幼い頃に異世界から宇宙船に連れて来られた少女と彼女の為に宇宙船を落とそうとする女

海せん餅

誰の為の復讐?(脚本)

幼い頃に異世界から宇宙船に連れて来られた少女と彼女の為に宇宙船を落とそうとする女

海せん餅

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〇宇宙船の部屋
研究者「ただ研究しただけだ!」
ウズ「知ってたんでしょ?異世界で酷い事してる、それに加担してるって」
告発した研究者「だから告発──」
ウズ「勝手に来て、勝手にばら撒いて、勝手に調べて、今度は自分達で勝手に裁いて」
ウズ「何で私達の事を勝手に決めるの?」
ウズ「私が裁く」
研究者「おいやめろ!ここには!」
ウズ「知っているよ。貴方達が作った私達を”保護”する口実でしょ」
研究者「うぅぅ・・・」
パスイセ「”保護”されていた者達の転送完了しました」
パスイセ「・・・本当にこの船に残って地球に落とすんですか?」
パスイセ「共に元の世界に帰りませんか」
ウズ「私の手で罰を与えなければ」
ウズ「コイツらに協力してこんな所に連れて来てしまったあの子の為にも」
ウズ「・・・あの子の力になって上げてね」
パスイセ「・・・分かりました」
化け蜘蛛「連れてきましたぜ」
ヘデラ「・・・」
ウズ「今までこんな所に縛り付けてしまってごめんなさい。やっぱり悪い奴らだった」
ウズ「私は一矢報いる為にこの船に残ってこの船を地球に落とすから彼女達と元の世界へ逃げて」
ヘデラ「両親を亡くした幼い私は貴方に疫病のない安全な場所に連れて行くと言われてここへ来た」
ヘデラ「それからずっとここで暮してきた」
ヘデラ「病気から守る為と言って自由な行動は許されず殆ど部屋いて、会うのは貴方や」
ヘデラ「この人達ぐらいで、退屈で窮屈で、たまに検査だとか健康診断で調べられたり見られたり」
ヘデラ「触られたりしてずっとずっと、ずっっっとここが嫌で嫌で嫌で帰りたかった・・・でも」
ヘデラ「でももう家はない。元の世界に私を知っている人はいない。私が知っている人もいない」
ヘデラ「分からない」
ヘデラ「元の世界で私はどうやって生きたらいいの?何の為に生きたらいいの?」
ウズ「それは──」
ヘデラ「人生の半分以上ここに居て 今の私にはもうこの船と貴方しかないのに!」
ヘデラ「なのにこの人達殺したり船落とすとか私に逃げろとか」
ヘデラ「何で勝手に決めるの?」
ヘデラ「貴方が船と落ちるなら私も一緒に落ちる」
ウズ「だ、だめ!生きて!」
ヘデラ「なら勝手に死なないで」
汚染された研究者「うぅぅ?」
ウズ「ほ、ほら!この船を落とせばアイツらの国を貴方の両親や町の皆みたいに!同じ目に──」
ヘデラ「そんな事どうでもいい!」
パスイセ「・・・先程彼女の為だと言いましたよね」
ウズ「っ!・・・」
パスイセ「はぁ・・・」
汚染された研究者「ぅうぅ」
「!!」
「!!!!」
ウズ「ど、どういう事!?何で私達まで縛るの!?」
パスイセ「先程貴方に言われた通り”彼女の力になって”彼女が望む事しているだけです」
パスイセ「彼女の望み・・・それは貴方と一緒に居る事。だから彼に貴方と彼女を結んで貰いました」
化け蜘蛛「悪いな!元の世界に戻る仲間は少しでも多い方が良いからな」
化け蜘蛛「嬢ちゃん。この世界の奴らも、この姉ちゃんも好き勝手やってんだ」
化け蜘蛛「姉ちゃんが大事なら勝手に連れて行こうぜ」
ヘデラ「・・・行くよ」
ウズ「痛い痛い!!分かったから引きずらないでー!」

コメント

  • 誰が誰を何のために”裁く”、この視点で読むと一層魅力的な物語ですね。そして、ウズさんの自罰的な言動もより深く感じ入れます。この救いのあるラスト、好きです!

  • 地球を守ったり地球に帰ろうとする物語が多い中で、異世界人が地球人を敵視している展開が新鮮でした。ウズ、パスイセ、へデラなど、ネーミングにも一風変わった独特のセンスがありますね。

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