神様からの三行半

金平 旺大

第八話(脚本)

神様からの三行半

金平 旺大

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神様からの三行半
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〇畳敷きの大広間
タケハ「・・・・・・・」
タケハ「・・ん? ・・ここは・・」
淡雪「タケハさんの家ですよ。 大広間に布団をひかせてもらいました」
タケハ「・・・もしかしたら、 倒れました?」
淡雪「えぇ、炎の端っこにチロッと当たって、 気絶したみたいです」
タケハ「あ、・・・そうですか」
淡雪「何か食べますか? 私は我慢できずに朝ご飯を食べちゃいましたけど、味噌汁ならありますよ」
  キョロ、キョロキョロ
タケハ「もしかして、ここに泊まりました?」
淡雪「はい、コマさんに看病してほしいと 頼まれました」
淡雪「隣の部屋をお借りしてました」
タケハ「・・・あ、そうでしたか・・」
淡雪「では、適当に卵焼きでも作ってきますね。 気が向いたら食べてください」
タケハ「・・はぁ、ありがとうございます」
コマ「お味噌汁、美味しそうでしたよ」
タケハ「コマ、いたのか」
コマ「すみません、淡雪さんが 砂糖の場所がわからないと騒いでいましたから、お邪魔していました」
タケハ「そっかぁ、 この家にまだ砂糖があったことすら 驚きだったな」
コマ「ありませんでしたよ」
コマ「砂糖も食材も何もなかったので、 私の能力を使って、スーパーまで買い出しに行ってきました」
タケハ「そうだよな、 冷蔵庫の中身は炭酸飲料と 冷凍食品くらいしか記憶にないもんな」
コマ「しっかり野菜も摂ってください。 神主として、いや、人間として まず健康が第一ですよ」
タケハ「・・・・・あぁ、わかった。 これからは気を付けるよ」
コマ「おや、意外な答えでしたね。 私はてっきり 『冷凍食品にも野菜は入っているよ』 とか返ってくると思ったんですが」
タケハ「・・・・・」
タケハ「あっ、思い出した、お札お札。 昨日探しに行ったら お札があと何枚かしか残ってなかったぞ」
コマ「売れ残っていたことが 功を奏しましたね」
タケハ「・・もし、何回もあんな奴らが来て、 お札が足りなくなったらどうなるんだ?」
コマ「弱い霊への対抗策がなくなりますね。 どちらにせよ、霊の強さによっては お札が効かないこともあります。 ただ・・・」
タケハ「ただ?」
コマ「この神社で使えるお札は、 この地で住み続けている神職の者しか作ることができません」
タケハ「・・それは、兄ちゃんにその資格はなくて・・、僕だけがお札を作ることができる・・ということなのか」
コマ「おっしゃる通りです」
コマ「お父様から直接学んでいれば良かったのですが、今はお父様が若い頃、修行した神社に行って習うしかありません」
コマ「・・しかし、 ツクヨミ様がこのまま願いを叶えていけば、 神様はじきに帰ってきます。 なのでそれまで粘れば・・」
タケハ「それは兄ちゃんに任せる。 僕は、・・ここの後継ぎとして、 頑張らなくてはいけない」
コマ「・・頑張るのですか?」
タケハ「あぁ、 僕はずっと一人で生きていると思ってた」
タケハ「それがさ、 どこかで神様やコマや その他知らない人たちが 助けてくれていたとわかったんだ」
タケハ「生きてこられたのも誰かのおかげ、 それも先祖がこの神社を守ってきたおかげ」
タケハ「なら、 僕もここを守っていかなければいけない」
タケハ「知らないところで知らない誰かの運命が変わるかもしれないじゃない?」
タケハ「それに、 出せる力を使わずに 何もしないなんて・・」
タケハ「木々にすら怒られるってことがわかった。 僕は見えない何かのために 力を出したいと思ったんだ」
コマ「・・・」
コマ「はい、私はこの時を待っておりました。 タケハ様がいつか自分の力で立ち上がってくれると信じて、見守ってきました」
コマ「私にお手伝いすることがあれば 言いつけてください」
タケハ「この神社を守っていてくれ。 僕はお札を作れるようになってくる」
タケハ「・・その前に、 朝ご飯を食べよう。 台所からいい匂いがする。 きちんと食べないと淡雪から怒られそうだからな」
タケハ「・・・あれ、淡雪がいない」
コマ「外で草むしりをしているみたいですよ」

