誕生日前日は、最悪の日

Akiyu

誕生日前日は、最悪の日(脚本)

誕生日前日は、最悪の日

Akiyu

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誕生日前日は、最悪の日
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〇男の子の一人部屋
  お前、明日誕生日だろ?
  俺、明日は都合が悪くてお前を祝ってやれそうにないんだ。
  だから今日、俺が誕生日プレゼントとして飯を奢ってやる。
  アイツからそんなメッセージが届いた。
  誕生日プレゼントに飯を奢ってくれるらしい。
  メッセージを返して待ち合わせ場所であるファミレスへと足を運んだ。

〇店の入口
  ファミレスの入り口で待っていると、アイツがやってきた。
アイツ「よお。来たな」
俺「おう。今日は、わざわざありがとうな」
アイツ「とりあえず店の中入ろうぜ」
俺「そうだな」

〇ファミリーレストランの店内
  午後七時。
  飯時の時間帯という事もあり、店はそれなりに客が入っている。
アイツ「今日は何でも好きな物頼めよ。奢ってやるからさ」
俺「じゃあハンバーグ。それからチーズドリアと鶏唐揚げ。ドリンクバー」
アイツ「デザートはいいのか?」
俺「後で注文するよ」
アイツ「そうか」
俺「あっ、俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
アイツ「おう。ゆっくり行ってこい」
  アイツ、良いところあるじゃないか。
  俺の誕生日を覚えていてくれたのも嬉しいし、まさか飯も奢ってくれるなんて。
  俺はトイレを済ませて席へと戻ってきた。
  するとアイツは、何やらニヤニヤしている。
俺「どうしたんだ?」
アイツ「ん?ああ。お前のスマホが大変な事になっていると思ってな」
俺「えっ?スマホが?お前、俺のスマホ勝手に触ったのか?」
アイツ「まあ見てみろよ」
  俺はスマホを確認した。
俺「ああっ!?」
  俺は大声で絶叫した。
  アイツは、昔からイタズラが大好きな奴だ。
  でもな、さすがに・・・
俺「お前な!!どうしてくれるんだよ!!今回のは、マジでシャレになんねぇよ!!」
  あろうことかアイツは、俺がトイレに行ってる間に勝手に俺のスマホを触った。
  そして俺のスマホに登録されている電話帳を全て消去したのだった。
俺「お前、マジでふざけんなよ!!」
俺「くそっ・・・。そうだ。バックアップは?」
俺「くそっ・・・。バックアップまで!!」
  電話帳のバックアップデータも消されていた。
アイツ「あはははは!!!!あはははは!!!!」
  アイツは腹を抱えて笑っている。
俺「お前っ・・・!!ふざけんな!!どうしてくれるんだよ!!」
  俺は怒ってスマホを持って、そのままファミレスを飛び出した。

〇男の子の一人部屋
俺「くそっ、最悪だ・・・」
  俺の誕生日前日は、最悪の気分となった。
  イライラがずっと収まらなかった。
  そのせいかなかなか眠る事ができず、日付が変わった。
  俺は、最悪な気持ちのまま17歳の誕生日を迎えた。
  プルルルル・・・・・・。
  電話が鳴った。もちろん番号が表示されても誰からなのか分からない。
  とりあえず電話に出てみる。
俺「はい」
安田「誕生日おめでとう。安田だよー」
俺「おお、やっすんか。ありがとう」
安田「今日はお前にとって良い日になると良いな。良い誕生日を。それじゃな」
  電話は切れた。
  俺は同じクラスの友達である安田を電話帳に登録した。
  それから数十分。
  プルルル・・・・・・。
  また電話が鳴った。番号は分からない。
俺「はい」
石井「先輩、誕生日おめでとうございます」
俺「誰だ?電話帳が全部消えてしまってな」
石井「石井です」
俺「おお、石井か。ありがとう」
石井「良い誕生日になると良いですね。それじゃ」
  すぐに電話が切れた。
  俺は中学時代の後輩である石井を電話帳に登録した。
  それから数十分。
  プルルル・・・・・・。
  また電話が鳴った。番号は分からない。
俺「はい」
叔父さん「祐介。誕生日おめでとう」
俺「えっ!?お、叔父さん!?」
叔父さん「そうだよ。良い誕生日になるといいな。はははっ」
俺「何?何なの!?」
叔父さん「お前も薄々気づいてるだろ?」
俺「ええっ?!」
  俺もなんだか少し察してきた気がする。
  それから数十分。
  プルルル・・・・・・。
  また電話が鳴った。番号は分からない。
俺「はい」
母さん「祐介。誕生日おめでとう」
俺「母さん!?」
母さん「そうだよ」
俺「家の中からかけてるでしょ」
母さん「うん。父さんからもかかってくるから」
俺「母さん。それ言っちゃだめだよ」
  俺は笑って電話を切った。
  それから数十分。
  プルルル・・・・・・。
  今度は父さんかな?
俺「もしもし」
父さん「祐介。誕生日おめでとう」
俺「父さんもグルだったの?」
父さん「まあな。あんまり長電話せずに早めに寝ろよ」
俺「わかったよ」
  それから数十分置きに色々な人から電話がかかってきた。
  俺の電話帳に登録していた人数は、親兄弟。親戚。友達。
  全部で50人弱だ。
  電話は鳴りっぱなしだった。
  俺の電話帳は、無事に復元された。
  アイツを除いて。
  そして──
  プルルル・・・・・・。
俺「もしもし」
アイツ「俺だよー♪てってれー!!ドッキリ大成功♪」
俺「お前な・・・」
アイツ「いやー、仕組むのに苦労したぜ」
アイツ「お前の電話帳に登録してる人、全員に誕生日おめでとうドッキリ仕掛けようぜって、この企画を説明していくのは、結構骨が折れたぞ」
俺「心臓に悪いだろ。やめろよな」
アイツ「まあでも忘れられない誕生日になっただろ?」
俺「・・・当たり前だ!!忘れるかよ、こんな誕生日」
アイツ「飯は今日、もう一度行こうぜ。ちゃんと奢ってやるから」
  俺は今日、またアイツとファミレスで待ち合わせた。

〇ファミリーレストランの店内
アイツ「誕生日おめでとう。お前は皆から愛されてる。それを伝えたかったんだ」
俺「なんだよ、それ」
アイツ「よし、今日は朝まで語り合おうぜ」

コメント

  • 読み始めてからいったいどうなるのか?…と思ってたら、まさかのサプライズとは!
    でも、電話帳ってもう関わりのない人とかもいて、彼はほとんどの人から誕生日のコールがきてて、あぁみんなに愛されてるなぁとほんのり温かくなりました。

  • ちょっとタチが悪すぎると思っていましたが実は最高のプレゼントですね。電話帳に登録しているも没交渉な人も多い自身に、直で通話してコミュニケーションをとることの大事さを思い出させてくれるステキな作品です。

  • 電話帳を…最悪な友達!って思ったけど、めっちゃ良い友達じゃないですか!
    確かにこんなサプライズ…どんなプレゼントよりも嬉しいかも!

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