先生、死んでる場合じゃありません!

大河内 りさ

P7・取材に行きましょう!(脚本)

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〇可愛らしいホテルの一室
クロエ「わっ!? 何!?」
レイヴィダス「おはようございます、先生!!」
クロエ「レイさん・・・?」
レイヴィダス「入ってもよろしいでしょうか!?」
クロエ「だめです!!」

〇城の廊下
レイヴィダス「担当編集者っぽい コスプレもしてきました!」
レイヴィダス「さあ、今日こそ連載に向けた 打ち合わせをしましょう!!」
クロエ「嫌です」
レイヴィダス「何故です!?」
クロエ「先日のネームはリハビリのようなものです」
クロエ「今の私はまだまだ 連載などできる状態ではありません」
レイヴィダス「先生なら大丈夫です!!」

〇可愛らしいホテルの一室
クロエ「何を根拠に・・・」
クロエ「しかもレイさん、私に 週刊連載をさせようとしていましたよね?」
レイヴィダス「だって、早く続きが読みたいんです!!」
クロエ「無理なものは無理です」
クロエ「それと私はアナログで描いていたので、 パソコンをご用意いただいても使えません」
レイヴィダス「では画材も揃えます! ペン先のメーカーはどちらがよろしいですか!?」
レイヴィダス「あっ、並行して パソコン講座も行いましょうか!?」
クロエ「結構です」
レイヴィダス「とにかくここを開けてください、先生〜!!」
クロエ「この前ネームを見せてから 毎日これだもの、困ったわねぇ・・・」
クロエ「ストラさんに 助けていただくしかないかしら」
クロエ「ええと、介護呼び出しベル──」
クロエ「じゃなくてバトラーズベルを・・・」
クロエ「そうだわ。たしか契約した相手は 魔法で呼び出せるんだったわね」
クロエ「呪文は・・・どんなだったかしら?」
クロエ「集中できればいいと仰っていたし、 この際なんでもいいわよね」
クロエ「集中、集中・・・」

〇城の廊下
クロエ「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄・・・」
レイヴィダス「せ、先生・・・?」
クロエ「・・・空不異色 色即是空 空即是色」
レイヴィダス「先生!? どうなさったのですか!?」
ストラスール「レイヴィダス様? クロエ様のお部屋の前で何を・・・」
レイヴィダス「ストラスール!! 先生の様子がおかしいのだ!!」
クロエ「・・・不生不滅 不垢不浄 不増不減」
クロエ「是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意」
クロエ「無色声香味触法 無眼界・・・」
ストラスール「変わった旋律ですね」
レイヴィダス「何か怖い・・・」
ストラスール「クロエ様、ストラスールです。 入室の許可をいただけませんでしょうか」
クロエ「ストラさん? どうぞ入って」
ストラスール「失礼いたします」
レイヴィダス「では私も──」
クロエ「レイさんはだめです」
レイヴィダス「そんなぁ!!」

〇可愛らしいホテルの一室
クロエ「すごい。 お経でも魔法が発動したわ!」
ストラスール「いえ、その・・・ たまたま通りかかっただけです」
クロエ「あらまぁ、そうでしたか」
ストラスール「どうかなさいましたか?」
クロエ「レイさんのことなのですが・・・」
ストラスール「ああ・・・」
クロエ「先日『わたアル』の続きのネームを お見せして以来、あのような感じで」
クロエ「喜んでいただけたのは嬉しいのですが、 こう毎日催促されてしまうと・・・」
ストラスール「鬱陶しいですね」
クロエ「まぁ、その・・・」
ストラスール「消しましょうか」
クロエ「そこまでじゃありません!!」
ストラスール「そうですか?」
ストラスール「あなたがそうせよと仰るなら いつでもあの男を消してご覧にいれますよ」
クロエ「それはいけませんっ!」
クロエ「私はあくまで一時的に魔王様の 代理をすることになっただけです」
クロエ「あなたが本当に仕えるべき人は、 レイさんなんですからね」
ストラスール「・・・・・・」
クロエ「お返事は?」
ストラスール「・・・・・・はい」
クロエ「よろしい」
クロエ「それでね、ストラさん」
クロエ「レイさんに、少し落ち着くよう お伝えして欲しいんです」
クロエ「きちんと作品と向き合うためにも、 もう少し準備する時間をください、と」
ストラスール「かしこまりました」
クロエ「それに、せっかく魔界にいるのですもの」
クロエ「いろいろ取材をして、マンガに 活かせたらいいなと思うんです」
ストラスール「それでしたら、 丁度良い案件がございます──」

〇貴族の応接間
レイヴィダス「・・・鬼人族の領地で 魔獣の異常行動だと?」
ストラスール「普段はおとなしい魔獣が、突然牙を剥いて襲いかかってくる事例が急増しているそうです」
ストラスール「刀威殿が、視察に来いと要請してきました」
レイヴィダス「え〜、めんどくさい」
ストラスール「レイヴィダス様」
クロエ「あの、トウイさんとは?」
レイヴィダス「額に角を持つ、亜人型の魔族── 鬼人族の長です」
クロエ「額に角・・・鬼のことですか?」
レイヴィダス「ご存知でしたか。もしや先生の 世界にも鬼人族がいたのですか?」
クロエ「いた、と言っていいのかどうか・・・」
クロエ「でも、姿形は分かります」
クロエ「虎のパンツをはいているのよね?」
ストラスール「ええと・・・ 刀威殿の下着の柄までは分かりかねます」
クロエ(私が思っている鬼とは違うのかしら?)
クロエ「それで、その刀威さんという方のいる所で、問題が起こっているのですね」
ストラスール「はい。魔獣の異常行動など、 これまで聞いたことがありません」
ストラスール「クロエ様には、魔王代理としてレイヴィダス様とともに、鬼人領へ視察に行っていただきたいのです」
レイヴィダス「先生も? 危ないだろう!」
ストラスール「どちらかというと危ないのは スライム以下のレイヴィダス様の方です」
レイヴィダス「うっ」
ストラスール「アルフォルを付けますし、 刀威殿もいるのですから大丈夫でしょう」
ストラスール「マンガの参考になるかは 分かりませんが・・・」
ストラスール「取材旅行を兼ねて、 鬼人領へ行ってみてはいただけませんか?」
レイヴィダス「取材旅行だと!?」
レイヴィダス「ぜひ行きましょう、先生!!」
クロエ「ええ。分かりました」
クロエ(鬼人領・・・ どんな所なのかしら)

次のエピソード:P8・鬼人領です!

コメント

  • 般若心経詠唱、新しくて笑いました😂
    続きをせがみまくる姿が小学生過ぎて、本当に重役なんかなこの魔族…って思いながら眺めてました🤣🤣

  • 般若心経でちゃんと魔法が発動しないところがいいですね。そして緊張感とかではなく、次どんなところに行くのかな?というワクワクを使った引きもいいですね。

  • スライム以下のレイさん、今や、ただの編集者さんですね❣️彼が元の魔王様に戻れる日は来るのでしょうか‥😅💧あと、蛇ィカッコイイ❤️😆

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