わたしとワタシと私

ぽむ

エピソード1(脚本)

わたしとワタシと私

ぽむ

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〇殺風景な部屋
ワタシ06「・・・」
ワタシ06「はっ! ここはどこ!?」
ワタシ02「やっと目が覚めたようね。 アナタで最後みたい」
ワタシ06「アナタ・・・誰? ワタシにソックリ?」
ワタシ02「わたしも驚いてるわ。 まさか、そんなにソックリな人達がいるなんて」
ワタシ06「人たち?」
ワタシ04「ええ。 ワタシ達もいるわ。 周りを見て!」
ワタシ06「ワタシをいれて、全部で6人!? どうなってるの? それにこの部屋・・・」
ワタシ02「そう、見ての通り、 出入り口もないの。 ベッドだけ。 明かりもどこにあるのか・・・」
ワタシ01「とりあえず、私がスマホを持っていたから、明かり代わりにしているけど、いつまで持つかわからないわ、圏外だし」
ワタシ02「アナタが起きるのを待っていたの。 何故かアナタだけベッドで寝ているし」
ワタシ04「ベッド周りは調べてみたけど、何もなかったわ」
ワタシ05「どうして、 こんなところにいるのかしら・・・ 早く帰りたい・・・」
ワタシ02「泣かないで。 帰りたいのは皆、一緒でしょ。 それよりどうするかを決めないと・・・」
ワタシ03「だって なにもないんだもん・・・  もうダメかも・・・ えーん」
ワタシ06「と、とりあえず。 今どうなっているかを詳しく知りたいわ。 自己紹介してみない? あと、持ち物を全部出してみて」
ワタシ06「使えるものがあるかもしれないから・・・」
ワタシ02「そうね、 起きたばかりなのに心配もせず よく考えが回るわね。 なにか心当たりでもあるの?」
ワタシ06「ないけど・・・ もしアナタならどうする?」
ワタシ02「アナタが私なら 脱出ゲームは得意でしょ?」
ワタシ01「ゲームじゃ・・・なさそうですけどね・・・ 出られなければココで終わりでしょうから」
ワタシ03「えええええーん ヒックヒック 暗いし怖いよ〜」
ワタシ04「もう〜泣かないでよ。 ひとまず、自己紹介しよ!」
ワタシ04(話してないと こっちまで 怖くなっちゃうわ)
ワタシ06「じゃあ、言い出したワタシから。 ミズノカオリ、14才。 トキナゾ中学2年生、テニス部所属、 趣味はパズルと謎解き!」
ワタシ04「アラ私も同じよ」
ワタシ03「ウエエェェン ワタシも・・・カオリ」
ワタシ01「やはり皆、ワタシ、なのかしら・・・ そんなことあるの・・・?」
ワタシ04「わからない・・・けど なんとなく違うわよね。 雰囲気とか・・・」
ワタシ02「とりあえず皆、ワタシってことなのかしら。それだとわかりにくいわね。 仕方ないから、ナンバリングでニックネームつけるわ!」
ワタシ02「じゃあワタシ達で 01、02、03。」
ワタシ04「ワタシ達で 04、05、06ね。」
ワタシ02「そう、この部屋で 起きた順番にしてみたわ。 持ち物をみんなで出してみて! 使えるものがあるかもしれない」
ワタシ01「ワタシは学校に行く途中だったから、 カバンの中身が全部あるわ」
ワタシ01「筆記用具、教科書、ノート、スマホ、サニタリポーチ、下着も一応ある。 部活カバンとシューズと水筒とタオルとジャージ、お弁当」
ワタシ01「裁縫道具と洗面用具、マスク、消毒液、サポーター、テーピング、エアサロンパス、 テニスラケット。 いつもカバンいっぱい」
ワタシ06「ワタシはパジャマしか・・・ 裸足だし。」
ワタシ03「ワタシはファミレスで友達とゴハン食べてる最中だった・・・ 立ち上がったら記憶を失って・・・」
ワタシ03「身につけてたポシェットに ハンカチとティッシュ、 お財布くらい。 スマホはテーブルにおいてきちゃった・・・」
ワタシ03「なぜかドリンクバーのコップを待ってるわ・・・ ドリンク取りに行く途中だったのかな」
ワタシ06「だから靴下と靴は履いてるのね。 あと髪留めをしているじゃない? おしゃれするときだけ着けてるヤツ」
ワタシ03「そうね。 なにかに使えるかしら・・・」
ワタシ04「ワタシは部屋でスマホで 動画流し見ながら、宿題してた。 手に持ってたシャーペンと スマホだけ。 他は置いてきちゃったな」
ワタシ02「ワタシはスーパーで 母から頼まれた買い物をしている途中だったから、買い物カゴと中身。 なので少しだけ食べ物があるわ」
ワタシ02「トイペとお菓子とドリンクと・・・ 野菜とか」
ワタシ05「調理器具があればいいのに。 火がおこせなさそうだけど、 換気がどうなっているのか・・・」
ワタシ05「私は料理の手伝いをしていたわ。 野菜切ってたところだから、 包丁持ってる・・・」
ワタシ04「キャッ」
ワタシ05「ごめんごめん! 持ったままだったから」
ワタシ05「台所に立ってたからスリッパ履いてるし」
ワタシ04「ワタシは自分の部屋だったから 裸足だわ」
ワタシ06「んー なんか今日の一日の時系列みたい・・・」
ワタシ06「って最後まで過ごして 寝てたワタシが思うのだけどね」
ワタシ06「順番的には 01学校→03ファミレス→02買物→05食事→04宿題→06就寝 って感じかしら」
ワタシ02「じゃあ時間別のワタシ達って ことなのかしら? だとしてもなぜ集められたのか・・・ どうしたら出られるの?」
ワタシ06「さぁ? ワタシなんか寝てるだけだったし・・・なんだかわからないわ。 とにかく、明かりになるものを探さないと・・・」
ワタシ01「とりあえず、ワタシのを含めてスマホは2台。 ワタシのは、もうすぐ電池が切れるわ・・・」
ワタシ06「あれ?」
ワタシ02「どうしたの?」
ワタシ06「なんか背中が痛いなと思ったら・・・」
ワタシ06「あっ充電器じゃない? なんでこんなところに?」
ワタシ02「これを使えってことかしら・・・」
ワタシ06「ちょっとシーツ めくってみるわ!」
  バサッ
ワタシ02「板があるわね・・・外れそうだけど一人だと重すぎるわ。 誰か手伝ってくれる?」
ワタシ04「靴貸して。 私がやる!」
「せーの!」
  ゴトン!
ワタシ04「プハッ 動いたわ!」