〇古びた神社
淡雪「もう、 この雑草、めちゃくちゃ根が張ってるじゃないですか。 ・・うぅ、抜くのが一苦労だわ」
ツクヨミ「おい、 何やってるんだ」
淡雪「あ、ツクヨミさん、 昨日神社に泊まったんです。 それで一宿一飯の恩義を返そうと草むしりをしています」
淡雪「綺麗にして、 参拝客を増やさないとですから」
ツクヨミ「えっ、 昨日ここに泊まったの? ・・・なんで?・・なんで?」
淡雪「昨日こちらに来た時に 霊が現れまして、 タケハさんが霊の攻撃を受けて 気を失ったものですから、 私、看病してました」
ツクヨミ「展開がまるで読めないが、 タケハは大丈夫なのか?」
淡雪「はい、ケガはしていないようです。 先ほど目を覚まして、普通に話をしましたよ」
ツクヨミ「そっか、 ・・・それで昨日コマを呼んでみたのに、 来なかったんだな」
淡雪「呼んでみたんですか?」
ツクヨミ「あぁ、 ・・なんかスイーツを買ったあと、 なんとなく・・・、いつでも来てくれるのか確かめようと思ってな」
ツクヨミ「それで来なかったから、 何か勾玉がおかしくなったかと思って、 ここに来てみたんだよ」
淡雪「・・その霊と戦っていた時間帯なら、 さすがのコマさんも行けなかったと思います」
ツクヨミ「そういうことか」
ツクヨミ「おっ」
ツクヨミ「社のほうに向かっていったぞ。 お願いするんじゃないのか?」
ツクヨミ「俺、ちょっと 彼女についていってみようかな・・あっ」
タケハ「あっ、・・・兄ちゃん、 なんでここにいるの」
ツクヨミ「俺は、 ・・・・コマに用があって ちょっと来ただけだよ」
タケハ「コマなら、 家の中にいるよ。 行って来たら?」
ツクヨミ「お、おぅ」
ツクヨミ「・・・・・」
タケハ「・・・淡雪さん、 朝ご飯美味しかったよ。 ・・ちょっと形が不細工で、甘かったけど・・」
淡雪「そうですか、 よかったです」
ツクヨミ「わっ、 指輪が光り出した」
タケハ「・・草むしりは、 僕がやりますよ。 今日だって仕事じゃないんですか?」
淡雪「何言ってるんですか。 今日は日曜日ですよ。 だから適当に草を取って帰るつもりです」
ツクヨミ「・・・指輪の石に耳を当てると なんだか女性の声が聞こえるなぁ。 ・・ふむふむ、なになに・・」
ツクヨミ「・・・・・」
ツクヨミ「・・・ちょっとお願いを聞いてくるわ」
タケハ「・・・ あの、僕、 お札が作れるように修行してきます」
淡雪「えっ、 作れなかったんですか」
タケハ「父さんが急に亡くなったので、 習う機会がなくて・・」
淡雪「じゃあ、 頑張ってください。 私、応援しています」
淡雪「あれが無いと困りますからね」
タケハ「・・あの、 僕がお札を作れるようになったら・・」
ツクヨミ「おい、淡雪、 力を貸してくれ。 あの女の子、恋愛のお願いだった」
淡雪「わ、私がですか!?」
ツクヨミ「俺があんな若い子に近寄ったら すぐに警察に捕まるだろ。 淡雪なら話を聞いてもらえるかもしれない」
ツクヨミ「・・・ランチをおごるからさ」
淡雪「・・・・・」
ツクヨミ「・・・ランチのあとに 生搾りのモンブランを食わせてやるから」
淡雪「えっ、 ・・・う~~ん」
ツクヨミ「この前、食ったんだけど、 モンブランの中に熊本県産の利平栗がまるごと一粒使われていて、 これが大きくて甘いんだよ」
ツクヨミ「上にかかっているモンブランペーストも 絹のように滑らかな舌触りでさー」
淡雪「行きます」
「よし、女の子を追うぞ」
淡雪「あ、待ってくださーい」
淡雪「タケハさん、 また来ますので、その時にお札を見せてくださいね」
タケハ「あっ・・・」

〇古びた神社
タケハ「・・・・・」
コマ「やはり、 ヒルコ様に似ていらっしゃる」
タケハ「まったく似てないよ」
コマ「テンションが上がると 跳ねるように身体が上下する癖、 そのままでございます」
コマ「ヒルコ様の場合は お父様の後ろについていくときは いつもテンションが高かったですね」
コマ「私は、 鳥居の近くに来ているところしか 見たことがありませんが、」
コマ「最後にヒルコ様を見た日、 あの日、ヒルコ様はいつものように 跳ねるように出かけたのに、」
コマ「車で出かけた二人は戻ることはなかった」
コマ「事故に遭って亡くなられたと聞きましたが、あの日、何があったのでしょうか」
タケハ「あの日か・・、 僕も知らないことだらけだ・・ 今、思い出しても変なことだらけで・・」
コマ「少しだけでも聞かせてもらえますか?」

次のエピソード:第九話

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