エピソード17(脚本)
〇黒
「ナナシくん──!! ナナシくん!!」
「傷が深すぎる」
「我輩の能力で、体内の弾丸は 全て『招き寄せた』が、血が止まらん」
「あるだけの医療器具を吐き出します」
〇体育館の中
ナナシ「あ──」
ハコ「ナナシくん!! 動かないで!」
ナナシ「ぼく──は」
ハコ「喋るのもダメ 黙ってて」
イフ「応急処置では限界があります」
イフ「医療用コミュニティ『手術室』 に運び込まなければ」
ハコ「そんな時間、とてもじゃないけどないよ!!」
イフ「落ち着いて、手はあります」
イフ「私の中の物を全て吐き出せば、ギリギリで子供ひとりはしまえます」
イフ「私の中での”劣化”はある程度まで防げます」
ハコ「それならいける?」
イフ「微妙ですね、 劣化は完全に防げる訳でもありませんし」
イフ「あくまで、気休め程度です」
ハコ「──お願い、イフさん」
イフ「任せてください」
イフ「オロロロロロロ」
イフ「うわっ結構入ってましたね」
イフ「それじゃあ ”いただきます”」
イフ「さてここからは、ウプッ 時間とのウッ 戦いです」
ハコ「ぜっっったい、吐かないでねイフさん」
ハコ「手術室まで全速で行く、先にお兄ちゃんと向かって連絡だけしとくね」
つぷり、つぷり、ギリギリギリギリ
お兄ちゃん「──緊急時みたいだな、 何をすればいい?」
ハコ「私を抱えて手術室に行って、コミュニティの人達に急患だと伝えて、 イフさん達もすぐ行くから」
イフ「いえ、それだと間に合わないでしょう 私がオトくんに巻きついていきます」
お兄ちゃん「────結構速く動くけど、 耐え切れるか?」
イフ「ここから手術室まで、全速でどのくらいかかりますか?」
お兄ちゃん「五秒でいける」
イフ「──分かりました、お願いします」
ハコ「無茶だよイフさん、バラバラになっちゃう」
イフ「大丈夫、なんとか耐えて見せます もう仲間が死ぬのは嫌ですから」
ネコマ「吾輩もツトムを抱えて後を追うのである イフ、死ぬなよ」
イフ「あぁ、もちろん死ぬ気はない」
お兄ちゃん「じゃあ俺の服に潜れ、ハコちゃんは抱えていくから」
ハコ「うん、よろしくねお兄ちゃん」
お兄ちゃん「さあ・・・・・・」
お兄ちゃん「飛ばすぜ」
〇白
〇手術室
お兄ちゃん「はい到着 イフ、生きてるか?」
イフ「あ・・・ああ、意識はなんとかある」
イフ(本当に五秒ほどでついた)
イフ(一体、幾つの扉や壁をぶち抜いたんだ?)
お兄ちゃん「という訳で急患だ! 誰かいるか!?」
チョウキ「おや、急患とは珍しい、 僕をワクワクさせる患者が来てくれたのかな」
イフ「こちらです オロッ」
チョウキ「うーんコレはひどいな」
チョウキ「というか、コレ」
チョウキ「もう死体だよ」
「はぁ!!!?」
ハコ「そんな訳はない!! ツクモ神は死ねば光に還るはずよ!!」
チョウキ「うーん、だが心臓も完全に止まってるしなぁ」
チョウキ「まっやれるだけやってみるけど 期待しないでね」
お兄ちゃん「テメェ!!」
チョウキ「うるせーなー、 医者の言うことは聞いとくべきだぜ」
チョウキ「マジで」
チョウキ「分かったら僕に任せて大人しく外出てろ」
チョウキ「まぁ、医療のチカラって奴を出来るだけ見せてやるからよ」