〇暗い洞窟
  ヒュオオオア
ワタシ01「えっ怖! ベッドの下にこんな穴が!」
ワタシ05「ここを降りるしかないようだけど・・・ 部屋も暗いけど、穴の奥は本当に 真っ暗よね・・・」
  ヒュオオオア
ワタシ03「ウエエェェン 怖いよぅ〜 寒いよぅ〜」
ワタシ06「えーと、固くて少し重いもの ないかしら・・・」
ワタシ06「お気に入りのネコちゃんだけど。 これに裁縫用の糸をつけて・・・」
ワタシ06「これでいっか! えいっ」
  カランカラン・・・・・・コツン
ワタシ06「底があるわ! 深さは・・・ 糸を手繰り寄せて・・・」
ワタシ06「だいたい 10メートルくらいかしら。 ビルの3階分くらいね・・・」
ワタシ05「ダメだわ・・・ そんな怖すぎる・・・ もう無理よ・・・」
ワタシ03「ウエエェェン」
ワタシ06(03さん、05さん、 二人は悲観的すぎるわ。 もっと冷静に判断できるヒトは? 01さん、02さん・・・)
ワタシ06(01さん、02さんは冷静ね 制服の01さんの方が少し感情的だけど 02さんは 本当にクールで感情に左右されなさそう)
  バサッ
ワタシ06「シーツを繋げてロープがわりにならないでしょうか・・・」
ワタシ02「うーん、やってみる価値はあるかも。 とりあえずマフラーもあるけど、 もっと強くて硬いほうがいいわよね・・・」
ワタシ03「ウエエェェン ヒックヒック」
ワタシ02「しょうがないわね。 お菓子あげるから黙っててよ」
ワタシ03「えーん モグモグ」
ワタシ02(我ながらゲンキンだわ・・・)
ワタシ04「ワタシも手伝うわ!」
ワタシ06(04さんは、負けん気が強いわね)
ワタシ06(でも、それ全て ワタシってことなのよね? たぶん・・・ ワタシはどう思われているんだろう)
ワタシ04「よし、 このくらい縛って固くすれば 切れないと思うわ! ちょっと両側で引っ張ってみて!」
「うーん」
ワタシ02「大丈夫そうね」
ワタシ04「これをベッドにくくりつけて・・・ 誰から降ります?」
「えーん」
ワタシ06「この二人が心配だから間にして。 最初はワタシが行くわよ?」
ワタシ04「いえ、明かりが必要でしょ? スマホを持ってるから 最初はワタシが行くわ」
ワタシ01「じゃあ最後はワタシね。 荷物は最小限にしないと持てないよね? ワタシのバッグひとつ 誰かが持ってくれたらいいんだけど」
ワタシ04「ワタシひとつ持つよ! それより裸足の人は靴下だけでも 履いたほうがいいんじゃない?」
ワタシ06「あ・・・ でも裸足のほうが登り降りは楽かも・・・ 下についたら履くよ」
ワタシ06「荷物は最小限にしないと持てないわよね・・・」
ワタシ02「食料少しだけ減らしましょ。 まだあるから」
「わーい」
「モグモグ」
ワタシ06「本当にゲンキンよねぇ ワタシ・・・」
ワタシ02「ウフフフ」

