P5・お部屋です!(脚本)
〇城の客室
リディア「失礼いたします」
クロエ「おはよう、リア」
リディア「おはようございます」
リディア「もう起きていらっしゃったのですね」
リディア「お着替えのお手伝いができず、 申し訳ございません」
クロエ「着替えくらい一人でできますよ」
クロエ「転生前と違って、ちゃあんと 腕も脚も動きますからね」
リディア「クロエ・・・ お婆さんが顔を覗かせています」
クロエ「あらあら」
リディア「中身もしっかり若返る約束ですよ!」
クロエ「そうでしたね。気を付けるわ」
リディア「では、食堂へ参りましょう」
クロエ「はぁい」
〇城の会議室
クロエ「おはようございます」
レイヴィダス「先生っ!」
レイヴィダス「今日も何とお可愛──」
アルフォル「おはよー、クロエちゃん」
アルフォル「今日も可愛いね!」
クロエ「まあ。ありがとうございます」
レイヴィダス「邪魔をするなアルフォル!」
アルフォル「何のこと?」
レイヴィダス「貴様っ・・・」
ストラスール「クロエ様、こちらへ」
ストラスール「騒がしい者たちに囲まれていては 落ち着いて食事ができませんからね」
クロエ「ストラさん」
クロエ「昨日のように、クロエと呼んでくださいな」
ストラスール「主となられた方を 呼び捨てになどできません」
ストラスール「どうかクロエ様とお呼びすることを お許しください」
クロエ「ええと・・・」
クロエ(息子と同年代の男性にかしずかれるのも、 なんだか不思議な心地ねぇ・・・)
クロエ(いけない。 またお婆さん思考になっていたわ)
クロエ「分かりました。 お好きなように呼んでください」
ストラスール「ありがとうございます」
クロエ「ところで、昨夜は大丈夫でしたか? 魔法の影響でお身体に障りなどは?」
ストラスール「問題ございません」
ストラスール「それどころか、 晴れやかな気持ちでさえあるのです」
アルフォル「ストラが──」
リディア「お父様が──」
「デレている・・・!?」
アルフォル「てか昨夜って何だ!?」
リディア「身体に障り!?」
リディア「私がいないところで いったいどんなお楽しみを・・・!?」
アルフォル「いや、お前の言うべき台詞は それじゃない──」
レイヴィダス「静まれ」
レイヴィダス「ストラ。この二人には 事情を話しても構わないな?」
ストラスール「はい」
アルフォル「・・・何かあったのか?」
レイヴィダス「まだ推測の段階だが、滝松先生── もとい、クロエの魔力に関することだ」
レイヴィダス「リディア」
レイヴィダス「先生のお身体となったホムンクルスの レシピはいつも通りか?」
リディア「ええ。調合も魔力の照射時間も 変えておりませんわ」
レイヴィダス「ならば、使えるのは下位魔法だけだな?」
リディア「個体によっては中位魔法の一部も 使用可能かと存じます」
リディア「もしや、クロエが・・・?」
レイヴィダス「ああ」
リディア「まあ! どのくらいの魔法が使えたのです?」
レイヴィダス「・・・ストラと契約した」
アルフォル「マジかよ!?」
リディア「つまりクロエと私は家族同然・・・」
リディア「素晴らしいですわっ!!」
アルフォル「お前ちょっと黙ってろ」
アルフォル「レイの魔力がクロエに丸ごと移動した ・・・ってことか?」
レイヴィダス「察しがいいな。その通りだ」
アルフォル「レイの魔力がスライム並になってるって、 昨日ストラが言ってただろ?」
リディア「ということは、 クロエが新たな魔王に就任ですか!?」
レイヴィダス「お前たち親子はそんなに私を 引きずり下ろしたいのか?」
リディア「滅相もございません」
アルフォル「でも、実際どーすんだよ」
アルフォル「お前に魔力がないってバレたら、 魔王の座を狙う魔族が沸いて出るぜ」
リディア「各地に混乱をもたらしますね」
レイヴィダス「しばらく先生に魔王代理を お願いすることにした」
レイヴィダス「といっても、 表面上は私がこれまで通り公務を行い」
レイヴィダス「魔力が必要になった時にだけ 先生にご助力いただくという方法だ」
アルフォル「つっても、宮廷画家が魔王と ずっと一緒にいるのもおかしくね?」
リディア「あちこちから絶対やっかみが来ますわよ」
リディア「ホムンクルスよりもうちの娘をお側に── と言ってくる貴族が何人いますかしら」
レイヴィダス「それは面倒だな・・・」
アルフォル「あっ!」
アルフォル「だったらクロエちゃんを うちの養子にするか!」
アルフォル「これで名実ともにお兄ちゃんだ!」
クロエ「レゴデスさんのお家のお名前で 箔付けということですね」
