〇見晴らしのいい公園
古分 調（しらべ）「ついに、私はこの地に降り立った！ 岡吉古墳公園！」
古分 調（しらべ）「う〜ん」
古分 調（しらべ）「そそり立つ〜〜〜〜！！︎」
只津 こみ「そ、そそり立つ!?」
只津 こみ（そそり立つって、ナニが!?）
古分 調（しらべ）「ん？　どうしたの、こみちゃん」
只津 こみ「どうしたのはこっちだよ！」
只津 こみ「学校行事だよ、公衆の面前だよ！ ワードチョイスして！」
古分 調（しらべ）「こみちゃんは、そそり立たないの？」
只津 こみ「ないよ！　そもそも そそり立つものがないよ！」
古分 調（しらべ）「それは大変！」
只津 こみ「いや、なんで!?」
古分 調（しらべ）「じゃあ、こみちゃんが そそり立つように」
古分 調（しらべ）「古墳の素晴らしさを教えてあげるわね」
只津 こみ「それはありがたいけど、一旦 そそり立つから離れよ？」
古分 調（しらべ）「まず、この岡吉古墳」
古分 調（しらべ）「言わずもがな、“前方後円墳”になるわ」
只津 こみ「それは知ってるけど」
古分 調（しらべ）「ああっ!!」
只津 こみ「ど、どうしたの!?」
古分 調（しらべ）「名前だけで興奮しそうだわ」
只津 こみ「どんな性癖!?」
古分 調（しらべ）「方墳、円墳、双円墳、前方後方墳、 いろんな古墳があるけれど──」
古分 調（しらべ）「やっぱり前方後円墳の響きが １番興奮するわ」
只津 こみ「わかったから、 調ちゃんの古墳知識を教えて？」
古分 調（しらべ）「え？　知識？」
古分 調（しらべ）「ないわよ」
只津 こみ「今までのやりとり何!?」
只津 こみ「素晴らしさって、 知識を教えてくれるんじゃないの!?」
古分 調（しらべ）「私は、まだまだ勉強中の身」
古分 調（しらべ）「万一、間違った知識を教えてしまっては 古墳に失礼だわ」
只津 こみ「一理ある！　一理あるけどー！」
古分 調（しらべ）「知識をつける前に、感じるの」
只津 こみ「感じる？」
古分 調（しらべ）「歴史、浪漫、名称の調べ、 それらを想うと──」
古分 調（しらべ）「おのずと、そそり立ってくるのよ！」
只津 こみ「だから、それー！」
古分 調（しらべ）「さっきから、こみちゃんは 何を言っているの？」
只津 こみ「いや、こっちのセリフだよ！」
古分 調（しらべ）「もしかして、そそり立つの意味が わからなかった？」
只津 こみ「えっ？」
古分 調（しらべ）「“心がウキウキする”って 意味なんだけど──」
古分 調（しらべ）「もしかして、 別の意味で考えちゃった？」
只津 こみ「や、やだなぁ〜 知ってたよ、もう〜！」
只津 こみ「そんなわけ、ないじゃん〜」
古分 調（しらべ）「そうよねぇ、まさか、こみちゃんが」
只津 こみ「そ、そうだよっ!!」
古分 調（しらべ）「うふふふ」
只津 こみ「あははは」
「うふふふ　　　　　　　　　　あははは」
　　あなたは、どっち──？