〇暗い洞窟
ワタシ06「ヨイショッと!」
ワタシ01「何してるの?」
ワタシ06「念のため・・・」
  バサッ
  
  ヒュオオオアァァ
  
  
  トスッ
ワタシ06「布団を落としておいたの 万が一のクッションかわりに 気休めだけど」
ワタシ01「さっすが06ちゃん!」
ワタシ06「さすが? ワタシのこと・・・ どう思ってる?」
ワタシ01「どうって?」
ワタシ06「・・・なんでもない! さぁ行こう!」
ワタシ01「どうしたんだろ?」
  タッタッタッタッ
ワタシ04「一番!ワタシ04番! 穴の中へ!行きまーす!」
ワタシ06「気をつけてね・・・」
ワタシ01「一応、上からも照らしてあげよう・・・」
ワタシ02「ほんとうに、底は真っ暗だね・・・」
ワタシ03「怖いよぅ〜」
ワタシ02「ほら、頑張ろう? 次だよ?」
ワタシ03「おさきに、どうぞぉ〜」
ワタシ05「え〜 そちらこそ〜」
ワタシ02「もう・・・ じゃあ先に降りるわよ?」
ワタシ05「え〜 冷たい〜」
ワタシ03「えーん」
ワタシ01「やれやれ・・・」
ワタシ01「ワタシ最後だから 先に行っていいわよ! あの二人はなんとかするから。」
ワタシ06「うーん、じゃあ 下で受け止められるように 準備するわ!」
ワタシ01「わかった!頑張って!」

〇洞窟の深部
ワタシ04「もう〜あの二人はなんなのよ!」
ワタシ02「しょうがないじゃない。 ワタシ達と違って弱虫なんだから」
ワタシ04「いい加減にしてほしいわ!」
ワタシ02「アナタもそうやって すぐ怒るの悪い癖だわ」
ワタシ04「なんですって!なによ冷酷非道!」
ワタシ02「どうせ私は冷酷非道よ。 だから何!」
ワタシ06「こら!ワタシ同士で、 なに喧嘩してるの!?」
「アナタは、ひっこんでて!」
ワタシ06「ワタシも ワタシの仲間なんだから 無関係ってことはないのよ! ケンカはやめなさい!」
ワタシ04「だからこそ嫌なのよ! 同じ仲間だなんて! あの二人は! いっつもメソメソメソメソ」
ワタシ02「アナタこそ いつもイライライライラ」
ワタシ04「アナタなんか いつもツンツンしてるじゃない!」
ワタシ06「じゃあ、ワタシは?」
ワタシ04「えーと・・・」
ワタシ02「えーと・・・」
ワタシ06「答えられないの?」
ワタシ04「特徴がない・・・」
ワタシ06「特徴がない?」
ワタシ02「みんなのトータル的な・・・」
ワタシ06「トータル的な?」
「うーん・・・」
ワタシ06「もう〜 とりあえず、もういいから、 このお布団の端っこ引っ張って広げて 真ん中に立ってて!」
「はーい・・・」
  ヒュオオオア
  
