隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして

内村一樹

第6話 一件落着?(脚本)

隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして

内村一樹

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〇教室
  教室に不穏な空気が充満していく
  原因は床に落ちていた1冊のノートだ
佐藤亜美「いや、そんなこと言われても知らないんだけど」
吉田春乃「でも、このノートはアンタの机から落ちたじゃん」
  2人が言い争いをしている間にも、例のノートがクラスメイトに回覧され始めていた
  もちろん、私の所にも回って来たそのノートには、ツラツラとクラスメイトに対する不平不満が書きなぐられている。
大心池須美「お高くとまってるヤな女、ね」
大心池須美(否定できないから、文句は言えないかな)
佐藤亜美「だから、ウチは知らないって言ってんじゃん!!」
吉田春乃「書いてないって証拠はあるワケ? こっちはアンタの引き出しから落ちたのを皆が見てるんだけど?」
  クラス全体のムードは、完全に吉田の考えに賛同し始めてる。
  と、そんな様子を見てた祇園寺が、どこか呆れたような表情を浮かべながら口を開いた。
祇園寺壮馬「お前、まさかこんなノートを作ってたとはなぁ。 流石に俺も引くわ」
佐藤亜美「っ!? 壮馬・・・!?」
祇園寺壮馬「付き合ってた時から皆に対する文句が多いと思ってたけどな・・・ 別れて正解だったぜ」
佐藤亜美「・・・」
  さっきまで強気な態度を見せていた佐藤が、一気にしおらしくなる。
  その直後、田中先生が教室に入って来た。
田中先生「ほら、ホームルームを始めるぞ。 早く席に着け」
  先生に言われるままに、騒ぎの中心にいた皆が、渋々席へと戻って行く。
大心池須美(このままだと、佐藤が悪者のまま話が流れちゃいそうだね・・・)
大心池須美(でも、本当にこれで終わるのかな?)
  怪訝そうな顔を見せつつも、淡々とホームルームを始める田中先生。
  もはや、誰一人として騒動の真相を追求しようとする人はいないように見えた。
大心池須美(まぁ、そんなわけないよね?)
  少し項垂れた佐藤が、無表情で立ち上がっている。
  そんな彼女の手には、例の裁ちバサミ。
田中先生「佐藤? どうした?」
佐藤亜美「・・・もう、いいや」
  佐藤が小さく呟いた直後。
  クラス全体に、無数の着信音が鳴り響く。
  田中先生も含めて、全員がスマホに目を落とした。
  もちろん、私も。
大心池須美(昨日の写真・・・)
大心池須美(差出人不明のチャットで、クラス全員に写真を送った? こんなことできるのは・・・)
田中先生「ど、どうしたんだ? 皆、今日、何かあったのか? それに、この写真はなんだ、祇園寺」
  混乱しながらも、写真に写っている祇園寺に問いかけた田中先生。
  だけど、彼の質問に答えたのは──
黒光花楓「ふふふ あぁ、そういうことだね。 なるほど~」
田中先生「黒光?」
黒光花楓「田中先生、大丈夫ですよ。 別に変なことが起きたわけじゃないみたいですから」
黒光花楓「クラスメイトの中に、元恋人を自主退学に追い込もうとしてた人がいたってだけですから」
祇園寺壮馬「おい黒光!! それはどういう意味だ!?」
黒光花楓「どういう意味って、祇園寺君が佐藤さんを追いつめて、自主退学させようとしてたんでしょ?」
祇園寺壮馬「どこにそんな証拠があって──」
黒光花楓「どこって、皆のスマホの中にあるじゃん。 ほら、見える? この写真」
祇園寺壮馬「この写真だけで、どうして俺が犯人だって言いきれるんだよ!?」

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