密室のエレベーター内で育まれるものとは?

濱村梵

エピソード1(脚本)

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濱村梵

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〇エレベーターの中
山下(『誰かにとっての希望は誰かにとっての絶望』)
山下(どこで聞いた言葉だっただろうか)
山下(もしかしたら今の状況はそれに当てはまるのかもしれない)
雪野「・・・・・・」
山下(ど、どうしてこうなった・・・)

〇渋谷マークシティ
  10分前──
山下「ふんふふふ~ん♪」
  俺の名前は山下幸輝。健康優良な高校1年生
  今日はお気に入りの漫画を購入しに、大きな書店のある街まで足を延ばしていた
山下(今日は待ちに待った『渡る異世界はオークばかり』の新刊発売日!)
山下(2年ぶりの新刊だしめちゃ楽しみ!!)

〇エレベーターの中
山下(っと、書店コーナーは6階だな)
雪野「すいませーん!乗ります!!」
山下「あっ、はい!」
  女性が駆け込む姿を見て、僕は慌てて「開く」ボタンを押した
雪野「はあ、はあ・・・」
雪野「えっ?」
山下「あっ・・・」
  その少女の顔には見覚えがあった
山下「雪野、さん?」
  クラスメイトの『雪野薫』さん
  同じ1年生でありながら、学内1の美少女と名高く、我が学園の『女神』と称される存在だ。
  ただ・・・
山下「こ、こんなとこで会うなんて奇遇だね」
雪野「・・・」
山下「えと・・・」
雪野「・・・」
山下(他の人とは普通に話すのに、俺に対してはどこか距離を取っているというか・・・)
山下(あんま考えたくないけど、もしかして俺嫌われてる?)
  相手に嫌われてると思うと、こっちも嫌になってくるのはなぜだろうか
山下(あー、気まずい。早く着かないかな・・・)
  すると──
  突然の停電が起こった
山下「うわわわわ!?」
雪野「きゃあああっ!?」
山下「い、いてて・・・。大丈夫?」
山下「って、うわあ!」
山下(こ、この柔らかい感触は・・・)
雪野「きゃ、きゃあああぁっ!?」
雪野「ど、どさくさ紛れにどこ触ってるの!」
山下「うう、わざとじゃないんだ・・・」
雪野「まったく・・・って、え?」
山下「ど、どした?」
雪野「エレベーター止まってる・・・」
山下「は・・・?」

