走れウマクビ(脚本)
〇競馬場の座席
まさとはずっと目が見えず
上手くしゃべることもできなかった
そんなまさとはお父さんと競馬場にきていた
お父さん「さあついたぞ! まさと!」
まさと「・・・」
お父さん「何番に賭けたい?」
まさと「(指をパーの形にした後 3本の指を立てた)」
お父さん「おお! 5-3か!」
まさと「(こくっ と首を縦に振った)」
お父さん「よし5-3か! まさとの言うとおりに賭けてみよう」
お父さんは馬券を買って来
レースがはじまった
実況者「さあ、ゲートイン完了!」
実況者「スタートしました!」
実況者「じゃっかん3番タップタップランは後方!」
実況者「10番ナツウララも後方!」
実況者「そして5番ウマクビは後方に下がっていきます!」
お父さん「5番ウマクビって名前なのか! 妙な名前だな」
まさと「・・・」
実況者「さあ先頭争いか? 内から7番ソクラテス!」
実況者「出ていって2馬身リード! 2番手は9番シャインマウンテン」
実況者「3番手13番レプテリアン! 1番ジェントルチューズデイ!」
実況者「コーナー曲がっていきます!」
実況者「先手うばったのはなんと7番ソクラテス!」
実況者「リードは2馬身、3馬身と取って2コーナーむかえます」
お父さん「ああ、あのソクラテスってやつが勝ちそうだな・・・」
まさと「・・・」
ウマクビ(そうはさせるもんか!)
まさと「!?」
ウマクビ(これで負けたら俺はもう終わりなんだ)
まさと(あの走っている馬の声?)
ウマクビ(そうだ お前が賭けたウマクビだ)
まさと(こんなのはじめてだ・・・)
まさと(これで負けたらどうなるの?)
ウマクビ(さあな 肉にでもされるんじゃね?)
まさと(お肉にされるの!?!?)
ウマクビ(わかんね だがこのままで終わるわけにはいかない)
ウマクビ(だから俺はいまから 他の馬にたいあたりする)
まさと(そんな!! そんなのやめたほうがいいよ!!!?)
ウマクビ(いちかばちかだ やるしかない)
ウマクビ(うおおおーーーー!!!!!!)
まさと(やめろーーーー!!!!!!!!!)
実況者「おーーと! 5番ウマクビぶつかっていく!」
ウマクビ(まだだあーー!!!!!!!)
まさと(ほんとにやめてよ!!!!!!!!)
実況者「5番ウマクビ さらに他の馬にもぶつかっていく!」
ウマクビ(あああああ!!!!!!!!!!)
実況者「おーーーと! ここで5番ウマクビ転倒!」
まさと(ウマクビ・・・)
観客「ふざけんなー! あのクソ馬が!」
まさと(え・・・)
観客「大事なレースの邪魔しやがって!!」
お父さん「そうだ!そうだ! ふざけやがって! あのポンコツめが!」
まさと(お父さんまで・・・)
観客「ころせー!」
観客「そうだ! ころせー!」
観客「いいぞ!いいぞ! ころしちまえ!!」
まさと「え・・・」
観客「ころせ♪ ころせ♪」
観客「ころせ♪ころせ♪」
お父さん「ころせ♪ころせ♪」
実況者「おーーーと! 場内では「ころせコール」でわき上がっております!!」
まさと(もう・・・ ここにいたくない・・・)
実況者「おーーーと! 競馬場の真ん中で、ギロチンの準備がされています!!」
まさと(えっ・・・!?)
観客「いいぞ!いいぞ! やれ!やれ!やっちまえ!!!」
観客「でかした!! きょうのレース来てよかった♪」
実況者「5番ウマクビは ギロチン台に向けて、歩いていっております」
まさと(ウマクビ!! にげろ!!!!)
ウマクビ(・・・・・・)
まさと(なんとか言ってくれよ ウマクビ・・・!!)
観客「ざまあみろだ! あの馬!」
観客「あの世で後悔することだな♪」
まさと(ウマクビーーーーー!!!!!!!!)
ウマクビ(・・・)
まさと(クソー!! クソー!!!!!!!!)
実況者「それではただいまより斬首式をおこないます」
実況者「競馬場の観客のみなさまと一緒にカウントダウンしましょう」
実況者「行きます!」
まさと(やめろ!!)
実況者「3!」
観客「3!」
実況者「2!」
まさと(やめろ!!!!)
観客「2!」
実況者「1!」
まさと(やめろ!!!!!!!!!!)
お父さん「1!」
実況者「0!」
まさと「やめてくれーーーーーーーーー !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
〇体育館の裏
いじめっ子「おいっ! なんかしゃべってみろよ!」
まさと(いてっ!)
いじめっ子「しゃべれねーなら むりやりしゃべらせてやるよ!」
まさと(いたっ!)
いじめっ子「ほらっ! おまえのためにしゃべりやすくしてやるよ!」
まさと(いったーー!)
いじめっ子「あん? なめてんのか?」
いじめっ子「しゃべれないやつはいじめられる運命なんだよ!」
いじめっ子「くやしかったらなんかしゃべってみろよ!」
まさと「やめろ・・・」
いじめっ子「え・・・」
まさと「やめてくれーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
いじめっ子「うわー!! こいつしゃべった!!」
いじめっ子「いままでずっとしゃべれなかったのに!!」
いじめっ子「きもちわるっ! にげろーーーー!!!!」
「退散だーー!!」
いじめっ子「おぼえてろよ お前」
まさと「声がでた・・・?」
まさと「あっ!」
まさと「ウマクビだ・・・」
まさと「ウマクビが ぼくに目と口をくれたんだ・・・」
まさと「ありがとう・・・ ウマクビ」
競走馬をギロチンにかける儀式があるなんてー!と思っていたら、夢のお話だったということでホッとしました。主人公と馬との繋がりは、夢だったと知っても感動的です。
馬とギロチンのあたりから悪夢のような展開だと思ったら、実際の夢をベースにした話だったんですね。夢の中って荒唐無稽だけど妙に印象に残るシーンってありますよね。