「クリぼっち」卒業

Kazunari Sakai

「クリぼっち」卒業(脚本)

「クリぼっち」卒業

Kazunari Sakai

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〇幻想空間
  誰が命名したのかは定かではないが、
  クリスマスに一人で過ごすことを
  「クリぼっち」と言う。
  そして彼女。
  広告代理店に勤める三上瑠美も
  その中の一人だ。
  そんな彼女にも、大学時代には素敵な彼氏
  がいた。
  クリスマスイブに
  些細な喧嘩で別れるまでは。
  その時から瑠美は、毎年のクリスマスを
  「クリぼっち」として過ごしている。
  「クリぼっち」卒業

〇幻想空間
  ──週末の金曜日──

〇カラオケボックス(マイク等無し)
  その日。瑠美が勤める広告代理店では
  忘年会が行われ、そのまま二次会へと
  場所を移動していた。
三上瑠美「明日は休日。 今日は夜通し飲むからね」
夏目香織「無茶はダメよ。私、この後彼氏と会うから 瑠美を送れないよ」
三上瑠美「薄情者! 親友より彼氏を選ぶのね。 別にいいわよ。 香織がいなくても一人で帰るから」

〇幻想空間
  ──翌日──

〇中規模マンション
  瑠美の住むマンション

〇豪華なベッドルーム
  髪の毛がボサボサの瑠美。
  ベッドの上で自分の手のひらを見つめている。
  手のひらに赤色のハ―トマ―ク。
三上瑠美(何だコレ。 誰が書いた? 口紅だよね? ・・・誰か知らない男性が・・・ 隣にいたような気がする・・・)
  瑠美、スマホをチェック。
三上瑠美(アドレス交換はしていない。 ・・・私の思い過ごしか?・・・)
三上瑠美(ああ・・・人生初だわ。 これだけ記憶がぶっ飛んだのは── 最後に飲んだテキ―ラが、 とどめの一撃になったな)
三上瑠美(でも・・・ 何だろう・・・この感覚。 今でも私の胸を・・・ ドキドキさせている)

〇幻想空間
  ──週明けの月曜日──

〇異世界のオフィスフロア
  瑠美の会社オフィス
夏目香織「おはよう瑠美。 あの後、ちゃんと帰れた?」
三上瑠美「それが・・・ ほとんど記憶ないのよね」
夏目香織「それ、飲んだ翌日、 中年男性がよく言うワ―ド。 瑠美にはまだ早いでしょ」
三上瑠美「タクシーで帰ったとは思うけど・・・ 目が覚めたら自分の部屋だった」
夏目香織「怖い怖い・・・ 飲み方考えた方がいいよ。 もうお酒はほどほどにしなさいね」

〇中規模マンション

〇明るいリビング
三上瑠美(何か大切な事を・・・ 忘れている気がする・・・)

〇幻想空間
  ──クリスマスイブ当日──

〇異世界のオフィスフロア
夏目香織「瑠美。 口紅貸してくれない」
三上瑠美「忘れたの? 珍しいね」
夏目香織「今日の夜、彼氏と会うでしょ。 朝からワクワクしていたら、 うっかり家に忘れてきちゃった」
三上瑠美「彼氏か・・・ 今日の私には、全く必要ないから、 口紅持っていきなよ」
夏目香織「寂しい事言わないでよ。 瑠美も早く彼氏作らないと」
  口紅を見つめる瑠美
夏目香織「どうしたの?」
三上瑠美「ねぇ、香織・・・ この前の二次会だけど・・・ 私の手のひらに落書きした?」
夏目香織「はぁ? なにそれ」
三上瑠美「ゴメン。 何でもないわ」
三上瑠美(口紅・・・ 何故こんなに気になるのだろう・・・)

〇中規模マンション

〇明るいリビング
三上瑠美(クリスマスイブか・・・ 毎年この日は憂鬱になるなあ・・・)
  テレビ画面・・・
  ニュース番組が放送され、
  クリスマスイブの様子を伝える。
  リポーター
  「クリスマスイブの当日」
  「ここ駅前広場のクリスマスツリー前では、
  多くのカップルで賑わってます」
  瑠美の脳裏に閃光が走る
三上瑠美(クリスマスツリー前── 思い出した! 行かないと!)

