ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.1 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #1(脚本)

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〇未来都市
  2040年 日本
  ──十数年前。
  僕らの街は、悪の企業に乗っ取られた。
  財政破綻し、くたびれた街にそびえたつ巨大で無機質な黒いビル。
  それが多国籍企業ZENITH(ゼニス)だ。

〇殺人現場
  彼らが利潤追求のみに邁進した結果、政治には不正が蔓延。
  治安は悪化。行政サービスは麻痺。
  この街にはもう希望はない。
  誰もが口をそろえてそう言っている。
  だが、それは違う。
  ・・・この街には、ヒーローがいる。

〇大きい研究施設
  0:36 ZENITH総合研究所

〇屋上のヘリポート
ナイトウォッチ「やぁみんな。ヒーローは好きかい?」
ナイトウォッチ「僕はナイトウォッチ。この街を護る・・・」
  僕の耳元で甲高い電子音が鳴り響いた。
  ヘルメットに装着されたAR(拡張現実)端末が起動し、僕の網膜に直接、少女の映像を投影する。
根須戸智是「おいこら! しゅーちゃんってば!」
ナイトウォッチ「おわ! ち、ちーちゃん」
根須戸智是「なにカッコつけて、ぼーっとして!」
ナイトウォッチ「えっと、思考入力アプリで、活動日誌でもって・・・」
根須戸智是「それ、今やること?」
ナイトウォッチ「ちーちゃんの準備が、まだっぽかったから・・・」
  ちーちゃんの周囲に、ぱぱぱっと半透明のウィンドウが展開する。
根須戸智是「とっくに完了。 研究所のセキュリティは、全部無効化済み」
根須戸智是「監視カメラには疑似映像噛ませてあるし、警備員の巡回もさっき終わったところ」
根須戸智是「侵入経路も、ほら」
  空中に研究所内の地図が表示された。
  目的地への赤い矢印が記されている。
根須戸智是「このナビに従って侵入すればメインコンピュータまで一直線」
根須戸智是「いつも通り楽勝」
ナイトウォッチ「わぁお。相変わらずのチート。 情報技術がウリのゼニスが赤子同然」
  と、ちーちゃんが何かに気がついた。
根須戸智是「あっ。しゅーちゃん、隠れて!」
ナイトウォッチ「なに、なに!?」
  反射的に、室外機の陰に身をかがめる。
ナイトウォッチ「・・・どうしたの?」
根須戸智是「あれよ。ゼニスの警備ドローン」
ナイトウォッチ「見張り?」
ナイトウォッチ「セキュリティはハッキングで黙らせたんじゃないの?」
根須戸智是「あのドローンはスタンドアローン。 ネットに繋がってないの」
根須戸智是「飛び回って、異常を感知したら大音量で警報を鳴らすだけ」
ナイトウォッチ「うーん。ローテク」
根須戸智是「一周回って厄介よね。 私たちへの対策だと思う」
根須戸智是「最近、かなり荒らし回ったから」
根須戸智是「・・・よし、行った。もういいよ」
  僕はすくっと立ちあがった。
ナイトウォッチ「で、ここからは僕の仕事と」
根須戸智是「よろしくね。 メインフレーム・コンピュータもスタンドアローンだから」
  ポケットからメモリスティックを取り出して確認する。
ナイトウォッチ「直接行って、こいつで情報を落とすしかない。と」
根須戸智是「ここは今までのゼニスの支部より、警戒レベルの高い施設だし」
根須戸智是「決定的な悪事の証拠、見つかると思うわ」
根須戸智是「頼んだわよ。 しゅーちゃ・・・ナイトウォッチ!」
ナイトウォッチ「あぁ! 神出鬼没のナイトウォッチの出番だ!」

  VILLPAIN/ORIGIN
  THE ELUSIVE
  NIGHT WATCH #1

〇コンピュータールーム
  メインコンピュータルーム
  ちーちゃんと僕は、メインコンピュータに差されたメモリスティックを見守っている。
  ・・・ランプが赤から緑に変わった。
根須戸智是「OK。全部ダウンロード完了」
ナイトウォッチ「ちーちゃんの言うとおり、楽勝だったね」
根須戸智是「ちょっと、油断しすぎじゃない?」
ナイトウォッチ「次の警備員の巡回予定まであと1分。 余裕だって。さっさと帰ろう」
根須戸智是「ちょっと待って。いま、安全確認を──」
ナイトウォッチ「いーから。ほら開けて」
根須戸智是「もう・・・はいはい。ただいま」
  電子音と共に、扉が開く。
  と、そこに何かが飛んでいた。
  ──さっきの警備ドローンだ。
根須戸智是「あっ」
ナイトウォッチ「げっ」
  ドローンは空中で停止。
  カメラで僕を凝視している。
ナイトウォッチ「・・・ハァイ。元気?」
  一瞬の沈黙の後。
  ヴィーッ! ヴィーッ!
  僕はドローンを蹴り飛ばす。
  ドローンは床に叩きつけられ、ひしゃげて転がる・・・が。
  ヴィーッ! ヴィーッ!
ナイトウォッチ「頑丈! 日本製かな!?」
根須戸智是「いつの時代の話? すぐ、警備員が来るよ!」
根須戸智是「来たルート戻って。そっちの方が安全!」
ナイトウォッチ「わぁい。安全第一!」

〇近未来の廊下
  僕は無機質な白い廊下をひた走る。
根須戸智是「しゅーちゃん、警備員が来るよ。 次の角で接触!」
根須戸智是「人数は3名! がんばって」
ナイトウォッチ「え。さっき、こっちのルートは安全って」
根須戸智是「2ケタ相手のほうがよかった?」
ナイトウォッチ「わぁお。安全だなぁっ!」
根須戸智是「ほら、来た!」
  廊下の向こうに、屈強な3名の黒人警備員が現れた。
  警備員たちは、一斉に拳銃を構える。
警備員「Freez!!」
ナイトウォッチ「うひゃあ! 助けてくださぁい!」
ナイトウォッチ「・・・なんてね。ちーちゃん!」
根須戸智是「サポート準備、とっくに完了!」
根須戸智是「なに遊んでるの。さっさとやっちゃって!」
  僕は拳を握り、構えをとった。
ナイトウォッチ「イエス、マム!」

次のエピソード:Ep.2 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #2

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