  ドサッ
ワタシ03「え、えええええええーん 怖かったよぅ〜」
ワタシ06「間に合って良かった・・・」
  ヒュオオオア
  
  ドサッ
ワタシ05「あぶなっ」
ワタシ03「えーん」
ワタシ06「あとは01さんだけね・・・」
ワタシ01「ワタシは大丈夫〜 ちゃんと降りて来たよう♡」
ワタシ06「さっすが〜」
ワタシ01「でも電池が切れちゃって・・・ 充電器借りるわ それで周りの様子はどう? 出られる?」
ワタシ02「とりあえず奥に進んで 調べてみましょう」

〇薄暗い谷底
ワタシ06「あの岩の隙間に なんか入口みたいなのが、あるわ」
ワタシ05「え〜大丈夫なの〜?」
ワタシ04「ワタシ05は本当に心配性ね! 行ってみましょう!」

〇殺風景な部屋
ワタシ06「えっ!またベッドの部屋・・・」
ワタシ01「なんで?なんで? いま出てきたじゃない!」
  バタン
ワタシ02「しまった! また扉がなくなってる!」
ワタシ03「また閉じ込められた〜 ウエエェェン」
ワタシ05「やっぱりもう ダメだわ・・・」
ワタシ02「そうかもしれないわね」
「ウエエェェン」
ワタシ06「不安を煽るようなことは 言っちゃダメよ」
ワタシ02「別に本当のことを 言っただけですよ」
ワタシ06「もう・・・」
ワタシ04「どういうこと? 元に戻されたの?」
ワタシ06(なんだろう、なにかおかしい・・・)
ワタシ06「いえ、違うわ。 だってシーツが元に戻っているもの。 穴を脱出するときに、シーツは破いて使ったはずだもの?」
ワタシ04「じゃあ この部屋は、また別の部屋・・・」
ワタシ06「でしょうね。 なにか出るヒントはないのかしら・・・ 現在地もわからないし・・・」
ワタシ02「とりあえず 下層に降りてきたのは、確かよね」
ワタシ04「あら、ベッドの上に・・・」
ワタシ06「充電器・・・」
ワタシ04「スマホが必要ってこと?」
ワタシ03「ヒックヒック」
ワタシ03「これ・・・ 通り道に落ちてたよ。 よく見えなかったから踏んじゃったけど」
ワタシ06「なにこれ?」
ワタシ06「にじんで、よく読めないけど・・・ ・脱出のルール」
ワタシ04「脱出のルール!?」
ワタシ06「紙も古そうだし 前にココにいた人が メモで書いたのかもね・・・ 脱出できたのかしら・・・」
ワタシ04「読める?」
ワタシ06「えーと、 己の心に打ち勝ち 素直に従えば道はできる・・・ なんでしょうこれ・・・ 啓発かしら・・・」
ワタシ02「よくわかりませんがねぇ とりあえず一休みしましょうか。 特に危険が迫っている訳でもないので」
ワタシ06「そうね、疲れたわ」

〇殺風景な部屋
ワタシ06「・・・」
ワタシ01「06さん、寝てます?」
ワタシ06「どうしたの?01さん?」
ワタシ01「いえ・・・ 不思議なんです」
ワタシ06「不思議?」
ワタシ01「こんな状況なのに・・・ ワタシなんだか楽しいんです」
ワタシ06「はぁ・・・」
ワタシ01「なんだか、ワクワクしてしまうんです。 おかしいですよね?ワタシ・・・」
ワタシ01「どうしたんでしょうね・・・」
ワタシ06(そっか、01さんは楽観主義なんだ・・・ ポジティブというか)
ワタシ06「ワタシ・・・のこと、どう思います?」
ワタシ01「それ・・・前にも聞きましたよね。 気にしているんですか?」
ワタシ06「ええ、とっても。 ワタシはなんなんだろうって ここに来てから ずっと思ってました」
ワタシ06「ワタシの感情はヒトに左右されがちで、自分の感情を持っていないような気がして」
ワタシ06「他の01さんから05さんまでは なんとなく自分の感情を 持ってらっしゃる気がして。 私だけ「無」いような・・・」
ワタシ06「なんにもなくてカラッポのワタシは 周りからどう見えているんだろうなって」
ワタシ01「ウフフ ウフフフ」
ワタシ06「なにかおかしかったですか?」
ワタシ01「いえ、可愛いなぁって」
ワタシ01「すごく、可愛いですよ」
ワタシ06「どこがですか・・・」
ワタシ01「とても素直じゃないですか。 なかなか言えませんよ、 そんなこと」
ワタシ01「ヒトはジブンの心を隠しますから」
ワタシ01「それに、カラッポなのは 全てを吸収できることなのですよ?」
ワタシ06「そんなものなのですかね・・・」
ワタシ06「スヤァ・・・」

