来年のクリスマスまでに絶対〇〇

らいら

来年のクリスマスまでに絶対〇〇(脚本)

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〇古いアパートの部屋
由乃葉「ふぅ・・・クリスマスか」
  2021年 12月24日 クリスマスイブ
灰色「昼間っから飲むにゃ〜!」
由乃葉「休みなんだからいいじゃん!!? 好きに過ごさせろ!」
灰色「なんの予定もないならなんで有給入れたのにゃ」
由乃葉「彼氏ができるはずだったんだよ あと単純にクリスマスに働きたくない」
灰色「せっかくお休み取ったなら、せめてどこかに出かけるとかしたらどうにゃ」
由乃葉「イルミネーションの街を1人で・・・・・・無理じゃん?」
灰色「あと、ダイエットしてるんじゃなかったのかにゃ」
由乃葉「ダイエットは終わったよ 中年太りを元に戻したけど、特に誰かに言い寄られる訳でもなかったし」
灰色「婚活サイトに登録してたのはどうなったのにゃ」
由乃葉「察して」
由乃葉「もはや彼氏はいらないから、クリスマスに彼氏と過ごしてる風の外面がほしい」
灰色「それならお金を払ってレンタル彼氏を雇うにゃ あるかは知らないけど絶対ありそうにゃ」
由乃葉「それは己の行いの虚しさに耐えられないからやめた」
灰色「ニンゲンめんどくさいにゃぁ」
由乃葉「はーーーあんたが呪いで猫になってて、実はイケメン25歳年収2000万円だったとかないの?」
灰色「ご主人、40歳なのに高望みすぎるにゃあ。せめてアラフォーを狙うにゃよ」
由乃葉「えぇ〜・・・」
灰色「今から来年に向けて頑張るにゃ!ご主人!」
灰色「もう次のクリスマスに向けた戦いは・・・始まっているのにゃ!」
由乃葉「いや、もういいよ。今頑張って付き合い始めてもクリスマスまで続く自信がない」
由乃葉「ちょうど10月くらいに付き合えればいいから、今頑張ってもしゃーない つまり今日はお菓子食べて寝る」
灰色「もうダメにゃ」

〇古いアパートの部屋
由乃葉「ふぅ またクリスマスか・・・」
  2022年 12月24日 クリスマスイブ
灰色「ご主人、また昼間からビールにゃ?」
由乃葉「禁酒してるよ 健康診断でちょっとね」
灰色「ところであれから1年経ったにゃ・・・」
灰色「彼氏のほうは・・・」
由乃葉「私わかったことがあるんだよね」
灰色「どうしたにゃ やぶからぼうに」
由乃葉「いまどき、クリスマスを彼氏と過ごしたいなんて、感覚が古かったなって」
灰色「まぁご主人は昭和生まれの人間にゃから、古いのはしょうがないにゃ」
由乃葉「うるさいよ」
由乃葉「でね、アップデートしていこうと思う」
由乃葉「彼女・・・というか、女の子と過ごす!」
灰色「いや、それどこが新しいにゃ 普通のクリスマスにゃ」
由乃葉「私にはクリスマスを一緒に過ごす女の子の友達もいない・・・」
灰色「ご主人 元気出すにゃ」
由乃葉「もうヤケ食いもできない ダイレクトに健康を害する」
灰色「僕がいるにゃ」
由乃葉「まぁ、そうだけど・・・」
由乃葉「でもあんたって」
灰色「ん?」
灰色「僕が・・・どうしたにゃ?」
由乃葉「いや、なんでもないよ」

〇ネオン街
灰色「にゃあ・・・」
灰色「ここは・・・?」
灰色「室内にいたはずにゃのに、どうしてこんなところにいるにゃ」
由乃葉「待った?」
灰色「どうなってるにゃぁ」
由乃葉「決まってるじゃん クリスマスなんだから、街に繰り出すんだよ!」
灰色「ロマンチックとは程遠い、電気街にゃぁ」
由乃葉「いいから行くよ」
灰色「待つにゃ〜」

〇古いアパートの部屋
由乃葉「・・・はぁ」
灰色「?」
灰色(夢だったのか・・・)
由乃葉「もはやなにも言葉が出てこない」
灰色「にゃぁ」
由乃葉「猫にアフレコしてずっと1人で喋るのも疲れたなぁ」
由乃葉「なんとか友達探そう」
灰色「・・・」

〇古いアパートの部屋
由乃葉「ただいま、灰色」
  2023年 12月24日 クリスマスイブ
灰色「にァー」
由乃葉「今年はちゃんとクリスマスに働いたよ」
灰色「にゃ」
由乃葉「一応、後輩の女の子を誘ってみたけど、先約があった」
灰色「にゃぁ」
由乃葉「でも、声かけただけでもエラいでしょ?」
灰色「にゃ」
由乃葉「ふう」
由乃葉「早く西暦3000年くらいにならないかな〜」
灰色「にゃ?」
由乃葉「そこまで行けば、まず【結婚制度】と【家族】が無くなってるでしょ」
由乃葉「未来の人たちは【性別】の概念も消えてて、寿命も200歳くらいになって」
由乃葉「世の中の仕事は全部AIがやって、人間には毎月100万円相当が配られて遊んで暮らせるはずだよ」
由乃葉「もう友達や恋人が同じ人間である必要もない」
由乃葉「そうだよ!完璧な外見に性格。理想のAIが側にいてくれるよ 未来は明るい!」
灰色「おいおい」
灰色「そんなSF小説みたいなことが仮にあっても そもそもご主人はその時代まで生きられないよ」
由乃葉「灰色・・・」
由乃葉「しゃべった・・・」
灰色「あっ」
由乃葉「あんたが話し相手だったらいいのにって思って、ずっと1人でアフレコで喋ってたけど」
由乃葉「まじで喋れたとは」
灰色「にゃぁ・・・」
灰色「ご主人がアホなこと言ってるから、ついつい人間語を喋ってしまった」
由乃葉「あはは!」

コメント

  • 叙述トリックだったとは…!
    どんどんだらけてくる主人公がいい味出してます。
    明日から頑張ろう…というスタンスが、身に覚えがありすぎて思わず笑ってしまいました。

  • 猫ちゃん現実的ですね。笑
    ツッコミも的確で、なかなかやるな!と思いました。
    クリスマスまでの目標がどんどん下がっていくのが、人間らしくておもしろかったです。

  • 一見せつない話ですが、灰色とのテンポのよいやり取りがそれを感じさせず、とても楽しいです。健康云々…年を追うごとに状況がリアルになっていくのも絶妙に面白いです。

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