第6話-1『告白』(脚本)
〇養護施設の庭
ねこ「がおー」
宇喜多羽彩「昨日と鳴き方違くない?」
三好優弥「鳴き方が変わってるからな」
宇喜多羽彩「それで済ませていいの?」
ねこ「がおー?」
宇喜多羽彩「あ、どっか行っちゃった」
三好優弥「付いていってみるか」
〇森の中
蒼村優「・・・・・・」
男子生徒「・・・・・・」
「・・・・・・・」
三好優弥「何やってんだ?」
宇喜多羽彩「しーーー!」
三好優弥「どうしたんだ?」
宇喜多羽彩「今とっても、大事な状況なんだよ」
宇喜多羽彩「見て分かんない?」
三好優弥「?」
宇喜多羽彩「ダメだ、こいつ」
男子生徒「来てくれてありがとう そむらさん」
蒼村優「あ、いえ、何でしょうか」
男子生徒「前からそむらさんのことが 好きでした!」
蒼村優「あ、はい ありがとうございます」
男子生徒「俺と付き合ってください!」
蒼村優「あ、えっと」
「・・・・・・」
蒼村優「ごめんなさい!」
蒼村優「私、あなたとは お付き合いできません」
男子生徒「そっか」
男子生徒「ちなみに、そむらさん 今付き合ってる人とかいるの?」
蒼村優「い、いません!」
男子生徒「いつも一緒にいるあの三好先輩と 付き合ってるってわけじゃないんだ」
蒼村優「先輩とはそんな関係じゃないです!」
男子生徒「じゃあ、何で?」
蒼村優「今がとても楽しいから 誰ともお付き合いするつもりはないんです」
蒼村優「だから、ごめんなさい」
〇グラウンドの水飲み場
宇喜多羽彩「すごいもの見ちゃった」
三好優弥「ああ、確かに」
三好優弥「うちの制服って 確かあんな感じだったって思い出した」
宇喜多羽彩「そうじゃないだろ」
宇喜多羽彩「ていうか、優弥は着崩して 怒られないの?」
三好優弥「理事長からちゃんと許可もらってるぞ ついでに上杉も」
宇喜多羽彩「あ、そうなんだ 良く分からないけど」
宇喜多羽彩「めんどいから聞かないでおこう」
宇喜多羽彩「ていうか、他人の告白されてるところ 初めて見た」
宇喜多羽彩「さすがそむらちゃん」
宇喜多羽彩「中等部の時からモテるとは聞いてたけど」
三好優弥「らしいな」
宇喜多羽彩「相変わらず他人に興味無し」
宇喜多羽彩「そむらちゃん 何でこんな男のことを、、、」
三好優弥「なんか言ったか?」
宇喜多羽彩「何でもない」
三好優弥「ちなみに羽彩は 告白されたことあるのか?」
宇喜多羽彩「なんでそんな事を聞くのよ!」
三好優弥「さっき『初めて見た』とか言ってたから」
三好優弥「それって、自分視点だと 見たことあるって事じゃないか?」
宇喜多羽彩「変なところ鋭い」
三好優弥「あと普通にモテそうだから」
宇喜多羽彩「な、何言い出してるの!」
三好優弥「料理できるし、顔は良いほうだろ」
宇喜多羽彩「いつも他人に興味示さない癖に!」
三好優弥「で、どうなんだ?」
宇喜多羽彩「まあ、何回かはあるわよ」
三好優弥「その告った連中は 怖いもの知らずだな」
宇喜多羽彩「あんたってどうして いつも一言余計なの?」
三好優弥「こういうところだろ」
三好優弥「羽彩の裏の顔を知らない」
宇喜多羽彩「あんた、絶対モテないわ」
宇喜多羽彩「そういう優弥は 告白されたこととかないの?」
宇喜多羽彩「性格はあれだけど 顔はいい方じゃん?」
三好優弥「んー、ないな」
宇喜多羽彩「そっかそっか」
三好優弥「なんで嬉しそうなんだ? 悪魔か?」
宇喜多羽彩「いやいや」
三好優弥「中学はまともに出席してなかったからな」
宇喜多羽彩「そうだったんだ ごめん」
三好優弥「気にすんなよ」
宇喜多羽彩「じゃあ好きな子とかはいたの?」
三好優弥「・・・・・・」
宇喜多羽彩「どうしたの?」
三好優弥「思い出せないな」
三好優弥「なんでだろ」
宇喜多羽彩「そっか、初恋はまだなのか」
