読切(脚本)
〇男の子の一人部屋
突然、目の前に少女が舞い降りた
「あてっ」
織姫「うわああん、あたまうったああ!」
ソータ(おい、何だよこれ・・・夢でもみてんのか?)
ソータ「とりあえず落ち着けって、近所迷惑だろ」
織姫「ぐすん・・・すまぬ」
ソータ「・・・で、お前だれ? どこから現れた?」
織姫「名は織姫じゃ。見ての通り幽霊じゃ」
ソータ「幽霊? いや、でも俺は見えてるぞ」
織姫「そなたにしか見えておらん」
耳を澄ますと、数秒前の大絶叫にも関わらず親が駆けつけてくる気配もない
ソータ「幽霊ってマジかよ・・・でも何で俺の部屋に?」
織姫「願い事を叶えてほしいんじゃ」
ソータ「願い事?」
ソータ(織姫ってあれだよな・・・七夕の)
ソータ「それって、彦星を探してるのか?」
織姫「はあ? だれがあんなロリコン!」
ソータ「え・・・彦星ってロリコンなの?」
織姫「ロリコンじゃ! わらわの気を引こうと毎年お菓子を送ってくるんじゃ」
ソータ(それ金平糖じゃね?)
ソータ(おいおい、マジでロリコンじゃねえか彦星のやつ)
ソータ(歴史の真実知っちゃたよ俺)
ソータ「じゃあその彦星(ロリコン)に会う以外の願いって何なんだ?」
織姫「そんなのわからんに決まっておるじゃろう」
織姫「とりあえず腹が減った、何か用意せい」
ソータ(え、幽霊ってお腹空くの?)
ソータ「カップラーメンくらいしか無いけど?」
織姫「それでよい。はよせい」
ソータ「んじゃま、三分待ってちょ」
三分後・・・
織姫「なんじゃこれは・・・器から湯気が出ておるではないか!」
ソータ「熱いから気を付けろよ」
ソータ「つーか、箸は使えるのか?」
織姫「子ども扱いするでない! 見ておれ・・・」
織姫「だめじゃあああ!」
ソータ「だから言ったろ・・・ほら、こっち向け」
織姫「ぐすん・・・すまぬ」
織姫「おお! なんと美味な! これがカプラーメンというものなのか!」
ソータ「織姫は普段何を食べてるんだ?」
織姫「父上の作った弁当じゃ」
織姫「わらわの顔が彩られた弁当を作ってくれるのじゃ」
ソータ(おいおいマジかよ天帝様。めっちゃ娘溺愛してんじゃん)
織姫「だがカプラーメンも捨てがたい。今度父上に相談してみようかの」
ソータ「いや、それはやめてあげて」
ソータ「せっかく頑張って作ったのに、選ばれなかったらお父さんマジで泣いちゃうよ?」
ソータ「せめて週一にしてあげて」
織姫「仕方ないのう。しかしその方が楽しみも増えるというものじゃ、受け入れよう」
ソータ(あれ・・・なんだろうこの、何とも言えない罪悪感)
織姫「そうじゃ、忘れておった!」
織姫「今日はTapNovelの配信日だったんじゃ!」
織姫「彦星が勧めておった新作を読まねばならんのじゃ」
ソータ(え、彦星TapNovel読むの?)
ソータ(めっちゃロリコンじゃん)
織姫「ほらはよせい!」
織姫「でないと最初の1タップを押せんじゃろうが!」
ソータ(いやYoutubeのコメントじゃないんだから)
ソータ「で、探しものはどんなタイトルなんだ?」
織姫「ああ、それはの」
ソータ(マジかよ彦星、めっちゃ・・・)
なんだかんだ話を合わせてあげてカプラーメンまで作ってあげるソータ普通にいい子だな。でも織姫ちゃん、落ちてきたのはいいけど、帰るときはどうやって?
七夕のイメージがガラッと変わってしまいそうでした(笑)カップラーメンほんとに気に入ったみたいで、現代版の織姫様っていうところでしょうか。