『屋上にて』(脚本)
〇高い屋上
十六夜くるり「来てくれてありがと」
十六夜くるり「え なんの用って?」
十六夜くるり「いやホラ、イイ天気だなーって」
十六夜くるり「・・・・・・」
十六夜くるり「風は強いけど、空は青いし!」
十六夜くるり「くるりと一緒に、お弁当食べようぜ☆」
十六夜くるり「あ、、、ダメ?」
十六夜くるり「え お弁当持ってない?」
十六夜くるり「大丈夫☆ じゃーん」
十六夜くるり「くるりの手作り 塩分控えめだゾ♡」
十六夜くるり「さ、ホラ こっち来て」
「綺麗な青だよねー」
「このまま空に吸い込まれていきそう」
十六夜くるり「そうしたら、きっと気持ち良いんだろうなー」
十六夜くるり「えっと・・・ね?」
十六夜くるり「あなたは、その・・・『気持ち良いこと』って、興味ないかな」
十六夜くるり「ああ、もちろん、初めては怖いと思うんだけど」
十六夜くるり「きっと、想像してるみたいな痛みはないと思うし」
十六夜くるり「優しくするから──」
十六夜くるり「ネ?」
十六夜くるり「な、なんちゃって・・・どうかな」
十六夜くるり「え? なんの話かわからないの?」
十六夜くるり「またまた~」
十六夜くるり「あ 本当に そっかー」
十六夜くるり「じゃ、とりあえず」
十六夜くるり「お昼ゆっくり食べようか☆」
「ふふふ・・・」
「アハハ!!」
「うん・・・そうだねー」
十六夜くるり「はあ~ おなかいっぱい」
十六夜くるり「じゃあ、そろそろ」
十六夜くるり「おなかいっぱいで、眠くなってきたんじゃない?」
・・・・・・うん
十六夜くるり「良かった 本当に美味しそうに食べてくれたもんね」
十六夜くるり「こ、こんなに愛情こめて料理作ったの、初めてだったんだから」
ん・・・ねむ・・・・・・
十六夜くるり「うん じゃあ、しよっか」
十六夜くるり「あの、ね・・・私もまだ、ちゃんとした経験がある訳じゃないんだけど」
十六夜くるり「教室で 初めてあなたと目が合った時」
十六夜くるり「これは運命なんだって、そう思ったの」
十六夜くるり「だから、お願い・・・私に、身を委ねて」
十六夜くるり「目を閉じて」
・・・・・・・・・・・・・・・
十六夜くるり「・・・ゴメンね」
十六夜くるり「あなたは、ここにいてはいけない」
────────────
十六夜くるり(あなたは、病気で一度も学校に来れなかった男の子)
十六夜くるり(だから、この学校に混ざりたかったんだね)
十六夜くるり(不運なだけの魂を、私の一存で成仏させていいのかな)
十六夜くるり(だけど、家業を継ぐって決めた私の前に、あなたが現れた)
十六夜くるり(成仏させてあげる 絶対に、苦しまないように)
十六夜くるり「あ──・・・にしても、恥ずかしいな この除霊方法」
幽霊の子供「・・・・・・?」
十六夜くるり「私の一家はね、それぞれ一番強く霊力がこもった部位で幽霊に触れることで、成仏を誘うの」
十六夜くるり「わ、私の場合は、その・・・・・・」
十六夜くるり「お願い、目をつぶっててね!」
幽霊の子供「・・・・・・うん」
十六夜くるり「じゃあ、あげる 私の初めて」
十六夜くるり(心配しないで あなたは生き霊)
十六夜くるり(ここで成仏しても、魂は病院にある体に還るだけよ)
十六夜くるり(どうか私のファースト・キスが、あなたの楽しい想い出になりますように)
十六夜くるり「ん~~~~~~~~~」
十六夜くるり「ど、どうかな」
十六夜くるり「あ──────────」
十六夜くるり(消えた・・・・・・)
十六夜くるり(────でも)
でも────
くちびるが おぼえてる
キスで逝かせるのは反則技だなあ。こんなにかわいい成仏請負人がいたら霊界でウワサになって、成仏し損なった霊たちの行列ができそうですね。
くるりさんの魅力をイロイロと満喫されてもらいました!ナニを初体験するのか明らかにされた後、すっと転じる作中の空気感。ラストの雰囲気も好きです!
少年は生霊だったんですね^^
最初は百合ものかと思って読んでました
恥じらうくるりが可愛かったです