三好優弥「・・・・・・初恋か」
三好優弥「そんなことあったのかな」
〇合宿所の稽古場
三好優弥「お前ら、今日は待ちに待った! 肝試しの日だあああ!」
宇喜多羽彩「やったああー!」
三好水葉「久しぶりの肝試しだあああー!」
三好双葉「なんで、そんなに みんなテンション高いの」
上杉遼羽「こんなに多いと楽しくなりそうだな」
宇喜多羽彩「今日はどこでやるの?」
上杉遼羽「もちろん、旧校舎 あとは学園内かな」
宇喜多羽彩「じゃあ、七不思議の謎にも挑戦しよう」
上杉遼羽「おお、宇喜多さんやる気だ!」
〇グラウンドの水飲み場
蒼村優「落ち着くのに時間がかかっちゃった」
蒼村優「早く部室に行かないと! 先輩のこと何も言えないや」
蒼村優「やっぱ、告白されるのって緊張するし 断るの申し訳ないなあ」
蒼村優「でも、やっぱり先輩と付き合ってるって 勘違いされてるのかな」
蒼村優「それは嬉しいけど」
蒼村優「私は先輩の近くにいられるだけでいいのに」
蒼村優「このままずっとこの日常が続かないかな」
蒼村優「・・・・・・でも贅沢な願望なのかな」
蒼村優「いつか、先輩も卒業していなくなっちゃうんだよね」
蒼村優「・・・・・・先輩、またいなくなっちゃうのか」
〇合宿所の稽古場
上杉遼羽「3人は夕飯作りに行ったな」
三好優弥「何が出来るか楽しみだ」
上杉遼羽「そういえば、そむらは最近平気なのかな」
三好優弥「最近は調子いいらしい」
三好優弥「合宿の時、夕飯を食べる量も増えたしな」
三好優弥「食が細かったから 親が喜んでるらしいぞ」
上杉遼羽「特に何もしてないけどな」
上杉遼羽「あと、三好」
上杉遼羽「いつから宇喜多さんと あんなに仲良くなったんだよ」
三好優弥「特に仲良いと思わないが」
上杉遼羽「嘘言うなよ 下の名前で呼び合うなんて相当だぞ」
上杉遼羽「大抵の男子に対して 塩対応の宇喜多さんが まさか三好には心開くなんてな」
三好優弥「いや、上杉もだろ」
上杉遼羽「いーや、全然違うな あくまで俺は部員同士として仲良いだけだ」
三好優弥「よくわからん」
上杉遼羽「でも、俺は嬉しいぜ あの三好優弥が女の子と仲良くする光景を 見ることが出来るなんてな」
三好優弥「人を何だと思ってるんだ」
上杉遼羽「でも、不思議だよな やけに宇喜多さんって お前には親しげだよな」
上杉遼羽「実は前にどこかで知り合いだったとか?」
三好優弥「その記憶はないな」
蒼村優「お疲れ様です」
上杉遼羽「おつー」
三好優弥「おつかれさん」
蒼村優「あれ? 羽彩先輩とかは?」
三好優弥「夕飯の支度に行ったぞ」
蒼村優「そうなんですね」
蒼村優「二人は何の話をしていたんですか?」
上杉遼羽「そむらが最近体調良さそうだなって」
蒼村優「はい!」
蒼村優「毎日楽しいです!」
〇華やかな裏庭
三好優弥「今日はまさかのバーベキューか」
宇喜多羽彩「初めて部員が全員揃ったから その記念日を兼ねてね」
三好水葉「お肉10キロ、魚介類3キロ、野菜2キロあるからどんどん食べてね」
宇喜多羽彩「三好家だけで どれだけ消費するんだろ」
蒼村優「まさか、学校にバーベキューが 出来るところがあるなんて知りませんでした」
宇喜多羽彩「学園祭の最終日の夜は ここでお祝いするんだよ」
宇喜多羽彩「花火が上がって、ゲーム大会があって たくさんの料理が振舞われる」
蒼村優「さすが、この学校ですね お金の使い方が凄すぎる」
蒼村優「ちなみに、去年は誰と 後夜祭に参加したんですか?」
宇喜多羽彩「私は料理部の人たち」
三好優弥「俺は上杉、京極とかかな」
宇喜多羽彩「でも、今年はミス研に参加しようかな」
蒼村優「ホントですか!?」
宇喜多羽彩「学園祭が終わったら みんなで集まろうね」
蒼村優「はい!約束ですよ!」