〇西洋風の受付
エツコ「こ、ここは・・・？」
入国審査官「はい、次の人ー」
エツコ「え、私ですか？」
入国審査官「そうだよ」
入国審査官「その手に持ってる書類をコチラに」
エツコ（なにコレ、いつの間に？）
入国審査官「えー、なになに・・・」
入国審査官「死因：30にもなって部屋でJKコスプレをしている所を親に見られた事による恥死・・・と」
エツコ「えっ!?」
エツコ「私、死んだんですか!?」
入国審査官「闘牛もまっしぐらなくらい真っ赤な顔して昇天──」
入国審査官「と、検視報告書にあるから間違いない」
エツコ「ちょっと待ってください」
エツコ「牛の目はモノクロでしか物を判別できません」
エツコ「彼らはヒラリと動く布に反応して突進しているだけで布の色は赤じゃなくても構わないんです」
エツコ「だからその検視報告は間違っていま──」
入国審査官「ワンチャン、やり直せるとしたら？」
エツコ「えっ!?」
入国審査官「ココはアナタのような死んでも死にきれない残念な人を異世界に転生させる場所」
入国審査官「アナタはブッチギリで合格です」
入国審査官「餞別と言ってはなんですが」
入国審査官「そのおしながきの中から」
入国審査官「ひとつだけ好きなモノを差し上げます」
エツコ「そ、それって・・・」
エツコ「やっぱり！」
エツコ「強力なスキルや魔法」
エツコ「チートっぽいアイテムなんかがズラリとあるわ！」
エツコ「ど・れ・に・し・よ・う・か・なぁ～っ♪」
エツコ「はっ!!」
　　勇者装備一式【S】
エツコ「Sラン装備キターーーッ!!!」
エツコ「これでおねしゃす！」
入国審査官「あいよ」
エツコ「チート装備で異世界無双してやんよぉーーーっ!!」
エツコ「おぉっ！」
エツコ「これこれこれーーーっ!!」
エツコ「・・・って」
エツコ「なにこれ・・・体が締め付けられ・・・」
エツコ「まさか」
エツコ「呪いの装備──」
エツコ「いや違う！」
エツコ「呪いじゃない！」
エツコ「呪いじゃなくて」
エツコ「キツいんだっ!!」
エツコ「【S】って」
エツコ「ランクじゃなくて」
エツコ「サイズの事かよっ！」
エツコ「頭が締め付けられるぅ～っ！」
エツコ「ウェストが苦しい～っ！」
エツコ「剣も短けぇっ!!」
入国審査官「じゃあ、とっとと行ってくれる？」
エツコ「異世界で無双・・・」
エツコ「無理そう」
入国審査官「はい、次の人〜」