将星堕つ(脚本)
〇黒背景
「目をお開け下さい!」
「貴方が居なくなったらこの国はどうすればよいのですか!」
「死なないでください、丞相!」
リャオル「・・・」
リャオル「ここは・・・?」
リャオル「そうか」
リャオル「私は死んだのか」
リャオル「志半ばで力尽きるとは、わが身の不甲斐なさが口惜しい」
リャオル「民は私を決して許すまい」
リャオル「天よ!恨みますぞ」
リャオル「何故こうも早く,我が天命尽きたのですか?」
リャオル「私はまだ何も成し遂げてはいません」
リャオル「いたずらに国を危険にさらし、民を安んずることも叶わず」
リャオル「国を築いた先人たちに顔向けできません」
シャウ「リャオル様」
リャオル「シャウか!?」
シャウ「お久しゅうございます」
リャオル「ああ・・・」
リャオル「来ないでくれ!」
シャウ「丞相?」
リャオル「私は自分の無能さ故、多くの兵の命を失った」
リャオル「お前たちに合わせる顔などあろうか」
シャウ「何を言われるのです」
シャウ「貴方の深謀遠慮のおかけで国は幾度となく救われました」
シャウ「丞相のご功績は万人が知るところ」
リャオル「やめるのだ、シャウ」
リャオル「私は自分が許せない」
リャオル「おめおめと一人生き残り、最期まで国を安んずることができなかった」
ヨーコ「その通りだ!」
リャオル「ヨーコ!」
ヨーコ「お前には才がある、それは認める」
ヨーコ「だが、天下は今もって乱れたままだ」
リャオル「すまぬ、全てはこのリャオルの不明ゆえ」
ヨーコ「ふふ」
ヨーコ「相変わらずクソ真面目な奴だのう、丞相」
リャオル「ヨーコ!?」
ヨーコ「お前は身をとして国に尽くしてきたではないか」
ヨーコ「お前だったからここまで来られた、そうは思えんのか?」
リャオル「・・・」
ヨーコ「今日は久しぶりに思い切り飲もうぞ!」
リャオル「ヨーコ・・・」
ユンヒ「久しいのう、丞相」
リャオル「ユンヒ!」
ユンヒ「この際だ、率直に申し上げるがよいか?」
リャオル「かまわぬ、聞こう」
ユンヒ「私は口が達者な腐れ儒者など元から信用しておらん」
ユンヒ「普段は偉そうなことを言っていても、いざ戦になると真っ先に逃げ出すからだ」
リャオル「まさに私自身である」
ユンヒ「ちがう、そんな輩は私の国には一人もおらん」
ユンヒ「私とヨーコが痛めつけて追い出したからな」
リャオル「ユンヒ・・・」
ユンヒ「お前は生きて国を守り続けた」
ユンヒ「それでも無力を嘆くなら、先に死んだ我らこそ誰に顔向けできよう」
ユンヒ「気にするな、リャオル」
リャオル「私は・・・」
リャオル「それでも、やはり自分が許せない」
シャウ「参りましょう」
リャオル「シャウ?どこへ行くのだ」
リャオル「この先はもう黄泉の国か?」
シャウ「いいえ、あの方がお待ちです」
リャオル「まさか!?」
シャウ「さぁ」
リャオル「あ、あ・・・」
国王「リャオル」
リャオル「王様!」
リャオル「国を託された身でありながら」
リャオル「私は・・・」
リャオル「くっ、う・・・」
国王「何も言わずとも良い」
国王「リャオルよ」
国王「大儀であった」
リャオル「王様ぁぁぁ!!」
国王「苦労をかけたな」
国王「我らは新しい時代の礎」
国王「この先はもはや後の者に託す他あるまい?」
ヨーコ「そうだぞ、とにかくまずは酒だ酒!」
ユンヒ「こらヨーコ!無理させてはならんぞ」
シャウ「さぁ丞相、もうお立ち下さい」
ヨーコ「酒にむかえばまさに歌うべし!」
ユンヒ「人生幾何ぞ!」
リャオル「・・・何を以ってか憂いを解かん」
リャオル「ただ杜康あるのみ・・・」
まさしく!!
さぁ、皆飲もう!!
こんなゲームかアニメを見たいですね!!
作者の教養が溢れ出て、漢語調のセリフがかっこよかったです😆
具体的な戦場シーンはなくとも、盟友たちがそれぞれ声をかけてくれて、なんだか熱いものを感じて ジーンときました👍
背景がないのが逆にとても印象的でした。ワンシーンの短い話ですが、みんなのひと言ひと言がとても心に残る場面でした。
あの世に先に逝ったメンバー全員がこぞってリャオルの功績を称え、ねぎらいの言葉をかけていたので、もしかしてこれは今際の際の0.1秒くらいの間にリャオルが見た、そうであってほしいとの願いが凝縮された夢なのでは?もしそうなら切ないけどドラマチックだなあ、と勝手に思って読んでみました。