〇殺風景な部屋
ワタシ06「ん・・・おはよう」
ワタシ06「あれ?明かりがついてる!」
ワタシ05「おはようございます〜」
ワタシ01「なんかね〜 今朝から急に明かりがつくようになってて〜」
ワタシ02「はい、朝ごはん。 というものでもないけど」
ワタシ02「あるものだけどね」
ワタシ06「ありがとう」
ワタシ06「そういえば、 ワタシだけベッド使ってたけど 他の皆はどうしてたの?」
ワタシ01「大丈夫、ほら!」
ワタシ02「なんだか知らないけど、寝袋が支給されてたのさ。入り口もないのに。 誰かが監視してるのかなぁ・・・」
ワタシ04「それ、 ここに置いてあったんだよ。 ほらベッドの下に引き出し!」
ワタシ06「えっそこ開くの!?」
ワタシ04「なんか物資が、たくさん入ってるんだよ。 前にも人がいたのかなぁ・・・」
ワタシ02「変なの・・・まぁ私達は助かるけど」
ワタシ06「さっきの部屋にもあったのかなぁ・・・?」
ワタシ04「いいえ、なかったよ。 ベッドくまなく探したもん」
ワタシ06「じゃあ部屋によって違うってことなのかな。 じゃあ・・・」
ワタシ06「マジックで部屋に印をつけておこう。 そしたらまた来てもわかるから」
ワタシ02「ふーん」
ワタシ06「じゃあまた、シーツ下を見てみようか・・・」
ワタシ01「ないわね」
ワタシ02「ないですね。 ベッドが固定されてます」
ワタシ06「待って、動かせるかも」
  ギギギギギー
ワタシ02「まさかベッド全体が動いたわ」

〇洞窟の深部
ワタシ06「出られたわ」
ワタシ02「じゃあ支度してから 道の先を調べましょう」
ワタシ06「今度はちゃんとマップを 書きましょう」
ワタシ06「あと、印もつけながら進むの 迷わないように」
ワタシ02「わかりました」

〇殺風景な部屋
「じゃあ〜ワタシたち お留守番してるね〜 いってらっしゃーい」
ワタシ06「ええ、行ってきます」
ワタシ04「じゃあ二手に別れて探索しましょう。 あまり奥には行き過ぎないでね」
「わかったわ」
ワタシ06「ワタシたちもいきましょう」

〇洞窟の深部
ワタシ04「明かりは私が!」
ワタシ06「ありがとう助かる」
ワタシ04「そう言ってくれるのは06さんだけですよ。 ワタシは我慢ができないタチで、 すぐ怒って困らせてばかりで」
ワタシ06「そんなことないわ アナタは強くてカッコいいわよ! だって裏表なくてハッキリしてるもの ワタシは好きよ」
ワタシ04「えーそんな エヘヘありがとう」
ワタシ04(ワタシがワタシに褒められるなんて変な気分・・・ でも悪くないかも)
ワタシ04「ワタシ頑張るね!」
ワタシ06「うん!」

〇薄暗い谷底
ワタシ02「あぁ!また部屋の入り口がありますね。 入りますか?」
ワタシ01「ワタシは 面白そうなので 入ってみたいです〜」
ワタシ02「さすが01さんは好奇心が強いですねぇ まぁ試しに覗いてみますか」
  ギイイィィ
  バタン

〇殺風景な部屋
ワタシ06「ふぅただいま。 って、あれ?いない?」
ワタシ04「あの泣き虫二人組は どこか行っちゃったんですか!? 荷物もないし・・・ しょうがないなぁ〜」
ワタシ06「まだ探索隊も帰ってこないし・・・ 待ってましょうか?」
ワタシ04「ちょっと周りを見てきますね」
ワタシ06「わかったわ 少しだけ休んでるわね」
ワタシ04(目がさめたときに 食べるといいよ)
ワタシ06「ふう、すぐ疲れちゃうの。 困ったなァ」
ワタシ06「スヤァ」