〇エレベーターの中
  それから外部と連絡を取り助けを呼んだものの
  復旧するのは速くても1時間ほど後になってしまうらしい
山下(『美少女と二人きり』なんて、本来なら天国みたいなシチュエーションなんだろうけど・・・)
山下「はは、ほんと困っちゃったな・・・」
雪野「・・・」
山下(この状況で無視はやめてよ・・・)
  さっきの不可抗力もあってか、いつも以上にATフィールドを展開されてしまっているようだ
山下(なんとかして会話の糸口をつかまなければ・・・)
山下「ん?」
  彼女の鞄についているのは、超有名な阪神の外国人選手のキーホルダーだった
山下「あ、そのキーホルダー・・・」
雪野「え?これ?」
山下「もしかして、バースじゃない!?」
山下「うちのじいちゃんが阪神好きだったからさ、その影響で良く野球見てたんだよね」
山下「最近野球殿堂入りもしたし、凄いよねバース!ランディバース!!」
山下「いやあバースって名前もいいよねえ、あはは!!」
山下(よし、野球関係のトークならきっと会話が弾むはずだ・・・!)
山下(勝った!第三部・完!!!)
雪野「いや・・・、これオマリーだけど」
山下「え?」
雪野「確かにバースは阪神の助っ人としてはバックスクリーン三連発のイメージもあって有名だけど、オマリーも・・・」
雪野「あ、脱線するけどオマリーが日本語で『六甲おろし』歌ってるCDがあって」
雪野「このバージョンの六甲おろしを星野源がおススメしてたんだけど・・・(オタク特有の早口)」
山下(ヤバい!変なスイッチ入れちゃった!!)
  15分後──
山下「間違えてごめんなさい・・・」
雪野「わかってくれたなら、うん」
山下(ひ、ひどい目に遭った・・・)
雪野「・・・そういえば山下くんさ」
雪野「中学の時に野球部だったよね」
山下「な、何で知ってるの?」
雪野「その・・・あたし、雨野君がグラウンドで練習してるの、実は見てたんだ」
山下「えっ?」
雪野「人1倍大きな声出しててさ、凄いなって」
山下「あ、あはは。まあ後輩にポジション取られて、ほとんど控えだったけどね」
山下「声出すくらいしか取り得なかったし」
雪野「でも自分に出番がない中でも、腐らずに周りを励ますのって凄いことだよ」
山下「そ、そう?」
雪野「うん、凄いと思う。あたしはその姿見た時に、その・・・」
山下「・・・え?」
雪野「あっ、ごめん、何でもない!なんか恥ずかしいこと言っちゃったね・・・」
雪野「今まで何度かこの話しようかなって思ってたんだけど」
雪野「山下君の顔見るたびに変に意気込んじゃって・・・」
山下「そ、そうだったんだ・・・」
山下(なんだ。嫌われてたのかと思ってたけどそんなことなかったんだな)
雪野「ごめんね急に変なこと言って。あはは、ちょっと熱くなってきちゃった」
  そう言うと、雪野さんは鞄からペットボトルを取り出しごくごくと飲みだす
山下(雪野さん、結構いいひとかも・・・なんて)
  30分後──
山下「はあ、まだ助けが来ないか・・・、ん?」
山下「雪野さん、なんか顔青くない?」
雪野「いや、その、さっきたくさんお茶飲んだせいで」
山下「もしかして、トイレ行きたい的な?」
  こちらの問いかけに、彼女は小さく頷く
山下「な、なるほど・・・」
山下「ちなみにだけど、その・・・パーセントでいうと何パーセントくらい?」
雪野「きゅ・・・」
雪野「90ぱー・・・」
山下「ええええっ!!結構ヤバいじゃん!!」
雪野「ちょっ、ちょっと!!!揺らさないで響くから!!」
山下「あ、あー、ごめん」
山下(な、何か妙案は無いものか・・・)
山下「あっ!」
山下「さっきのペットボトルにするのは?」
雪野「ぜ、絶対いや!!!!!!」
雪野「ていうか山下君、あたしがしてるとこ見るじゃん!聞くじゃん!」
山下「ええ・・・。でもヤバいんでしょ?」
  ためらうような表情を浮かべながらも、雪野さんは頷く
山下「あっ、じゃあさ・・・!」
山下「二人でするってのはどう?俺も空のペットボトルあるし」
雪野「はあ!?」
山下「い、いや二人ですれば恥ずかしさも混ざりあうっていうか」
山下(って、どんな変態プレイだよ・・・)
  そうして雪野さんは抵抗する様子を見せたものの、やはり限界らしく──
雪野「ぜ、絶対にこっち見ないでよ!!」
雪野「見たら訴えたうえに殺すから!!」
山下「わ、わかったから・・・」
山下「それじゃいくよ!せーの!」
山下(俺以外の人間が尿をしている音が聞こえる・・・)
山下(ああ、男と女でこうも音が違うもんなんだな・・・)
  この日の体験を通じて、俺の中に新たな『性』が目覚めていくのだった・・・

〇渋谷マークシティ
  それから10分後、俺たちはなんとか社会的な犠牲を払うことなく、エレベーターから脱出することが出来た
山下「いやー、なんとか無事脱出出来てよかった・・・」
山下「って、雪野さん?」
雪野「きょ・・・」
雪野「今日のことは他の人には絶対言わないでね!」
雪野「二人だけの秘密だから!」
山下「二人だけの秘密、か・・・」
  『希望という感情は絶望の後にしか現れない』
  遠ざかっていく雪野さんの背中を見つめながら、俺はそんな言葉を思い出していた・・・
山下「なんかちょっと、エロいな・・・」

コメント

  • 「同じ釜の飯を食った仲」と言いますが、「同じ箱で用を足した仲」のほうが最強なんじゃないでしょうか。二人ともオタクだけど心根は良い人で、二人だけの秘密もできたし、これからの展開は期待大ですね。

  • 『渡る異世界はオークばかり』や「勝った!第3部完!」などの小ネタに笑いっぱなしでしたが、それを吹き飛ばす展開に衝撃です!山下くん、今後の趣味性癖が無事であることを心から願いますww

  • トイレに行けない状況の時ほどトイレに行きたくなりますよね😱
    エレベーターが壊れたシチュエーションに出会ったことはないですが、想像しただけでちょっと恐ろしいです😂
    尿意も困るけど腹痛なんて起きようもんなら…😱

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