ツクモ戦記

竜谷 晟

エピソード26(脚本)

ツクモ戦記

竜谷 晟

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〇劇場の舞台
  パチパチパチパチ
ジェクト「いやー素晴らしい作品だったねー」
リオーネ(上映が終わった途端に 攻撃できる様にはなった)
リオーネ(けど──)
ジェクト「あははは、落ち着きなよ」
ジェクト「本題はここからだからさ」
リオーネ(こっちの攻撃が、”すり抜ける”)
リオーネ「本題?」
ジェクト「君の能力についてさ」
ジェクト「首、右手、右足、左手、左足」
ジェクト「それぞれに引っ付いている、 細く見にくい糸」
ジェクト「”その糸に触れた相手を 人形にして操作する”」
ジェクト「実に理不尽で強い能力だ」
ジェクト「だが、疑問が残る」
ジェクト「なぜ君にそんな能力が発現したのか」
ジェクト「君の過去から鑑みれば、 ”糸で敵を切り裂く能力”」
ジェクト「もしくはそれを怖がって ”糸で治療する” 能力が発現するのが自然だ」
ジェクト「だが、君にはそのどちらもない」
ジェクト(ふふ、ちょっと焦ってきたかな?)
ジェクト「ねぇ、君はもしかして、 操られる方ではなく操る方、つまり」
ジェクト「人間に、なりたかったんじゃないの?」
ジェクト(攻撃が、止まった!!)
ジェクト(いいなぁいいなぁ)
ジェクト(苦悩する顔は実にいい)
ジェクト「『母親役』を何度もやり続けて、 君は自分自身も人間になりたいと思ってしまった」
ジェクト「人形のくせに」
ジェクト「だから君は、”子供を殺せなかった”」
ジェクト「不特定多数の子供の母親であった君はね」
ジェクト「つまり────」
  ぷすっ
ジェクト「え?」
リオーネ「うん、やっぱりこういうことよね」
ジェクト「な、何やってんだ? 君は?」
ジェクト「は、はは  僕に攻撃が通じないからって、 床に攻撃したりして」
リオーネ「震えてるわよ、声」
リオーネ「あなたを攻撃してもまるで手応えが無かったのは」
リオーネ「”あなたに実体がないからね”」
リオーネ「そしてその能力と合わせて考え出せる あなたの正体は」
リオーネ「『映写機のツクモ神』」
リオーネ「てとこかなって思ったのだけど」
リオーネ「けどあなたは私がどんなに攻撃しても、 その姿が欠けたり暗くなったりしなかった」
リオーネ「光を遮るように ”いろんな角度からいっぱい攻撃してみたのに”」
ジェクト「!?」
リオーネ「その時、 上映前に疑問に思っていた事を思い出したの」
リオーネ「なんで、これほど厄介な敵が 『要注意リスト』 に載ってなかったのかって」
ジェクト「・・・・・・」
リオーネ「つまりあなたの正体は」
「”この劇場そのもの”でしょ」
ジェクト「う──ぁ」
リオーネ「道具型のツクモ神は『要注意リスト』 に乗らない」
ジェクト「なんで、トラウマを見せつけて、暴いて、 ほじくり返したのに」
ジェクト「そんな、冷静な判断が──」
リオーネ「トラウマ?」
ジェクト「そ、そうだろう! そのはずだ! ツクモ神が最も隠したがる部分だ!!」
リオーネ「知らないわよ、他のやつのことなんて」
リオーネ「そう、私は人間になる」
リオーネ「けどここじゃぁ”パーツが足りないの”」
リオーネ「だから、私は元の世界へ帰る」
リオーネ「だから──外徳に従うのよ」
ジェクト「あ、ま、まってくれ!!」
ジェクト「僕を殺せば、君の欲しがっている情報も手に入らなくなるよ!!」
リオーネ「いいわ、自分で探すから」
リオーネ「この注射器の中には 外徳の『慈愛』の能力の一部」
リオーネ「”死の呪い”が込められている」
ジェクト「やめ、やめ、  あ、やめ」
リオーネ「じゃあね」
  ゆっくりと、劇場に”死”が注ぎ込まれる
「やめ、やめ、やめ、やめ、やめ、やめ、」
「やめやめやめやめやめやめやめやめやめやめやめやめ」
「──────────や──────────」

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