〇殺風景な部屋
ワタシ06「・・・」
ワタシ06「みんな・・・帰ってこない・・・ どこに行ったの?」
ワタシ06「りんご・・・」
  シャクッ
ワタシ06「美味しい・・・」
ワタシ06「みんなを 探しに、いこう!」

〇洞窟の深部
ワタシ06「どこに行ってしまったんだろう・・・」
ワタシ06「これは!03さんの! じゃあこの先に!」

〇暗い洞窟
  ヒュオオオア
ワタシ06「この先に・・・いるの?」
  迷える子よ。
  
  ワタシの質問に答えるならば、
  ソナタの欲しい物を返そう。
ワタシ06「みんなを!返してください」
  ソナタに問う。
  喜びとは何だ?
ワタシ06「喜び? それは・・・01さんのような人。 全てを肯定できる人。 楽しさを享受できる人だわ」
  ソナタに問う。
  怒りとは何だ?
ワタシ06「それは04さんのような人。 ジブンの正義に従って悪いことを正そうとする人」
  ソナタに問う。
  悲しみとは何だ?
ワタシ06「03さんのような人。 感受性が豊かで、我慢しないで素直に涙を流せる人」
  ソナタに問う。
  恐れとは何だ?
ワタシ06「05さんのような すごく心配性で、未知のもの 全てを怖がり恐れる人」
  ソナタに問う。
  冷静さとは何か?
ワタシ06「02さんのような 何が起きても 物事に動じない人だわ」
  ソナタに問う。
  無とは、なんだ?
ワタシ06「カラッポのような、 ワタシのこと」
  ソナタに・・・
  
  全てを返そう・・・

〇電脳空間
  ココはワタシの作った世界・・・
ワタシ06「これは、 全てアナタの作った世界なのね?」
  そう、ワタシの世界・・・
  
  そしてアナタの世界・・・
  アナタが作り上げた世界
ワタシ06「ワタシはカラッポ・・・ だけど すべてのワタシが入ってきて 満たされる・・・」
  アナタは・・・カオリでしょ?
ワタシ06「ワタシ・・・ワタシは カオリ・・・ すべてのカオリ・・・」
  アナタはカオリ
  ワタシのカオリ
  
  そしてみんなのカオリ・・・
ワタシ06「みんなの・・・ カオリ・・・」

〇病室のベッド
ワタシ06「ワタシ・・・ ワタシは・・・」
ワタシ06「カオリ。」
ワタシ06「・・・ん?」
ワタシ06「ここは・・・」
お母さん「カオリ! 目覚めたのね!良かった・・・」
ワタシ06「え・・・どうしたのワタシ・・・」
お母さん「朝に起きてこないから お部屋に行ったら・・・ 意識がないんだもの。 お母さんビックリしちゃって」
お母さん「頭痛かったりしなかった?」
ワタシ06「うーん、あんまり覚えてない・・・」
ワタシ06(そういえば・・・ 時系列を追ったワタシ・・・ 頭が痛くて一瞬意識を失った時・・・ なのかもしれない)
お母さん「本当に良かったわ。 ゆっくり休んでね、 カオリちゃん」
ワタシ06「・・・」
ワタシ06「ワタシ・・・ ワタシは・・・」
  シャクッ
ワタシ06「・・・」
ワタシ06「ワタシはカオリ」

次のエピソード:英語 English ver.

コメント

  • お話の入りからまず驚きました。6人のワタシ、しかも同一人物のはずが性格が違う、ここからどんどんと興味をそそられました。6人の人格が統合されていくように物語も収斂されていく様がとてもスッとしました。とっても素敵な物語ですね!

  • ぽむさんの作品はどれもすごいですが、これは屈指の傑作ですね。無意識下における人格の分裂と統合に少女の心の成長まで絡めてここまで分かりやすくエンタメに昇華できている作品は滅多にありません。にゃむさんがおっしゃる通り、もっとたくさんの人たちに読んでほしいです。

  • ぽむさん、あなたは間違いなく世界一のクリエイタですよ!掛け値なく超第一級の才能ですよ!!描いて出版社に行ってください。この作品で救われる人がたくさんいます!!読んでて震えました!!心から応援します!!

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