〇広い畳部屋
　　死んだら、意味がないの
　　それまで積み重ねた努力も
　　その成果も
　　全部、全部──
「起きなさーい！」
ほのか「信じっらんない！」
ほのか「何でこんな、 エアコンもついてない部屋で寝れるの!?」
練「あれだろ」
練「暑さで意識が朦朧と─」
ほのか「何、呑気に言ってんの！」
　　※熱中症にご注意
「ふぁ‥‥　　　　　　　　　　　　　はぁ‥‥」
ほのか「あのね、」
ほのか「あたしは成仏させてもらう引き換えに あんたの勉強を見てるけど‥‥」
ほのか「あくまで自分の為にやってるけど あんたも中３でしょ？しっかりしなさい！」
練「意外と真面目だな」
練「成仏したがってるけれど、幽霊だって」
練「そんな悪いもんじゃないぞ？」
ほのか「嫌嫌嫌、嫌、嫌、イヤーーー!!!!」
ほのか「もう、嫌！　幽霊なんてうんざり!!」
ほのか「幽霊になって、あたしの人生台無しよ！」
ほのか「他の幽霊は人間の面影がないし、 会話も通じないし！」
ほのか「雑誌やSNSで流行りのトレンド調べて イメチェンしたのに‥‥」
ほのか「もう誰にも相手にされないんだもん」
ほのか「ガリ勉卒業して 高校で生まれ変わるんだって」
ほのか「あんなに頑張ったのに〜‥‥」
練「別に生前の努力が全部 無駄になったわけじゃねぇよ」
ほのか「だって‥‥」
練「生来の真面目さと意思の強さ」
練「その外見だって、努力の賜物なんだろ」
練「だから、幽霊になっても 自我と思考力を保っているし」
練「見た目もかわいいままだ」
練「‥‥と、まぁ今更なんだが」
練「あんま悲観的だと悪霊化すっから 気をつけろよ」
練「さすがに祓う時、罪悪感にかられる‥‥」
練「はず」
ほのか「早く生まれ変わって人生やり直したいー!!」
　　おーい、練
　　
　　今年の夏も忙しいか？
　　お前はいいよなー
　　受験ダメでも
　　跡継ぎって当てがあるからさぁ
　　まぁ、オレだったら
　　悪霊相手にするとか絶対無理だけど
　　そう思うと
　　
　　霊感なくて、ホントよかったわー
　　今
　　JKの幽霊に勉強教わってる
　　は？
　　いやいや、大抵の幽霊は
　　会話もできんし、ろくな思考力もない
　　って言ってたじゃん！
　　随分と未練が強いからか
　　
　　とんだイレギュラーな霊なんで
　　‥‥‥‥‥かわいいか？
　　国宝級
　　オレにも見せろーー!!!!
　　─完─