンプあげるわ!」
彷徨う女?「これで失礼するわ!」
天宮詩乃「とりあえず私たちも逃げよう!」
三好優弥「りょ」
〇ボロい校舎
天宮詩乃「楽しかった!」
天宮詩乃「学園祭にしては レベルすごい高かった!」
三好優弥「そうだな」
三好優弥「放送室の最後の演出は何だったのか 気になったけどな」
天宮詩乃「確かに!」
三好優弥「久しぶりに詩乃の驚く顔見れて 楽しかったけどな!」
天宮詩乃「もう!」
天宮詩乃「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるから 適当に回ってて!」
三好優弥「じゃあ、屋台があるあたりに行ってる」
天宮詩乃「うん!」
三好優弥「迷子になるなよ」
天宮詩乃「そっちこそ!」
〇文化祭をしている学校
天宮詩乃「お、お待たせ! はあはあ」
三好優弥「大丈夫か?」
天宮詩乃「あ、うん」
天宮詩乃「トイレ行ったんだけど混んでてさ」
天宮詩乃「遠いところのトイレに行って 遅くなっちゃった」
三好優弥「この人混みだもんな」
三好優弥「そんな慌てなくて良かったのに」
天宮詩乃「そ、そうだね」
三好優弥「ん?」
天宮詩乃「それよりさ、食べよう! 来る途中見てきたけど たくさん美味しそうなものあったよ!」
三好優弥「そうだな」
天宮詩乃「屋台の食べ物美味しいね!」
三好優弥「確かにな! 生徒が作ってる割には プロが作ってるみたいだな」
天宮詩乃「さっき聞いたら 料理部の人たちが作ってるんだって!」
三好優弥「レベル高いな」
天宮詩乃「ホントだよね」
三好優弥「入学したら入りたいか?」
天宮詩乃「候補に入れとく!」
天宮詩乃「でも、入りたい部活があるの」
三好優弥「何だ?」
天宮詩乃「それは優弥が一緒に入学したら 教えてあげる!」
三好優弥「気になるじゃねえか」
天宮詩乃「だったら、頑張って入学しようね!」
三好優弥「ああ」
〇華やかな裏庭
三好優弥「片付け始まったな」
天宮詩乃「あーあ、もう学園祭も終わりかぁ」
天宮詩乃「悲しいなぁ」
三好優弥「でも一日中楽しかったな!」
天宮詩乃「そうだね!」
天宮詩乃「ほとんど回れたから満足!」
三好優弥「あとはスタンプラリーの報告だけだな」
学園祭係「やあ!」
天宮詩乃「こんにちは!」
三好優弥「ども」
学園祭係「あれ? 君は? あそこで、、」
天宮詩乃「しーーです」
学園祭係「あ、そういうことか」
学園祭係「了解」
三好優弥「ん?」
学園祭係「お、ついにクリアしたんだね」
学園祭係「おめでとう!」
天宮詩乃「ありがとう!」
三好優弥「でも、6個しか七不思議なかったけど」
学園祭係「7個目が謎なのが七不思議なんだよ だから合格!」
学園祭係「スタンプラリーも6個しか押す場所なかったでしょ?」
天宮詩乃「確かに」
三好優弥「まあいいか」
学園祭係「じゃあまずはクリア賞の お菓子詰め合わせ!」
三好優弥「おお、しばらく菓子には困らんな」
学園祭係「ただでさえ、参加者少ないのに」
学園祭係「旧校舎でギブアップする人多くて 余ったのを押し付けてるのは内緒ね」
天宮詩乃「やったー! 双葉と水葉が喜ぶね!」
三好優弥「ああ」
学園祭係「じゃあ次は、抽選でーす!」
三好優弥「おお、そんなものもあるのか」
学園祭係「数に限りがあるから レアイベントになっちゃったんだよね」
学園祭係「好きなの引いてね 2人だから1回ずつね」
三好優弥「これにしよう!」
学園祭係「おめでとう!」
学園祭係「ブランド物のシルバーリングだよ」
三好優弥「おお」
天宮詩乃「すごーい 本当に豪華だね」
学園祭係「でしょ? じゃあ、そっちのお嬢さん」
天宮詩乃「はーい!」
学園祭係「おっと、これは!?」
学園祭係「特賞でございます!」
学園祭係「最後の最後で凄いね!」
学園祭係「斎条トラベルグループより ご提供していただきました 温泉旅行券でございます」
天宮詩乃「まさか、学園祭のイベントで 豪華な賞品もらえるなんて驚いた」
学園祭係「とりあえずおめでとう!」
天宮詩乃「ありがとう!」
学園祭係「利用方法に関しては パンフレット見てね」
天宮詩乃「はーい! ありがとう!」
学園祭係「じゃあ、来年も遊びに来てね!」
天宮詩乃「はーい!」
〇学校脇の道
天宮詩乃「楽しかったね!」
三好優弥「ああ」
三好優弥「そういえば、途中トイレ行った時 どっか寄ってたのか?」
天宮詩乃「どうして、そんなこと聞くの?」
三好優弥「やけに息切れしてたから」
三好優弥「トイレ探してた割には 大変そうに見えたからな」
天宮詩乃「トイレのついでに 面白そうなものがあったから 見ちゃってただけ!」
三好優弥「そうか それなら別行動しとけば良かったかなって」
天宮詩乃「それはダメ! 一緒じゃないと意味ないんだから!」
三好優弥「そうだな」
三好優弥「なあ、これいるか?」
天宮詩乃「えっ?」
天宮詩乃「いいの?」
三好優弥「俺が持ってると失くしそうだしな」
天宮詩乃「嬉しい!」
三好優弥「サイズは大体合ってると思うぞ」
天宮詩乃「ほんと!?」
三好優弥「前に雑貨屋で詩乃が指輪試着してたの 見てたしな」
天宮詩乃「ゆーや、えらい!」
天宮詩乃「早速つけよう!」
天宮詩乃「可愛い」
三好優弥「気に入ったか?」
天宮詩乃「もちろん!一生大切にするね!」
天宮詩乃「学園祭来て本当に良かったよ!」
三好優弥「ああ」
天宮詩乃「来年は入学したら 2人で回ろうね!」
三好優弥「分かった」
〇ファンシーな部屋
三好優弥「帰ってからずっと見つめてるな」
天宮詩乃「これは私の宝物なの」
天宮詩乃「パパとママの形見なんて ほとんど無かったし」
三好優弥「大事にしてくれよ」
天宮詩乃「うん!」
〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「パパとママに会いたい」
天宮詩乃「何で、私一人にしたの?」
天宮詩乃「どこを探してもいない」
天宮詩乃「どれだけ呼んでも来ない」
天宮詩乃「どこにいるの?」
〇墓石
三好優弥「先生」
三好優弥「俺はどうしたらいいですか?」
三好優弥「あなたからいろいろなことを 教えてもらいましたけど」
三好優弥「こんなときどうすればいいか もっと聞いておけばよかった」
三好優弥「強くなることは教わったけど ただ喧嘩が強いだけじゃ人は救えないんだ」
三好優弥「俺はあいつに何が出来るのかな」
三好優弥「あいつの涙を止めてやりたいんだ」
三好優弥「自分で答えを出すしかないんだよな」