エピソード25(脚本)
〇西洋の街並み
?「どういうことですか?」
団長「言った通りだ、あの人形はもう使うな」
?「どうして、ですか?」
団長「危険だからだ」
団長「人形には触らないように注意はしてるが、 ソレでも人形を触りにくる子供はいる」
?「糸で、子供の手を傷つけるかもしれないってことですか?」
?「そんなの! 触るなって言われたのに 触る方が悪いじゃ無いですか」
団長「そうだ」
?「!!」
団長「だが私は、子供が傷つく可能性が少しでもあるならば、それを防がなくてはならない」
団長「何も捨てろとは言っていない」
団長「もう何年も使ってるんだ、 そろそろ休ませてやれ」
?「・・・・・・はい」
〇西洋の街並み
?「じゃあみんな、始めるよ」
?「第三演目は────」
〇巨大な城門
第三演目『裸の王様』
子供「王様は裸じゃないか!!」
シンデレラ「コラ! だめよそんなこと言っちゃ」
シンデレラ「ふ、ふふふふ」
赤ずきん(仮)「本当だ! やっぱり裸だ!」
国民「ワハハハハハ、裸だ裸だ」
国民「裸の王様だ!!」
〇西洋の街並み
団長「はーい、みんな楽しかったかい?」
団長「次の演目は────」
貴族の子供「そこまでです、人形劇師さん」
団長「おや、あなたは確かこの街の────」
貴族の子供「この街を収める領主の令嬢ですわ」
?「そんな人が、私たちに何の用ですか?」
貴族の子供「あはは、 立場のわかってない雌猫がいますわね」
?「雌っ!?」
貴族の子供「あなた方には、 『国家反逆』の疑いがかけられています」
貴族の子供「大人しく、お縄についてもらいますわ」
団長「は?」
貴族の子供「お前たち、捕えなさい!!」
「は!!」
?「ちょ、ちょっとやめてよ! 触らないで!」
団長「これは、困ったな」
貴族の子供「荷物もしっかり調べるのよ」
雑魚B「はっ!!」
?「! やめて、私のカバンに触らないで!!」
雑魚B「どけっ!!」
?「キャッ!!」
貴族の子供「ふふん、このカバンに何かあるようね」
?「やめて! そのカバンには!!」
貴族の子供「何これ、古い人形?」
?「触らないで」
貴族の子供「キャッ!?」
貴族の子供「い、痛い」
団長(突き飛ばされた拍子に、 人形の糸で指を傷つけた)
団長(恐れていた事が、こんな形で)
貴族の子供「っ、こんな人形!!」
パリン
?「あ、」
?「酷い、こんなの」
街の子供B「酷い、酷いよ」
街の子供A「人形劇、もうしないの?」
団長「ごめんね、 今日は人形たちが疲れちゃったみたいだ」
団長「お金は後で返すから、また明日きてね」
街の子供B「・・・・・・」
街の子供A「・・・・・・わかったわ 今日は帰りましょ」
街の子供B「うん・・・・・・帰ろっか」
団長「良かった、帰ってくれたみたいだね」
貴族の子供「明日? 明日も公演ができると思って?」
団長「出来ないとでも?」
雑魚A「がっ!!」
貴族の子供(え? 何今の、手刀の一撃? い、いや、そんな威力じゃ)
団長「うちの団員泣かせたんだ」
団長「相応の報いは受けてもらうぜ」
貴族の子供「あ、あなたには『国家反逆』の容疑が──」
団長「あぁ、それね、間違ってないよ」
団長「俺たちは元々”そういう連中”だし──」
貴族の子供「え?」
団長「だからこそ、更生させるためにこうやって穏やかに過ごしている訳だし」
貴族の子供「え? えぇ!?」
団長「そもそも俺たち、 この国の住人じゃなくいし」
団長「だから、 別にこの国の刑法にもとらわれない」
貴族の子供「あ、あ?」
貴族の子供「ヒッ!?」
団長「はは、寸止めだよ」
団長「子供には手をあげないよ」
?「私の人形──」
団長「ごめんね、守れなくて」
?「────!!」
団長「本当に、ごめん」