21話「開戦」(脚本)
〇アジトの一室
目が覚めると同時に身体中の間接を伸ばすように軽いストレッチをする。
アレックス・ワトソン「・・・・・・」
肘を伸ばした瞬間、明らかにおかしな音が聞こえた。・・・気のせいだろと現実から目をそらして再びストレッチを再開する
アレックス・ワトソン「・・・」
アバドン・サルース「安心しろアレックス!骨は折れていない。 ただその身体はかなりガタがきてはいるようだ」
確かに忙し過ぎて忘れていたがもう今年で40歳を越えた。
今まで貯てきた筋トレや訓練の貯金は少しずつ確実に減っていくだろう
アレックス・ワトソン「・・・魔王は後どれくらいでここまで来る?」
アバドン・サルース「遅くて3日だ」
魔王に対する東軍の対策は進んではいるが確実にまにあわないだろう。
この世界には戦車も戦闘機もない。
魔王がどれだけの化け物かは知らないがサルースが言っていることが本当ならこの国は一日持たずして滅ぶだろう。
魔王に対抗できるただ一人を残して・・・
アレックス・ワトソン「・・・」
〇レンガ造りの家
アレックス・ワトソン「・・・」
こうしている内にも魔王はこの国に近付いてきている。
下手すれば明日──いや今日攻め混んでくるかもしれない。
その時が来たら俺は──
ミカ「アレックスさん!おはようございます!」
アレックス・ワトソン「おはよう。 待ってたのか?」
ミカ「はい! 昨日のお礼が言いたくて!良かったら通勤ご一緒してもいいですか?途中まで同じ道ですし」
アレックス・ワトソン「かまわないがいいのか? こんなおっさんで青春の1ページを埋めても」
ミカ「あなただから良いんです」
アレックス・ワトソン「・・・」
〇ヨーロッパの街並み
アレックス・ワトソン「明花の調子はどうだ?」
ミカ「だいぶ良くなってますね。来週には退院できそうですよ」
アレックス・ワトソン「そうか。 こんど退院祝いでも買っていくか」
ミカ「ところでアレックスさんって独身なんですよね?」
アレックス・ワトソン「‥まあそんなとこだな。仕事を優先しすぎてなきずいたら一人になってた」
ミカ「えーアレックスさんならいい人くらい居ると思うんですけど。あっほら石白さんとかお似合いだと思いますよ」
アレックス・ワトソン「ないな。 確かに美人だが俺にはもったいないだろ?」
ミカ「そんなこと無いと思いますけど?」
家族を置いて戦場に逃げ続けた俺には家族を持つ資格はない。
それに何より大切な者は目の前にいる。
ミカ「うーん、合うと思うんですけど。‥」
ミカ「じゃあ私はここで!」
アレックス・ワトソン「気を付けてな!」
ミカ「アレックスさんも!」
〇巨大な城門
東軍の騎士「おい!おい!なんだこりゃ!!」
東軍の騎士「嘘だろ・・・何でこんなに重力が不安定になってんだ?」
東軍の騎士「な!?お前は!?」
魔王「・・・・・・」
悲鳴すらあげることもなく人間は殺される。
まるでハエを叩き殺すように、蟻を踏んでもきずかぬように魔王は進む。
その先にある破滅を目指して──
〇兵舎
石白 星華「いよいよ来たようだね・・・クロがいない今、序列で行くとアレックスが長だ。指示をくれ!」
アレックス・ワトソン「・・・・行くぞ。奴を殺す」
石白 星華「やっと二年前の蹴りがつけられる。 背中は任せて!」