アルフォル「レガルゼスね? 覚える気ないでしょ?」
リディア「お待ちなさい! でしたらクロエは シルヴィス家でお預かりしますわ!」
リディア「妹・・・いえ、お姉様という 響きも捨てがたいですわね」
リディア「お父様の後妻という選択肢も・・・」
リディア「どれがいいですか、クロエ!?」
アルフォル「お兄ちゃん一択だよな!?」
リディア「妹! 姉! 後妻──つまり継母! お好きなものをどうぞ!!」
クロエ「え、えぇっと・・・」
ストラスール「そこまで」
ストラスール「クロエ様を困らせるな」
ストラスール「何か言ってくる者があれば 私が黙らせるから問題はない」
アルフォル「なぁ、あれって契約魔法の効果なのか? 昨日と態度が真逆じゃん」
レイヴィダス「分からん。まぁ、先生を認めて くれたのだからよしとしよう」
レイヴィダス「・・・ちょっと怖いけど」
ストラスール「話はこのくらいにして、 食事にしましょう」
クロエ「いまの方は?」
ストラスール「侍女として使っているホムンクルスです」
リディア「レイヴィダス様は、貴族の子女を行儀見習いでお屋敷に上げるのを好みませんの」
クロエ「あら、どうして?」
レイヴィダス「・・・んの・・・が・・・です」
クロエ「え?」
レイヴィダス「うぅっ・・・」
レイヴィダス「三次元の女子が怖いんです!!」
クロエ「あらまぁ~・・・」
レイヴィダス「あっ、先生のことは 怖くありませんからね!?」
レイヴィダス「ついでにリディアも大丈夫です。 あれはただの腐女子ですから」
ストラスール「そんなだから300歳すぎても 結婚できないんですよ」
レイヴィダス「うるさいな」
レイヴィダス「三次元の女子はキャーキャー騒いで ギラギラした目で寄ってくるくせに」
レイヴィダス「私が人間界のエンタメについて語り出すと途端に「キモい」だの「コワい」だのと罵ってくるのだぞ!?」
ストラスール「それはまぁ・・・ 仕方ないのではないでしょうか」
クロエ「でも、寄ってくるということは おモテになるんでしょう?」
ストラスール「こんなでも一応、魔王ですからね」
クロエ(魔界というのは、思った以上に 魔力が重視されるのねぇ)
クロエ(・・・何かのネタに使えそうだわ)
クロエ(もうマンガは描かないのだから、 関係ないわね)
レイヴィダス「そうだ、先生」
クロエ「クロエと呼んでくださいってば」
レイヴィダス「しかし・・・」
クロエ「じゃないと返事しません」
レイヴィダス「そんな・・・!」
レイヴィダス「くっ・・・」
レイヴィダス「クロエさん!!」
クロエ「はい、何でしょう?」
アルフォル「ははっ。クロエちゃん、 ホムンクルスなのに小悪魔だな」
リディア「片や魔王は300歳すぎなのに 思春期まっただ中ですわね」
レイヴィダス「うるさいぞお前ら!!」
レイヴィダス「先生──いえ、クロエさん」
レイヴィダス「お部屋がご用意ができましたので、 食事のあと案内させていただけませんか」
クロエ「ええ。ぜひお願いします」
〇黒背景
〇可愛らしいホテルの一室
クロエ「あらぁ〜」
レイヴィダス「お気に召していただけましたか?」
クロエ「こんな可愛らしいお部屋、 私にはもったいないわ」
クロエ「本当によろしいんですか?」
レイヴィダス「もちろんです」
レイヴィダス「もっと広いお部屋を ・・・と思ったのですが」
レイヴィダス「クロエさんは、このくらいの方が 落ち着くのではないかと」
クロエ「その通りです」
クロエ「これでも広いくらい。 でも、ありがとうございます」
レイヴィダス「実は、隣にもう一部屋用意してあるんです」
クロエ「もう一部屋?」
レイヴィダス「こちらへ」
〇異世界のオフィス
クロエ「この部屋は・・・?」
レイヴィダス「仕事部屋です」
クロエ「それは、宮廷画家としての・・・?」
レイヴィダス「先生、もう一度お願いします」
レイヴィダス「『わたしのアルカディア』の 続きを描いてください!」
なぜ続きが描けないのかはずっと気になってます。次回謎がわかるのか…。
リディアとアルのボケ突っ込みがとにかく楽しいです。
三次元の女子が怖い魔王様ww
アルとリアの会話の濃ゆさって、これって魔界自体が歪んだ感覚の世界のため?それともクールジャパン文化の伝来のため?とにかく楽しすぎます!
花粉症、、、ご無理なさらず。空気清浄機を限界までフル稼働させるとか、室内の湿度を極限まで高めるなどしてご自愛ください
花粉症、お大事にしてください……🙏
仕事部屋で作品の続き執筆展開、なにか起きそうな予感がプンプンですね……楽しみにしてます!