メタニカル パンク

ゆでたま男

エピソード2(脚本)

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〇屋敷の書斎
  国の重要機関のとある一室。
  ワイングラスが置かれたテーブルを挟んで、二人は膝を付き合わせていた。
おじさん「どうかね、飛行船の方は?」
ジェフ「おかげさまで、着実に完成に近づいています」
  ジェフは、国防軍の参謀総長を相手に、にこやかに言った。
おじさん「こちらこそ。我々の軍事力に大きく貢献してくれてありがとう。あの飛行船で空爆すれば、敵国も一網打尽だろう」
  ジェフは、蒸気機関より優れた内燃機関がこれから世界の主流になると考えていた。
  いち早く実用的なエンジンを完成させれば、一儲けできるというわけだ。
  だが、そのためには、莫大な資金が必要だった。そこで、国からの資金提供を目論んだのだ。
  表向きは民間の飛行船開発としたが、当局には戦争兵器の開発という理由を提案し、狙い通り潤沢な資金を得ることが出来た。
ジェフ「これからは、エンジンの時代です。より質のよいエンジンを開発すれば、他国にとっての驚異になるでしょう」
ジェフ「そのためにはお互いの協力か必要です」
  二人は、互いの勝利に乾杯をした。

〇ファンタジーの教室
ベネット先生「ちょっといい?」
  ロイが一日の授業が終わって帰ろうとしたとき、ベネットに呼びとめられた。
ロイ・パーカー「はい」
ベネット先生「新聞で見たんだけど、昨日の事故ってもしかしてロイのこと?」
ロイ・パーカー「はい、そうです」
ベネット先生「大変だったわね」
ロイ・パーカー「あ、いえ」
ベネット先生「追いかけられたのは、蒸気機関の乗り物だって本当?」
ロイ・パーカー「そうです」
ベネット先生「もしかして、乗っていたのはレインじゃない?」
ロイ・パーカー「あぁ、確かそんな名前だったような」
ベネット先生「住んでる場所分かる?」
ロイ・パーカー「はい、でも何でそんなことを」
ベネット先生「ううん、気にしないで。場所だけ教えてくれればいいの」
  ロイは、不思議に思ったが、大まかな場所を説明すると、ベネットには伝わったようだった。
ベネット先生「ありがとう。気をつけて帰ってね」
ロイ・パーカー「は、はい」
  ロイは首を傾げた。

〇城の会議室
  薄暗い部屋の中で数人がテーブルを囲んでいた。部屋の一番奥の壁には、剣と盾の上にBとLを組み合わせた紋章が飾られている。
  その前に白くて長い髭をたくわえた老人が座っていた。
司教「君達は、我々の使命を忘れたわけではあるまいな。文明の進歩がどれだけの救われない魂を生んでいるか」
司教「進み過ぎた文明はいずれ滅びゆく運命にある。人間本来の姿を取り戻し、再びこの世界に光をもたらすのだ」
司教「そのためには、あの子の力が必要だ。 だが、このままではあの子の命が尽きてしまう。どうにかせねば」
「司教、私に言い考えがあります」
司教「本当か。失敗は許されんぞ、ベネット」
  ベネットは、立ち上がり、
ベネット先生「お任せ下さい」
  と右手を左胸に当てた。

〇要塞の廊下
  ベネットは、廊下で呼びとめられた。
仲間「大丈夫なのか?あんなこと言って」
ベネット先生「何が?」
仲間「最近のお前を見ていると、無理しすぎてるように見えるが」
ベネット先生「そうかしら」
  ベネットは、まだ幼かった頃のことを思い出した。
  両親に捨てられ、食べる物もなく、雪の降る街角で凍えていたところを司教が拾い育ててくれたのだ。
  その時、司教の望むことなら何でもしようと誓ったのだった。
ベネット先生「私には他に居場所なんてないの。居場所なんて・・・」

〇牢獄
  6人が寝られるほどの牢に、15人も詰め込まれている。まともに横になることもできないため、座っているしかない。
  ローズは、壁際で膝を抱えていた。
老女「あんた、いくつだい?」
ローズ・ウィットレイ「16歳です」
  話かけてきたのは、中年の女性だった。頬はこけ、瞳の輝きが完全に失われている。
  無理やり自供させるため、酷い拷問を受けたのだろう。ローズもまた同じだった。
老女「可愛そうにね、まだ若いのに」
  看守がやって来た。
看守「ローズ・ウィットリー、出ろ」

〇ヨーロッパの街並み
  外に出ると、他数人と馬車に乗せられた。誰も口を開かずうつ向いている。みなこれから処刑されるのだから当然だ。
  馬車はゆっくり動き出しす。
  だが、しばらくすると止まった。
「何だお前は」
「鍵を渡せ」
  外から会話が聞こえる。
「やめてくれ」
  ドンッと鈍い音がした。それが銃声だと気がつくのにさほどの時間もかからなかった。
  鍵を開ける音がして扉が開く。フードをかぶり、口元を布で隠しているため、どんな人物かも分からなかった。
謎の男「ローズ・ウィットレイ降りろ」
ローズ・ウィットレイ「あなた誰?」
謎の男「いいから早くしろ」
  ローズは、怯えながらも馬車を降りた。

