Vtuberの復讐戦争

紗卦冬葉(さけとば)

【終】#10 復讐(脚本)

Vtuberの復讐戦争

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〇黒
  『抜け殻』
  『私を形容する言葉』の中でも
  これ以上に、
  『的確』な表現は無いと思う
  『熱』も『飢え』も何も無い人間が
  ──────────────私だ。

〇古い大学
  だから、私は表舞台で輝く人より
  裏側から誰かを支える人間の方が、
  合っているのだろう
  そう思った。
  服飾に興味を持ったのも、
  きっとそれが、
  始まり──────

〇講義室
  ──────先輩が、
  大学から居なくなって数ヶ月が経った。
「ねぇねぇ 昨日の『涅黒 リリィ』見た??w」
「『ピカティン』批判してて笑ったわw」
「『低身長に人権ないから』 の切り返し方めっちゃ好きだわww もっかい見よw」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
  ・・・・・・この声

〇女の子の一人部屋

〇神殿の門
  Q.低身長に『人権』ありますか?
【V】涅黒 リリィ「ンなもん『無ェ』だろ?馬鹿か?」
【V】涅黒 リリィ「大前提の話な?」
【V】涅黒 リリィ「『自分の身長を弄れるようになりました』 『低くしますか?高くしますか?』」
【V】涅黒 リリィ「『大多数』が高い方が良いって言うだろ?」

〇女の子の一人部屋
  お前の言う『人権』が
  どの程度の意味なのかは知らねェケドさ?
  『生きる自由を決められる権利』=『人権』
  なら
  『身長なんか』に『人権』は無ェだろ馬鹿
  『モテるかモテないか』の話なら、
  くだらねェ質問してる手前ェは
  『低身長』で『人権』無ェと思うけどな
(やっぱり、先輩の声だし、先輩の口調だ)
(・・・・・・凄いなぁ)

〇黒
  なんでこんなにも、
  『自分』を押し出して行けるのかな

〇神殿の門
【V】涅黒 リリィ「お、珍しくスパチャ来た! アンチだったらボロカスにし〜たろ!!」
  [¥1200]
  大学1年生の女です。
  ネクロさんの振る舞いに感銘を受けました。
  私は意思を持てない抜け殻みたいな人間で、
  自信満々に物言いするネクロさんが
  とても羨ましいです。応援してます。
【V】涅黒 リリィ「・・・」
【V】涅黒 リリィ「・・・いや」
【V】涅黒 リリィ「スパチャ入れる時点で 明確に意思持ってるだろーが」

〇女の子の一人部屋
  お前のやりたい事はお前しか分からねェし、
  誰に言われてやるもんじゃねェだろ
  すぐに見つかるか、後々になるか
  それはお前次第だな
  ま、テキトーに頑張れ
「・・・・・・」
「・・・・・・それが、出来たら、、」

〇銀杏並木道
  涅黒 リリィはその後炎上し
  活動後数ヶ月でチャンネル削除

〇並木道
  私は結局、4年間の大学生活でも
  『やりたい事』は見つけられなかった・・・

〇空
  ──────────『ひとりでは』

〇イルミネーションのある通り

〇タワーマンション

〇タワーマンションの裏口

〇エレベーターの中

〇エレベーターの中

〇マンションの共用廊下

〇玄関の外

〇シックな玄関
  着てから中に入れ
  ・・・・・・『服』、ね
  ふふっ
  何するつもりなんだろ?

〇シックな玄関

〇おしゃれなリビング
「よォ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「ふ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「ふふっ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「なんですかそれ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「お前が作ってくれた『コス衣装』」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「今でも着れるの、ウケるよな」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「・・・それになんの意図が?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「・・・『死装束』?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「ふざけないでくださいよ」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「『さっきのライブであんな事をした理由』」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「・・・何か癪に障ること言いました?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「普段の態度が気に入らなかったから?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「それとも、 先輩の企画を潰して話題かっさらった事?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「身バレに追い込まれたアテツケ?」
「違ェ」

〇おしゃれなリビング
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「まるで違ェ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「やっぱり、お前さ? 自分の本質に気づいて無ェンだよ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「お前はただそこにいるだけで 周りを狂わせる『化け物』で・・・」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「──────『血も涙もない人間』」
「それがお前の『正体』」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「・・・」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「・・・言いたいこと、終わりですか?」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「それが最後の言葉なら、 先輩を殺して、それでおしまいです」
「・・・お前が来る少し前」
「『灰冠ヒメのデータとアカウント』使って 少しだけ遊びで『ライブ』してた」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「ヒメのイメージ、 めちゃくちゃにするつもりだったけど」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「『同接48万人超え』になった ・・・・・・すごいよな?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「お前の作った『ヒメ』は間違いなく 『日本でいま一番視聴されてるライバー』だ」

〇黒
  少しだけ、
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「『お姫様』みたいな気分味わえて、 楽しかったよ」

〇白
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「この『コス』作ってくれた時だって」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「『ぷりす』の新衣装作ってくれた時だって」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「スパチャで悩み打ち明けてくれた時だって」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「半年前の『あの時』だって──────」

〇並木道

〇レトロ喫茶
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「すいません、呼び止めて」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「・・・『涅黒 リリィ』 知ってたのかよ」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)(こいつの顔見たくねェし、 早く帰りてェ・・・)
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「大学内で、かなり人気でしたし、 私は喋り方で先輩だって分かりました」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「先輩は、今もVtuberやってるんですか?」
莢蒾 ナゴミ(がまずみ なごみ)「・・・まぁ、な」
薊 ヒメコ(あざみ ひめこ)「・・・なんで」

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コメント

  • 凄く読むのが遅くなってしまいましたが完結本当におめでとうございます

    かなり衝撃的なストーリーと強烈なキャラ、最期の二人の仲良く重った死に様が頭から離れません

    キャラの苦しい過去やエゴ、罪悪感、どっちもどっちで救われない気持ち悪さ、とても面白かったです
    さけとばさんの裏話も凄く楽しみにしてました

    また、表現の幅が一気に広がってとても刺激を受けました
    最終話まで書いてくださり心からの敬意と感謝を

  • 遅ればせながら、完結おめでとうございます!
    覚悟を決めて読んだのですが、クソデカ感情がバーーーンでもう何て書いていいのか。
    マンガでも読みたかったなぁ。もし絵心があったらファンアート描いてると思います笑
    本当にお疲れさまでした!

  • 完結お疲れ様 & おめでとうございます。
    これまでのエピソードもすごい熱量でしたが、ラスト3話は恐ろしい熱量の固まりをぶつけられました!(ただし、読んでいると凍える寒さ)
    お互い欠けたモノを持っていた二人。合わさることで、美しい一対になれた未来もありえたのに…。最期が同じ時・場所というのは何とも虚しく、象徴的なシーンでした。ただ、どこか美しくも感じたのが不思議です。

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