架空の犬に人生狂わされる女

薊未ヨクト

読切(脚本)

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〇ファストフード店の席
あかり「・・・わんちゃん」
きこ「ん?」
あかり「「ワンチャンあるかも」ってときの 「ワンチャン」ってさ」
きこ「うん」
あかり「ポメラニアンだよね」
きこ「は?」
あかり「だからさ、ワンチャンって聞いたらさ、 頭の中にまずワンちゃん出てくんじゃん?」
きこ「こないね。イントネーション違うし」
あかり「くるの」
きこ「それで?」
あかり「ウチは絶対ポメラニアンなんだけどさ、 他の人は違うのかなって」
きこ「まずあたし猫派だし」
あかり「裏切り者」
きこ「ひどくね?」
あかり「でさ、そのポメちゃんがさ」
きこ「続けるんだ」
あかり「いっつも「遊んで〜!」って寄ってくんの」
きこ「うん」
あかり「でもポメちゃんは ウチの頭の中から出れないじゃん?」
きこ「まず存在してないからね」
あかり「で、思ったわけ」
きこ「なにを?」
あかり「ポメちゃんのために、 ウチ脳外科医になるっ!」
きこ「あーね。超応援してる」
あかり「あんがと」
もえみ「ごめん遅れたー」
あかり「もえみおそーい」
きこ「おつー」
もえみ「何の話?」
きこ「あかり、医者になんだって」
もえみ「医者? すっご」
あかり「ポメちゃんと遊ぶんだー」
もえみ「獣医?」
あかり「脳外科医」
もえみ「なんで? 頭大丈夫?」
きこ「大丈夫じゃないね」
あかり「大丈夫だし!」
もえみ「あっ、てかさっき 丁度なんかもらったんだよね」
  ガサガサ
もえみ「里親募集? だってー」
きこ「おー。結構立派な芝犬だこと」
あかり「かわいい〜!」
きこ「やっと現実の犬に興味もったか」
あかり「ポメちゃんもいるもん!」
もえみ「イマジナリードッグ・・・?」
きこ「あー、それだわ。知らんけど」
あかり「どういうこと?」
きこ「バカには関係ない話」
あかり「バカじゃないし!」
きこ「でもせっかくなら子犬から育てたいかなー」
もえみ「まあねー」
あかり「じゃあタイムマシン作って会いに行く!」
きこ「完成したときはヨボヨボだろうねー」
あかり「じゃあ筋トレする! プロテイン持ってダンベル爆食いする!」
きこ「おけ。動画とっとくわ」
???「散歩するなら足腰じゃないですか?」
あかり「じゃあめっちゃ走る!」
「・・・」
きこ「誰? 知り合い?」
あかり「ううん」
ネコチャン「ああ、きこさんにもえみさん。 ご無沙汰しております、ネコチャンです」
きこ「お、おう・・・?」
もえみ「こんな知り合いいたっけ・・・?」
ネコチャン「これから知り合うんですよ」
きこ「え、なに、ナンパ? キモ。 警察呼ぶ?」
ネコチャン「ちょっと今それどころじゃないんですよね~。じゃ、緊急事態なんで博士借りていきますね」
あかり「わっ!?」
きこ「あかり!? ちょっとあんた!」
あかり「やだー! 放してー!」
ネコチャン「博士。ポメちゃんに会いたくないですか?」
あかり「え・・・?」
きこ「あかり? あんたまさかこんな怪しい奴に・・・」
あかり「ついてく!」
きこ「はぁ!?」
あかり「きこ、もえみ、ごめん! ちょっとポメちゃんとこ行ってくる!」
きこ「は? ちょ、バカじゃないの!? あかり! あかり!!」
  彼女たちはまだ知らない。架空の犬に人生を捧げた天才科学者の偉業を。
  そしてたった今、
  彼女の運命が動き始めたことを。

コメント

  • 昨日はありがとうございました!!
    短い中に破天荒な展開で凄いですね!
    漫才からSF不条理へ、という感じです😮
    あかりのボケ発言に突っ込むより、さらっと流すところに友情を感じますww
    話全体が実はあかりの妄想かもしれない…
    そして読んでる我々も、実はあかりが創った妄想であかりの中で生きているのかもしれない…
    そしてあかりは、実は脳手術を既にされているのかも知れない…と、恐ろしくなりましたww

  • ワンちゃんから頭の中の犬、イマジナリードッグ、頭に残るワードが沢山で面白いです!
    バカと天才は紙一重といいますが、彼女がどんな風に天才科学者になるのか続きが気になります🌟

  • 「ワンチャン」と「ワンちゃん」から、まさかここまでお話が広がっていくとは……しかもまさかのSFオチ!?楽しすぎますねー!

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