〇木造のガレージ
  一週間が終り、土曜日になった。
  ロイは、渡された地図を
ロイ・パーカー「ここか」
  外観の第一印象といえば、汚いだった。二階建ての家の横に大きな納屋があって、
  扉は開いている。
  中を覗くと、誇りっぽい中で彼は何かの作業をしているようだった。
ロイ・パーカー「あの・・・」
レイン「あ、君は」
  こちらに気がついて、手を止めた。
レイン「この前は、悪かったね」
ロイ・パーカー「いや、まぁ」
  辺りを見回すと、見たことのないような機械や工具がところ狭しと置かれている。
ロイ・パーカー「これは何?」
  それは、球体が地球儀の様に台に固定されていて、球体の左右にL字の細い管が180度逆向きでついている。
レイン「それは、アイオトロスの球さ」
ロイ・パーカー「アイオトロス?」
レイン「中に水をいれて火であぶると、その管から蒸気が出て球が回転するんだ」
ロイ・パーカー「へ~」
  レインは、ランプに火をつけて、球体の下に置いた。しばらくして、白い煙を吐きながら球体は回りだした。
レイン「原始的な蒸気機関さ」
レイン「そこにある翼のついたのはスチームソプター。あっちはスチーム船だ」
レイン「どれも蒸気を動力にしているけど誰でも簡単に操作出来る様に作ってある」
レイン「本当はこの前君の自転車を壊したやつの改良型のスチームカートもあったんだけど、盗まれてしまってね」
ロイ・パーカー「盗まれた?」
レイン「そこの扉の鍵が壊されてね。 そうだ、思い出した」
  レインは、隅に置かれて布を被っていたものを持ってきた。布の勝利に隙間から車輪が見えている。
レイン「自転車を壊したお詫びに」
  レインは布をとった。
ロイ・パーカー「なんだこれ」
  形は自転車の様だが、機械的なものがついている。
ロイ・パーカー「これってまさか」
レイン「蒸気で動く自転車。名付けて、スチームバイク」
  ロイの頭に、先日の光景が甦った。
ロイ・パーカー「いや、あの、普通の自転車がいいな」
レイン「遠慮しないでよ」
ロイ・パーカー「そういうことじゃなくて」
レイン「では、早速走らせてみよう」
  レインは、ヘルメットを差し出した。
  外に出してロイはバイクにまたがった。
レイン「進むためにはハンドルの下にあるレバーを前に倒せばいい。止まるには、両手のハンドルにあるレバーを握るんだ」
ロイ・パーカー「本当に大丈夫?」
レイン「もちろん」
  レインは、後ろにまたがった。
レイン「よし行こう」
ロイ・パーカー「行こうって」
  レバーを前に倒すと、バイクは勢いよく、というより暴走気味に走り出した。
ロイ・パーカー「うわぁぁー」
レイン「すごい、本当に走った」
ロイ・パーカー「え!?」
レイン「実は今日がはじめてなんだ、走らせるの」
ロイ・パーカー「なんだって」
  ロイは、呆れた顔をした。

〇綺麗な港町
  街の人たちの不思議な視線を受けながら、街を一周した。
  警部から聞いていた評判とは裏腹に、すごい技術だと、ロイは感心した。
ロイ・パーカー「よくこんなの作れるな」
レイン「そうでもないよ。実は、もっとすごい秘密兵器もあるんだけどね」
ロイ・パーカー「さっき、盗まれたって言ったよね」
レイン「うん」
ロイ・パーカー「きっと、馬車協会の仕業だ」
レイン「馬車協会?」
ロイ・パーカー「あいつら自分達の利益を守るために、蒸気機関を規制してるだろ」
レイン「でも、確証はないよ」
ロイ・パーカー「いや、他に考えられない。馬車協会に行こう」
レイン「行こうって」
  レインは、何やら嫌な予感を感じていた。

〇立派な洋館
  馬車協会のある街は、少し距離があったが、さほどの時間もかからなかった。
おじさん「だから、そんなもん知らんと言っとるだろ」
レイン「ロイ、もう帰ろうよ」
  レインの腰は完全に引けている。
ジェフ「何をやってるんだ」
おじさん「あぁ、すみませんパーカーさん。おかしな子達が騒いでまして」
  と、手をもんだ。
ロイ・パーカー「父さん」
ジェフ「何でお前がこんなところにいるんだ」
おじさん「あ、ご子息の方でしたか。これは失礼しました」
  急に態度が変わった。
  ジェフは、ロイのことをいちべつした。
ジェフ「いいんだ、どうせぼんくらだ。勝手に家を出ていったと思ったら、こんなところで油を売っているのか」
ロイ・パーカー「こっちだって、好きでこんなとこ来たわけじゃない。レインの作ったスチームカートを返してよ」
ジェフ「何だそれは」
ロイ・パーカー「蒸気で動く馬車だよ」
ジェフ「そんなもんは知らん。いいか、蒸気機関は危険なものなんだ」
ジェフ「そっちの君も、変なもの作ってないで、もっと世の中の役にたつものを作るんだな。さぁ、早く帰りなさい」
ロイ・パーカー「分かったよ」
  二人は、外に出た。
レイン「ロイ、仕方ないよ。それにまだ馬車協会の仕業と決まったわけじゃないし。帰ろう」
ロイ・パーカー「馬車協会は、政治家に多額の金を渡してる。そのお陰で父さんの地位が守られて、 蒸気機関も弾圧を受けてるんだ」
  二人は、バイクに乗って走り出した。

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