〇雲の上
  ──あの日──
  二次会の後

〇街中の道路
三上瑠美(泥酔した私は、 街中の自販機にもたれかかり、 その場で寝ていた)
  そんな私に優しく声をかける男性がいた
田中隼人「大丈夫ですか? こんな場所で寝ていたら、 風邪ではすまないよ」

〇公園のベンチ
  彼の名前は田中隼人。
  私を心配して公園のベンチで付き添い
  タクシーに乗せてくれた
  公園のベンチではお互い会話が弾んだ。
  彼も私と同じ「クリぼっち」だという事
  好きな音楽ジャンルが
  私と一緒だった事
  そして・・・
  酔った勢いで、私は彼に告白した
三上瑠美「ねぇ・・・ 私の彼氏になりませんか?」
田中隼人「僕でいいの? 僕からも宜しくお願いします。 でも・・・」
田中隼人「今は瑠美さんが酔っているから、 酔いがさめたら告白した事を 後悔するかもしれません」
田中隼人「だからこうしませんか・・・ もう一度クリスマスイブに待ち合わせをする」
田中隼人「もしその日にまた再会出来たら、 その日を二人の交際記念日にするという事で」
田中隼人「その日までは、どちらかの考えが 変わっても、お互い影響がないように、 アドレス交換もしないでおく。 どうですか?」
三上瑠美「いいよ。 それで待ち合わせ場所はどこにする?」
田中隼人「駅前広場のクリスマスツリー前は どうですか?」
三上瑠美「了解。時間は?」
田中隼人「夜9時。 ちゃんと僕の顔と名前、 覚えておいて下さいね」
三上瑠美「田中隼人君。 絶対忘れないし、必ず行くから」
田中隼人「でも・・・ 少し心配だから、瑠美さんが忘れないように おまじないを・・・ 瑠美さん、口紅貸して」
三上瑠美「えっ?」
  その時彼は
  私の手のひらに
  口紅でハ―トマ―クを書いた

〇タクシーの後部座席
三上瑠美「駅前広場に。 9時に間に合いますか?」
タクシー運転手「おまかせ下さい。 私は渋滞を避けるプロですから」
三上瑠美(こんな大事な事を忘れてたなんて もう二度とテキ―ラはやめよう)

〇渋谷のスクランブル交差点
  タクシーを降りて走る瑠美

〇クリスマスツリーのある広場
三上瑠美「隼人君?」
田中隼人「良かった。 時間が少し過ぎていたから、諦めかけてました。 瑠美さん。来てくれてありがとう」
田中隼人「出会った時。 テキ―ラが好きと聞いたから、 テキ―ラを出すお店を探し、 翌日直ぐ予約しました」
三上瑠美「テキ―ラ・・・」
三上瑠美「まっ! いいっか!」
田中隼人「では行きますか」
三上瑠美「うん」

〇幻想空間
  クリスマス。
  来年の事は分からないが、これだけは確実に言える
  今日、世の中で二人は・・・
  「クリぼっち」が卒業した事を──

コメント

  • 思い出せてよかったですね!
    素敵な出会いを忘れてしまっては、彼とも再会出来なかったですよね。笑
    手にハートを書いておく彼の茶目っ気がかわいいです。

  • 瑠美さんよく思い出したね、よかったねって思わず嬉しくなりました。酔っていたからこそ、彼に素直に自分の状況話せたのでしょうね。それが裏目にでなかったのは、きっと本来の彼女が素敵な人だからでしょうね。

  • とってもロマンチックで素敵なお話〜。クリスマスってだけでもう、センチメンタルもロマンチックも増すよね〜♪こういうのって運命感じちゃうなぁ。
    クリぼっち卒業おめでとう。読んでてトキメキましたよ。トキメキをありがとう〜♪

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