18年越しの愛(脚本)
〇貴族の応接間
西暦1420年、
ブルゴーニュ公国の公女である
マルグリットは幼なじみに求婚された。
リッシュモン伯「マルグリット、僕と結婚してくれないか?」
マルグリット「・・・何の冗談かしら?」
マルグリット「私は本来、 フランス王妃となるはずだった女です」
マルグリット「そして、あなたはイギリス側の捕囚」
マルグリット「いくら幼なじみとはいえ、 立場が違いすぎるのではなくて?」
リッシュモン伯「確かにそうだが・・・ でも、僕は君を愛している」
リッシュモン伯「イギリスに囚われてからの5年間も、 君のことを忘れたことはなかった」
リッシュモン伯「未亡人となった君が、 誰かと再婚してしまうのではないかと 気が気ではなかった」
リッシュモン伯「・・・でも、君は待っててくれた」
マルグリット「・・・別に私は、あなたを 待っていたわけではありません」
マルグリット「私に政略結婚の駒としての価値が 無くなった、 ただそれだけです」
リッシュモン伯「そんなこと、言わないでくれ」
リッシュモン伯「僕は初めて会った時からずっと、 君に惹かれていたというのに・・・」
マルグリット「貴方に愛情と敬意を捧げましょう」
マルグリット「でも、一捕囚である貴方と結婚しようとは 思わないわ」
マルグリット「貴方が自由の身になるのを待ってから、 先ほどの返答をしても良くて?」
リッシュモン伯「尤もなことだな」
マルグリット「私は自由に結婚相手を決められる 立場じゃないの」
マルグリット「兄様が縁談をまとめてきたら、 その人のところに嫁ぐわ」
マルグリット「幸い、貴方と兄様は仲が良いし、 私たちの関係もよくご存知よ」
マルグリット「・・・だから急ぐことね?」
リッシュモン伯「ああ、待っててくれ」
西暦1423年に
リッシュモンとマルグリットの
「恋愛結婚」が成立。
それは2人が初めて出会ってから、
実に21年後の出来事であった・・・
歴史の一場面を切り取って、(想像も加えつつ)表現する。素敵なワンシーンでした。
史実に基づく脚色ということで興味深く読みました。当時は政略結婚が当たり前の時代だっただけに、紆余曲折を経た末の幼馴染みとの恋愛結婚はとてもロマンチックに感じます。
史実をベースにした1000文字以内の恋模様、とっても素敵です!当時の社会情勢や時代背景などを考えながら見るこのプロポーズシーン、たまりませんね!