RiversideBaron~最終章~

山本律磨

事変の序曲(2)(脚本)

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山本律磨

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〇荒廃した教会
  『帝都大震災復興計画』
  『政府はこれを、新たなる臣民統制に利用しようとしています』
桜子「私が貧民窟へ下り、階級の末端層と友好を深める目的は、決して叛乱の扇動ではありません」
桜子「しかしながら・・・」
  美し黒髪輝くティアラ~♪
臣民「・・・!」
桜子「・・・」
桜子「しかしながら国家統制の名のもとに踏みつけられる彼らの貧困を、悲しみを、怒りを目の当たりにした時、私は衝動に駆られました」
桜子「皆と共に怒ろう!皆と共に泣こう!皆と共に戦おうと!」
  どうか夕日が落ちぬ間に~♪
臣民「・・・!」
桜子「・・・」
桜子「本日、この蓬莱街にお集まりの臣民の皆様」
桜子「この蓬莱街こそが帝都の未来の姿!皆様が奇異の目で眺める貧民達こそ明日の皆様の姿!」
桜子「ゆえに彼らと、いえ、私達と一緒に戦わねばなりません!真の平等を!真の平穏を!真の幸福を掴むために!」
  この恋続けとルルル願いましょう~♪
臣民「・・・!」
桜子「・・・」
デンキ「ま、まあ気を落とさないでよ」
トラ「そうだ。大衆のお力なんざ、ハナから期待しちゃいねえよ」
トラ「俺達の本気を見せつけてやりゃあちっとは世間様も目を覚ますだろ」
  私の想いを伝えるティアラ~♪
デンキ「ちょ、ちょっと様子を見て来るね」
トラ「お、おい!」
桜子「いいんです」
桜子「傷ついた人々に必要なのは喜びです。教育でも説教でもありません」
桜子「私にヒナさんや松音未来子さんほどの華があればよかったのですけどね」
トラ「そんなこと・・・」
桜子「所詮は鬼の憲兵司令の娘か・・・」
トラ「・・・」
「大丈夫」
根室「君は君のまま、ひたむきであればいい」
根室「全て順当に動いている」
  この夢続けとラララ願いましょう~♪
根室「順当にね・・・」

〇廃倉庫
ヒナ「さあさあ、蓬莱街にお集まりの紳士淑女の皆様!」
ヒナ「今や下町一帯が瓦礫だらけでここと一緒!いわばみんなオイラ達と同類!」
ヒナ「そんな皆様に廃屋暮らしの先輩として一言」
ヒナ「ざまあみろだぜい!」
ヒナ「そしてもうひとつ。絶望慣れした貧民少女からアドバイスをば」
ヒナ「苦しい時には歌うに限る!踊るに限る!」
ヒナ「泣きながら歌う!怒りながら踊る!そうすりゃ疲れて眠れてまた笑える!」
ヒナ「とはいっても、いきなりそんなこと恥ずかしいわ~んという奥様!」
臣民「・・・!」
ヒナ「騙されたと思って今度のバロン一座の公演を見にいらっしゃい」
ヒナ「騙されるから」
ヒナ「そう!気持ちよく騙してやるぜ!」
ヒナ「てなわけで、バロン一座最新公演『シン・桃太郎伝説』主人公桃姫の登場でえ!」
ヒナ「演じるは帰って来た歌姫!松音未来子!」
義孝「いいのか?主役を奪われてしまって」
義孝「役変え、人と鬼の混血戦士と来たか」
ヒナ「ふん。台詞覚えたり歌うたったりする手間が省けて好都合だぜ」
ヒナ「オイラは踊れりゃそれでいいさ」
ヒナ「てめえこそきっちり稽古しな。鬼の大将役なら『素』でやれるだろ」
義孝「まあ確かに鬼呼ばわりは慣れている」
ヒナ「キラーンじゃねーよ。爽やかに言うことか」
燕「震災で傷ついた帝都に希望をあたえる為、瓦礫の中から甦る国民的歌姫」
燕「その奇跡を僕が演出する」
燕「今こそ、根室を越えてやる」
燕「真の革命家が紛い物を越える時だ」
燕「そうだろう?未来子・・・」
ダリア「・・・」
燕「な、なんだその目は。僕と未来子はあくまでも同じ志を持つ・・・」
ダリア「同志、でしょ」
ダリア「ただれた関係を正当化する穢れた言葉ね」
燕「クッ・・・志の低い女め」
燕「妙な嫉妬をする暇があったら、芸能芸術を極める努力をしろ!」
燕「今こそ世に知らしめてやる。僕の作品を。僕の存在を」
ケン「よってらっしゃい見てらっしゃい!」
クラムぼんぼん「バロン一座の公演は一週間後だよ~!」
マネ玄人「美少女桃太郎こと桃姫が、暴れ回る鬼たちを退治する痛快娯楽活劇だ!」
ゴザエモン「絶対見てくれよな!」
最上「・・・」
戒厳警備兵「よいのですか?かような連中に好き勝手をさせておいて」
戒厳警備兵「天粕司令に知れたら職務怠慢と思われかねませんよ」
最上「構わん。司令も承知の上だ」
戒厳警備兵「・・・まことですか?」
最上「全ては司令の想定内、指示通りである」
最上(そう・・・『ただひとつ』を除いて)
  つづく

次のエピソード:事変の序曲(3)

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